[資源・新興国通貨7/5~9のポイント&注目通貨] 豪ドル:6日のRBA会合が重要!?

著者:八代和也
投稿:2021/07/05 15:30

今週のポイント

6日にRBA(豪中銀)の政策会合が開かれます。会合では、「債券購入プログラム第2弾が9月に終了した後の債券買い入れについてどのような決定が下されるか」が焦点になりそうです(後述)。

メキシコの6月CPI(消費者物価指数)が8日に発表されます。市場ではBOM(メキシコ中銀)が8月に追加利上げを行うとの観測があり、CPIの結果を受けてその観測が一段と高まるか注目です。

OPECプラスは先週、8月以降の協調減産の方針について協議したものの、UAE(アラブ首長国連邦)が減産期間の延長に強く反対したため、合意に至りませんでした。OPECプラスは5日に再び協議する予定です。本稿執筆時点で会合の結果は判明していませんが、仮に合意できなければ、現在の協調減産の規模が8月以降も維持される(減産規模の縮小は行われない)可能性が高まり、原油価格は一段と上昇しそうです。

今週の注目通貨ペア①:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.06000NZドル~1.08000NZドル>

豪ドル/NZドル(日足。2021/3/2~)
豪ドル/NZドル(日足。2021/3/2~)出所:マネースクエアFXチャート

6日のRBA(豪中銀)の会合では、政策金利と3年物豪国債利回りの目標を0.10%に据え置くことが決定されそうです。

RBAは今回の会合で、(1)3年物豪国債利回り(イールドカーブ・コントロール)目標の対象を24年4月償還債から24年11月償還債に変更するかどうか、(2)債券購入プログラム(量的緩和)第2弾が9月に終了した後の債券買い入れをどうするか、を検討する予定です。

(1)3年物豪国債利回り目標の対象が24年11月償還債に変更された場合、イールドカーブ・コントロールの長期化が示唆されるとともに、利上げが遠のくとの印象を市場に与える可能性があります。ただ、豪景気見通しの改善を受け、償還債の変更はなさそうです(24年4月償還債のままにする)。市場では、償還債は変更されないとの見方が大勢です。

(2)債券購入プログラム(量的緩和)について市場では、「規模をこれまでの1000億豪ドルから減額する(500億豪ドル、あるいは750億豪ドル)」との見方や、「現在のペース(週50億豪ドル)での買い入れ継続を決定し、総額(規模)は決めない」との見方があります。後者になりそうです。プログラムの規模を縮小すれば豪ドル高を招くおそれがあること、そして総額を決めければ経済情勢に応じて買い入れ額を柔軟に変更できるからです。後者の決定が下された場合、市場ではRBAが早期に買い入れ額の減額に動く(例えば週50億豪ドルから40億豪ドルにする)可能性が意識されて豪ドルの支援材料になるかもしれません。足もとで弱含んでいる豪ドル/NZドルは反発する可能性があります。

豪ドル/NZドルは目先、1.05997NZドル(5/27安値)が下値メド、1.08000NZドル(4月下旬以降、何度も反落した水準)が上値メドです。

今週の注目通貨ペア➁:<メキシコペソ/円 予想レンジ:5.400円~5.800円>

8日、メキシコの6月CPI(消費者物価指数)が発表されます。その結果がメキシコペソ/円の材料になる可能性があります。

本稿執筆時点で市場予想は前年比5.85%と、上昇率は前月の5.89%から若干鈍化するものの、BOM(メキシコ中銀)のインフレ目標(3%)の許容レンジ上限である4%を引き続き大きく上回るとみられています。

BOMは6月24日の会合で0.25%の利上げを決定。政策金利を4.00%から4.25%に引き上げました。市場では早ければ次回8月の会合で追加利上げに踏み切るとの観測があります。CPIが市場予想を上回る結果になれば、利上げ観測が高まり、メキシコペソ/円が堅調に推移しそうです。

原油価格(米WTI原油価格など)の動向にも注目です。OPECプラス会合(5日)の結果次第では、原油価格(米WTI原油先物など)は一段と上昇する可能性があります。メキシコは産油国のため、原油高はメキシコペソ/円にとってプラス材料です。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想