今週のポイント
今週は豪州やNZ、カナダの主要経済指標の発表がありません。豪ドルやNZドルは、米長期金利や主要国株価の動向に影響を受けやすい展開が想定されます。米長期金利が軟調に推移する、あるいは主要国株価が上昇を続ける場合、豪ドルやNZドルは上値を試す可能性があります。
カナダドルやメキシコペソは、原油価格(米WTI原油先物など)の動向に注目。原油価格が堅調に推移すれば、両通貨は底堅い展開になりそうです。
メキシコペソは、25日のBOM(メキシコ中銀)政策会合も材料になるかもしれません。政策金利は現行の4.00%に据え置かれるとみられ、声明で金融政策の先行きについて新たな材料が提供されるか否かが焦点になりそうです。BOMはいずれ利下げするとの観測が市場にはあります。声明の内容を受けて、利下げ観測が後退するかどうかに注目です。
同じ25日に、SARB(南アフリカ中銀)の政策会合があります。市場では、政策金利は現行の3.50%に据え置かれるとの見方が大勢です。
今週の注目通貨ペア①:<トルコリラ/円 予想レンジ:12.000円~14.200円>
エルドアン・トルコ大統領は20日、TCMB(トルコ中銀)のアーバル総裁を突然解任。総裁の後任にカブジュオール氏を充てました。
アーバル氏は昨年11月7日に総裁に就任。アーバル氏はインフレを抑制する姿勢を強く示し、必要なら利上げすると表明。就任後の約4カ月間で合計8.75%の利上げを行いました(昨年11月と12月、今年3月)。インフレの抑制に向けて実際に行動したことで、市場ではTCMBの金融政策への信頼感が回復し、それが昨年11月以降のトルコリラ上昇の主因でした。
TCMBは近い将来に利下げに転じる可能性があります。カブジュオール新総裁は21日に「即時の政策変更は計画しておらず、いかなる動きもインフレ次第だ」と述べたものの、2月の地元紙のコラムでは「利上げはインフレを上昇させる」との見方を示し、アーバル氏の利上げ路線を批判しました。また、「金利が下がれば、インフレは下がる」を持論とするエルドアン大統領が今後、金融政策への介入姿勢を一段と強めるおそれもあります。
TCMBの金融政策への信頼が損なわれれば、トルコリラは一段と下押しする可能性があります。リラ/円は11.998円(2020/11/6安値)に向かって下がる可能性があります。一方、上値は200日移動平均線(14.184円)がメドとして意識されそうです。
今週の注目通貨ペア➁:<メキシコペソ/円 予想レンジ:5.000円~5.400円>
25日、BOM(メキシコ中銀)が政策会合を開きます。BOMは2月の前回会合で0.25%の利下げを実施。政策金利を4.00%に引き下げました。
政策金利は今回据え置かれそうです。メキシコの2月CPI(消費者物価指数)は前年比3.76%と、前月の3.54%から上昇率が加速し、昨年11月以来の高い伸びを記録。その結果、実質金利(政策金利からCPI上昇率を引いたもの)は、0.46%から0.24%へと縮小しました。また、最近の原油高の影響によってインフレ圧力は今後一段と高まる可能性があります。
政策金利が据え置かれた場合、声明で追加利下げの可能性が示されるか否かに注目。市場で追加利下げ観測が低下すれば、メキシコペソ高材料になりそうです。
原油価格(米WTI原油先物など)にも目を向ける必要があります。欧州で新型コロナの感染が再拡大している一方、米国ではワクチンの接種が順調に進んでいます。ワクチン接種の進展による米景気回復の方が市場で強く意識されれば、原油価格は堅調に推移しそうです。メキシコは産油国のため、原油価格の上昇はペソ高材料です。
メキシコペソ/円の目先のメドとして、上値が5.349円(3/18高値)、下値は200日移動平均線(4.996円)が挙げられます。
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