今週のポイント
今週(8/23- )は、豪州の主要経済指標の発表はありません。また、NZは4-6月期小売売上高(24日)や7月貿易収支(25日)が発表されるものの、材料としては力不足の感があります。
ただ、豪州では新型コロナの感染拡大が続いており、シドニーのロックダウン(都市封鎖)は1カ月延長されました。豪景気の先行きへの懸念が市場で一段と高まりそうです。一方、NZでは全土で現地時間17日深夜からロックダウンが行われています(24日深夜までの予定)。NZのロックダウンが延長された場合、RBNZ(NZ中銀)の利上げ観測が後退する可能性があります。
メキシコの8月前半のCPI(消費者物価指数)が24日に発表されます。BOM(メキシコ中銀)は6月と8月の2会合連続で利上げを実施。市場では追加利上げ観測があります。8月前半のCPIが市場予想の前年比5.74%を上回る結果になれば、追加利上げ観測が一段と高まりそうです。
BOMの追加利上げ観測はメキシコペソ/円の支援材料と考えられる一方、原油価格(米WTI原油先物など)が下落しています。原油安が一段と進む場合、メキシコペソ/円は上値が重い展開になりそうです。
TCMB(トルコ中銀)が12日の会合でエルドアン大統領の利下げ要求に応じずに政策金利を据え置いたことに支えられて、トルコリラ/円はこのところ底堅く推移しており、この状況は当面続くかもしれません。ただし、TCMBの金融政策に関するエルドアン発言には注意が必要です。エルドアン大統領が利下げを強く求めた場合、トルコリラ/円は下押しする可能性があります。
今週の注目通貨ペア①:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.04000NZドル~1.05500NZドル>
豪ニューサウスウェールズ州のベレジクリアン首相は20日、新型コロナのデルタ株の感染拡大を受け、シドニーで6月末から実施しているロックダウン(都市封鎖)を9月30日まで延長すると発表。ロックダウンは8月28日までの予定でした。豪州では8月に入り、メルボルンやキャンベラでもロックダウンが行われています(いずれも9月2日まで)。
ロックダウンの影響によって豪経済は7-9月期にマイナス成長になるとみられ、ロックダウンの状況次第では10-12月期もマイナス成長になる可能性があります。
一方、RBNZ(NZ中銀)は18日の会合で政策金利を0.25%に据え置いたものの、金融政策報告で年内の利上げ開始を示唆しました。豪景気の先行きをめぐる懸念(豪ドルにとってマイナス材料)とRBNZの利上げ観測(NZドルにとってプラス材料)を考えると、豪ドル/NZドルは軟調に推移する可能性があります。
ただし、NZでは新型コロナの感染者が確認されたことを受け、現地時間17日深夜から全土でロックダウンが行われています(24日深夜までの予定)。
RBNZが18日に政策金利を据え置いた(利上げを見送った)のは、国内のロックダウンが理由でした。そのため、NZのロックダウンが延長されれば市場ではRBNZの利上げ観測が後退する可能性があり、その場合には豪ドル/NZドルはそれほど下がらないかもしれません。
今週の注目通貨ペア②:<カナダドル/円 予想レンジ:84.000円~88.000円>
カナダドル/円は20日に一時、84円台半ばへと下落。5カ月半ぶりの安値をつけました。
カナダドル/円の足もとの下落は、新型コロナのデルタ株の世界的な感染拡大によってリスクオフの動き(円高材料)が強まったことや、原油価格の下落(カナダドル安材料)が主な要因と考えられます。原油価格の代表的な指標である米WTI原油先物は20日も約3カ月ぶりの安値を更新しました。
新型コロナのデルタ株の感染拡大が世界経済に悪影響を与えるとの懸念が市場で後退しなければ、引き続きリスクオフの動きになりやすいとみられ、原油価格は軟調に推移しそうです。リスクオフの動きが一段と強まり、また原油安がさらに進む場合、カナダドル/円は84.659円(8/20安値)割れを試す可能性があります。
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