新田ゼラチン、国内売上は減少も海外では堅調に推移 業務用製品の開発や直販事業で事業基盤強化を目指す
2021年3月期決算説明
尾形浩一氏:みなさま、こんにちは。新田ゼラチンの尾形でございます。はじめに、新型コロナウイルス感染症の拡大により影響を受けているみなさまにお見舞い申し上げます。また、日夜治療にあたられている医療関係者のみなさまには心より感謝申し上げます。
2021年3月期の決算について、ご説明します。
目次
本日の内容はこちらになります。
会社概要
当社の概要に大きな変化はありませんが、2021年2月1日に接着剤事業をボスティック・ニッタへ譲渡しました。
1.2021年3月期実績
それでは、まず2021年3月期の実績についてご報告します。
業績推移①:売上高
連結の売上高は305億5,000万円で、2020年3月期に比べて39億9,200万円の減収となりました。期初の予想よりも9億4,900万円の減収です。詳しい内容は次のスライドでご説明しますが、ケーシングの売上が除外されたこと、日本市場での売上が減少したことが大きな要因です。
連結売上高増減要因(前年同期比)
スライド6は、売上高の増減を示したものです。前年度の第2四半期まであったケーシング事業の売上がなくなったことで22億円の減収になりました。
アジア、北米ではカプセル用途のゼラチンやコラーゲンペプチドの売上が堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大が影響し、国内のゼラチンの売上が低調であったこと、また接着剤の売上が減少したことから、日本での売上高が大きく減少しました。
業績推移②:営業利益
営業利益の結果です。日本国内での売上が減少したことから、営業利益は前年同期比3億3,400万円減少し、13億5,600万円となりました。
連結営業利益増減要因(前年同期比)
営業利益の地域別の増減を表しています。ケーシングは2020年3月期は赤字であったため、事業譲渡により利益の増加要因となっています。日本を除く各地域では増益でしたが、国内の減益を補うまでには至らず、連結では減益となりました。
業績推移③:経常利益
経常利益は13億6,400万円と、前年同期から4億3,400万円の減益となりました。営業利益の減少と持分法による投資利益が減少したことが要因です。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響について
ここで、2021年3月期決算への新型コロナウイルス感染症拡大の影響について説明します。日本においては、海外からの入国規制、外出自粛、飲食店の営業自粛などが相次いで実施され、ホテル・レストランなどの業務用やコンビニエンスストア総菜用、インバウンド需要に依存していた製品向けなどの販売で影響を受けました。この売上減少が連結での減収の大きな原因となりました。
北米においては、サプリメント用カプセルの需要が堅調に推移し、外出抑制の影響でグミゼリーなどの家庭で食べる菓子の需要も伸びたため、ゼラチンの売上は比較的堅調でした。
インドでは、ゼラチンは医薬品に使われる素材のため、継続生産が認められていますが、新型コロナウイルス感染者が依然増加しており、収束が見通せません。
アジア諸国では比較的新型コロナウイルス感染症の影響が少なく、美容サプリメント用コラーゲンペプチドやハラルゼラチンの売上が増加しました。
業績推移④:親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益については、前期はケーシング事業撤退による株式売却損27億8,800万円がありました。今期は7億4,200万円となり、前年同期比では14億3,600万円の大幅増となります。
販売区分
ここからは販売区分ごとの実績についてご説明します。当社の事業セグメントはコラーゲン事業の1セグメントですが、販売区分別に、食品用途のフードソリューション、健康、美容、医薬用途のヘルスサポート、その他のスペシャリティーズの3つの用途に分けています。
販売区分別 売上
販売区分別の売上を前年度と比較すると、フードソリューションとスペシャリティーズでマイナス、ヘルスサポートはほぼ前年度並みとなっています。
フードソリューション
フードソリューションでは、ケーシングの売上約22億円がなくなった事に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により、日本での売上が減少しました。家庭での製菓・調理用ゼラチンや北米のグミなど、製菓向けゼラチンの売上は増加しました。
ヘルスサポート
ヘルスサポートでは、アジア各国で美容用途の魚コラーゲンペプチドの販売が大きく伸びたのに加え、ハラルゼラチンの売上も増加しました。一方で、国内のコラーゲンペプチド、ゼラチンの売上はともに減少しました。
スペシャリティーズ
スペシャリティーズは、接着剤の売上減少と外出機会が減ったことによる写真用ゼラチンの売上減少により、10億8,900万円の減収となりました。
貸借対照表(B/S)
貸借対照表です。新型コロナウイルス感染症の拡大による不測の事態に備え、手許現金を少し厚くしたため、現金・預金が前年同期より約26億円増加しています。これに伴い、長期借入金も増加しています。その結果、資産合計は13億6,300万円増え、349億1,500万円となりました。
キャッシュ・フロー計算書(C/F)
キャッシュ・フロー計算書です。営業活動によるキャッシュ・フローは、前期はケーシング事業の売却に伴う株式売却損があったこと、今期はたな卸資産が減少したことから大きく増加しています。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、設備投資額は前期より増加していますが、接着剤事業の譲渡による収入があったため前期並みとなっています。
財務活動によるキャッシュ・フローの増加は長期借入金を増やしたことによるものです。
株式分布変化
