昭和産業 Research Memo(5):中国の需要過多の状態から、原材料の価格変動リスクが顕在化

配信元:フィスコ
投稿:2021/06/23 16:05
■事業環境

コロナ禍の影響に伴い顧客である外食産業やコンビニエンスストア等の厳しさが昭和産業<2004>の業績に影響を与えている。ただし足元ではワクチン接種が加速しており、日本政府の計画どおりにワクチン接種が進み感染者数を抑え込めることになれば、外食産業も回復を見せていくだろう。同社も新たな生活様式に向けた商品戦略を進めていくことにより、着実に需要は増えていくと弊社では考えている。

一方で、穀物相場の状況が不透明である。2021年3月期の相場の推移について、第1四半期はコロナ禍の収束が見られないなか、相場は弱含んで推移した。そのためニューヨーク原油が大暴落し、エタノール生産が急減、食肉加工場も感染者発生で閉鎖されるなど需要面での弱さが目立った。第2四半期に入ると、2020年8月中旬にデレチョと呼ばれる暴風雨が米国コーンベルトを襲ったこと、中国の穀倉地帯が台風や洪水の被害に見舞われたことで中国がトウモロコシの買い付けを増やしていったことで相場は上昇した。第3四半期は、中国の旺盛な買い付けと単収の下方修正で需給ひっ迫懸念が高まるなか、作付け・生育期に入った南米の天候不安や、アルゼンチンでの港湾ストライキも加わり、相場は大きく上昇した。第4四半期に入っても堅調な中国向け輸出は続き、相場は強地合いを維持している。目先にはいち早く経済活動が再開している中国の需要過多の状態から、原材料の価格変動リスクが顕在化している状況だ。このように先行きに対して不透明要因はあるものの、世界的にワクチン接種が進展すれば需給のタイトさに着目する買いも次第に落ち着いてくる可能性はあると弊社では考えている。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)


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