―時流に乗る「DX」「脱炭素」「半導体製造装置」は中長期で活躍へ―
東京株式市場は、ゴールデンウイーク(GW)の連休を経て夏相場へと向かう。今年は2月に日経平均株価が3万467円と30年半ぶりの高値をつけたが、その後は一進一退が続く。そんななか、好調なパフォーマンスで市場の注目を一身に集めているのが「デジタルトランスフォーメーション(DX)」、「 脱炭素」、「 半導体製造装置」の主力3大テーマだ。DXはIT関連株、脱炭素は環境関連株、半導体製造装置はハイテク株などとの関連性が高いが、いずれも中長期的な成長期待は高く、物色の裾野も広い。GW明け後の相場に向け活躍必至の各テーマの妙味株をそれぞれ3銘柄ずつ紹介する。第2回目は「脱炭素関連」を取り上げた。
(2)【脱炭素関連】
温室効果ガス46%減へ加速、新エネルギー計画にも注目
地球環境問題が深刻化するなか、米バイデン政権の誕生をきっかけに世界的に脱炭素化の流れが加速している。20年9月に誕生した菅政権も50年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言。また、今年4月22日から行われた気候変動に関する首脳会議(サミット)で菅義偉首相は、30年度の温室効果ガス排出量を13年度から46%減らす新たな目標(従来目標は26%減)を発表した。政府は今後、夏までに新たなエネルギー基本計画を取りまとめる予定で、脱炭素関連は引き続き注目が必要だ。
●木村化工機 <6378> ~アンモニア関連として注目
脱炭素社会の実現に向けた石炭・石油の代替エネルギーとして、燃焼してもCO2を排出しない「アンモニア」への関心が高まっている。50年までに大手電力の全ての石炭火力をアンモニアだけで発電する「専焼」に切り替えることで、CO2排出量を約2億トン削減することができ、現在の電力部門からの排出量を半減できると予想されている。同社は、省エネ型汎用ヒートポンプ式アンモニア回収装置を開発。また、19年11月には澤藤電機 <6901> などと共同で、低濃度アンモニア水から高純度水素を製造し、燃料電池で発電することに成功したと発表しており注目されている。
●岩谷産業 <8088> ~水素ステーション普及へ
脱炭素社会の実現に不可欠なのが脱ガソリン車の普及だが、菅政権は35年までに、新車販売に占める電動車( 電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車、 ハイブリッド自動車)の割合を100%にする方針を打ち出している。電気自動車で欧米や中国勢に後れを取る日本だが、燃料電池自動車(FCV)ではトヨタ自動車 <7203> が14年に世界初の量産型FCV「ミライ」を投入し世界の先頭を走る。FCVの普及を図るには水素ステーションの整備がカギとなるが、同社は20年度末までに53ヵ所のステーションを整備。21年度は約20ヵ所を増設する方針だ。
●イーレックス <9517> ~バイオマス発電で注目
脱炭素社会の実現には再生可能エネルギーの利用拡大が重要なファクターとなるが、同社が手掛ける バイオマス発電は、光合成によりCO2を吸収して成長する木材などを燃料とする発電であり、カーボンニュートラルな発電として世界的にも関心が高い。同社は現在、4基のバイオマス発電所を運転中で、更に2基の営業運転開始を予定。また、ENEOSホールディングス <5020> と共同で世界最大級の大型バイオマス発電所の事業化を目指す。このほか、国内で初めてとなる商業用の水素発電所を山梨県富士吉田市に建設する計画も進めており、再生可能エネルギーのリーディングカンパニーとして注目されている。
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