2021年3月末時点では株主数に大きな変化はなく、個人株主の株式数が若干減少し、その分金融機関の割合が増えています。株主数はトータル10,000人を超えています。
株主還元
配当に関しては、中間配当金6円をお支払いしました。期末配当金は6円を予定しており、年間12円を予定しています。株主優待については、ご覧の内容で継続してまいります。
2.2022年3月期業績予想
それでは、2022年3月期の業績予想についてご説明します。
外部環境の認識①
2022年3月期の業績予想をする上で、新型コロナウイルス感染症の拡大がどのくらい続くかということが大きな問題です。ワクチンの接種が進むことによって収束に向かうことが予想されますが、国内の景気回復にはまだかなりの時間がかかると思われます。
海外との往来はまだ少ない状態が続き、訪日客によるインバウンド需要が戻るには数年かかるでしょう。一方で、アメリカや中国の景気回復は早く、海外の需要は拡大していくと考えられます。
いわゆる新しい生活様式がこの1年で定着してきており、テレワークなどの多様な働き方、ケータリング利用の増加など、消費行動の変化はある程度続くと予想されます。そうした中で、タンパク質補給や植物素材への注目が進み、新たな食ニーズが生まれつつあります。
外部環境の認識②
国内では、テイクアウトや宅配の需要が急激に増加しています。テレワークなどの働き方の変化により、都市部のコンビニエンスストアの売上は減少し、逆に住宅地では増加しています。
また、家庭で菓子作りや調理に費やす時間が比較的取れるようになったことから、製菓、調理材料の売上が伸びています。一方で、外食産業や宿泊・観光業の需要は減少しています。あらためて健康への関心が高まったことから、機能性表示食品の市場も拡大しています。
外部環境の認識③
海外では、今後景気の回復に拍車がかかると思われます。特に北米や中国、比較的新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込めたアジア諸国では、当然、食品やサプリメントの需要も戻ってくると考えられます。行動制限が長く続いた反動からのリバウンドによる消費の急拡大があるかもしれません。
今後の戦略課題
以上のような我々を取り巻く環境から、2022年3月期はスライドにお示ししたような戦略課題を設定しました。フードソリューションでは、日本では業務用市場の中でもテイクアウトや宅配食ニーズに対応した製品開発と販売拡大に注力します。さらに、コラーゲンやその他のタンパク質を活かした新たな食のニーズを開拓します。
ヘルスサポートでは、エビデンスのしっかりした機能性表示食品用のコラーゲンペプチドを積極的に販売していくとともに、消費者向け製品のリブランディングやマーケティングの強化により直販事業の拡大を図ります。海外では、アジア、北米で美容用途のコラーゲンペプチドの販売拡大を目指します。
バイオメディカル分野では、beMatrix製品の販売をグローバルに拡大します。それに対応するために、バイオメディカルの研究・生産の機能を集約した新研究棟「みらい館」を建設します。
2022年3月期予想
2022年3月期の売上高については、接着剤の売上がなくなることから295億円としました。営業利益、経常利益については、ほぼ2021年3月期並みの13億5,000万円を確保する計画です。当期純利益については、特別損失、特別利益はいまのところ想定していませんので、9億円としました。
販売区分別売上予想
フードソリューションは、国内市場の回復と堅調な北米の販売の継続を見込んで4.8パーセント増の122億5,000万円を見込んでいます。
ヘルスサポートは、美容用途のコラーゲンペプチドおよびカプセル用ゼラチンのグローバルでの拡販により、4.2パーセント増の146億6,000万円を見込んでいます。
スペシャリティーズは、接着剤の売上がなくなることから大幅減の25億9,000万円としています。
設備投資
設備投資は27億円を予定しています。後ほどご説明する新研究棟「みらい館」の総工費約20億円の内、今期は12億円程度の投資が含まれます。そのほかには、日本、北米、インドの各工場の生産性向上と環境保全対応の設備が主なものです。
3.トピックス
トピックスをいくつかご紹介します。
松山プロジェクト 2021年2月
創業者 新田長次郎の出生地である愛媛県松山市で始めた「松山プロジェクト」では愛媛県で活躍する女子アスリートへの応援活動を継続しており、2月に応援サイト「TSUNAGARU(つながる)」を開設しました。
この活動から生まれたスポーツみかんゼリー「BIURA」を、地元企業であるエイトワンさまから4月に発売しました。
スポーツ支援
がんばるアスリートを支援する活動としては、城西大学男子駅伝部、松山大学女子駅伝部、愛媛FCレディース、近鉄ライナーズのスポンサー活動を行っています。運動後に摂取するケアドリンク「ランショット」を提供しています。
CAFÉ RIWACO オープン
今年4月には、大阪市の中津にコラーゲンを使ったドリンクを提供するスタンドカフェ「CAFE RIWACO(カフェリワコ)」をオープンしました。その日のメンタルに合わせたメニューを選んでいただける、キャリア女性をメインターゲットとしたお店です。
さくらcafe
大阪工場隣接のグラウンドには、今年の秋に、スライドの予定図のような「さくらcafe」をオープンします。長い間親しんでいただいているコラーゲン販売の売店と、今回あらたに喫茶スペースを併設し、地元のみなさまの憩いの場になればと思っています。
みらい館(新研究棟)
今年度より、新しい研究棟として「みらい館」の建設を始めます。この建物はバイオメディカル関連の設備を今後の事業拡大にも対応できるよう、整備するとともに、R&Dの機能を集約し、より機能的、効率的な研究開発を実現するための施設です。当社としては久々の大型投資であり、来年秋の竣工を予定しています。
私からの説明は以上です。閲覧いただきありがとうございました。
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