[資源・新興国通貨7/19~23のポイント&注目通貨] NZドルは堅調に推移か

著者:八代和也
投稿:2021/07/19 13:45

今週のポイント

市場では、RBNZ(NZ中銀)の早期利上げ観測が高まっています。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込む、RBNZが次回8月の会合で利上げする確率は7割強(本稿執筆時点)。RBNZの利上げ観測に支えられてNZドルは堅調に推移しそうです。

OPEC(石油輸出国機構)加盟国と非加盟主要産油国で構成する「OPECプラス」は18日に閣僚級会合を行い、協調減産の規模を8~12月に毎月日量40万バレルずつ縮小することで合意しました。それが材料となり、原油価格は目先下値を試す可能性があります。その場合、カナダドル/円やメキシコペソ/円は上値が重い展開になりそうです。

22日のSARB(南アフリカ中銀)の会合では、政策金利は現行の3.50%に据え置かれそうです。一方で、インフレ圧力の高まりを背景に市場ではSARBが年内に利上げするとの観測があります。SARBの声明やクガニャゴ総裁の会見が利上げ観測を高める内容になれば、南アフリカランド/円の支援材料になりそうです。

一方で、南アフリカではズマ前大統領が7日に収監されたことをきっかけに暴動が発生。それが先週(7/12- )の南アフリカランド/円の下落要因でした。引き続き南アフリカ情勢には注意が必要なものの、ラマポーザ大統領は16日に「暴動はほぼ沈静化しており、大部分の地域で落ち着きを取り戻している」と語りました。南アフリカランド/円に対する下押し圧力は弱まる可能性があります。

今週の注目通貨ペア①:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.04000NZドル~1.07200NZドル>

豪ドル/NZドル(日足。2020/11/4~)
豪ドル/NZドル(日足。2020/11/4~)出所:マネースクエアFXチャート

RBNZ(NZ中銀)は14日、政策金利を0.25%に据え置く一方、「大規模資産購入プログラム(量的緩和)の停止」を決定。また、16日に発表されたNZの4-6月期CPI(消費者物価指数)は前年比3.3%と、RBNZのインフレ目標(1~3%)の上限である3%を上回り、約10年ぶりの高い伸びを記録しました。

大規模資産購入プログラムの停止は市場の予想外の結果。そのうえ、CPIの強い結果を受けて、RBNZは8月18日の次回会合で利上げするとの観測が高まっています。

RBNZの利上げ観測を背景に、NZドルは引き続き堅調に推移するとみられ、豪ドル/NZドルは上値が重い展開になりそうです。豪ドル/NZドルは目先、1.04198NZドル(20/12/1安値)が下値メドです。一方、上値のメドとしては、200日移動平均線(7/19時点で1.07138NZドル)が挙げられます。

今週の注目通貨ペア➁:<カナダドル/円 予想レンジ:85.000円~89.000円>

BOC(カナダ中銀)は14日、政策金利を0.25%に据え置く一方、量的緩和プログラムの縮小を決定。カナダ国債の買い入れ目標を週30億カナダドルから20億カナダドルへと、10億カナダドル減額しました。

BOCは今回の会合で4月に続いて量的緩和を縮小し、今後も縮小を続けるとみられます。市場では、量的緩和は年内に終了されるとの観測があります。また、BOCの利上げは米FRBやECB(欧州中銀)などよりも先になりそうです。BOCの金融政策の方向性は、カナダドル/円の下支え材料と考えられます。

一方で、原油価格がこのところ軟調に推移しています。原油価格の代表的な指標である米WTI原油先物は16日に一時1バレル=70.41ドルへ下落し、約1カ月ぶりの安値をつけました。

OPECプラスは18日の閣僚級会合で、協調減産の規模を8~12月に毎月日量40万バレルずつ縮小(増産)することで合意しました。協調減産の規模が今後縮小(原油の増産)されることとなり、原油価格は引き続き軟調に推移するかもしれません、

原油価格の下落が続く場合、市場はBOCの金融政策以上に原油安を意識する可能性があります。その場合、カナダドル/円に対して下押し圧力が加わりそうです。カナダドル/円は目先、85.411円(4/21安値)が下値メドです。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想