レカム Research Memo(7):2021年9月期通期予想は大幅増収・増益、コロナ禍長期化の場合でも黒字を目指す

配信元:フィスコ
投稿:2021/02/15 15:17
■今後の見通し

1. 2021年9月期通期業績予想
レカム<3323>の2021年9月期の通期業績予想は売上高が前期比16.7%増の10,200百万円、営業利益が600百万円(前期は345百万円の損失)、経常利益が600百万円(前期は244百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比7.0%増の350百万円としている。大幅増収増益見込みで、親会社株主に帰属する当期純利益については4期連続で過去最高益を確保する見込みとしている。増収増益予想の主軸としては、「ReSPR」の組織(海外法人事業、ITソリューション事業、エネルギーソリューション事業)をまたぐ横断的な販売推進を行うことを挙げている。なお、同社では、コロナ禍がさらに拡大し、国内・海外法人において一時的に営業活動ができなくなる可能性を予想して下記のように下振れ数値を開示しており、その場合でも売上高は2020年9月期並み、親会社株主に帰属する当期純利益は黒字確保を予想している。

なお下振れ予想値(参考値)として、売上高が前期比0.7%増の8,800百万円、営業利益が150百万円(前期は345百万円の損失)、経常利益が160百万円(前期は244百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比81.7%減の60百万円としている。

また配当については、「配当性向30%を基準に業績に連動した配当を実施する」という基本方針に則り、2020年9月期と同じ1株当たり2.0円を予定している(2019年9月期は3.0円)。

コロナ禍については、未だ予断を許す状況にはない。しかし、仮に感染拡大が長期化した場合においても、逆に感染予防商品である「ReSPR」の拡販が期待できることや、Web商談による営業活動の促進などにより、2020年9月期並みの売上高と当期純利益の黒字確保は十分可能であるとの予想である。いずれにしても、「ReSPR」の拡販が大きくカギを握っていると思われ、今後に注目したい。

2. 事業別戦略について
(1) 海外法人事業
海外法人事業における2021年9月期通期予想は、売上高2,500百万円(前期比146.4%)、セグメント利益250百万円(前期は380百万円の損失)である。コロナ禍により2020年9月期に計画していたローカルマーケット進出は一旦中止し、既存エリアに一旦集中して販売を進めたが、2021年9月期は本格的にローカルマーケットの進出を進めていく予定である。成長の主軸となるのが感染症対策商材「ReSPR」の販売拡大で、日系企業向け直販チャネル、ローカル企業向け直販・代理店チャネル、EC販売チャネルと多面的に展開していく。また、LED照明やエアコンなど環境関連商材の再強化や各商材の既存顧客の共有化によりクロスセルを推進していく。

(2) ITソリューション事業
ITソリューション事業における2021年9月期通期予想は、売上高4,350百万円(前期比105.5%)、セグメント利益240百万円(同223.9%)である。国内の情報通信機器市場が長期的に伸び悩むなかで、コロナ禍による営業活動の制限も見受けられるものの、テレワークの広がりなどで逆にフォローの風となっている面もある。海外法人事業と同様に「ReSPR」の販売強化と合わせて、ビジネスホン、複合機、UTM等のテレワーク推進商材の販売を合わせて実施する。差別化商品の販売やストック型収益の拡大で収益性の向上を図り、セグメント利益率を前期実績2.6%から2021年9月期は5.5%へ向上させるのが目標である。

(3) エネルギーソリューション事業
エネルギーソリューション事業における2021年9月期通期予想は、売上高2,760百万円(前期比115.5%)、セグメント利益110百万円(前期は93百万円の損失)である。LED自社ブランド「RENTIA」を強化し、収益性を改善すること、新型コロナウイルス対策関連商材を代理店経由で拡販していく。蓄電池の販売は、アライアンスを強化することも重要施策として掲げている。

(4) BPR事業
BPR事業における2021年9月期通期予想は、売上高710百万円(前期比137.3%)、セグメント利益120百万円(同101.2%)である。働き方改革への貢献により、ストック型収益の拡大を実施していく。AI inside<4488>との連携も進め、前期より販売を開始した「RET’s ロボ」「RETS’OCR」を含めたRet’sシリーズや中小企業向けBPRパッケージの販売強化を進める。また、新規顧客獲得とともに、既存顧客からの積み上げ強化を図る。

3. 組織営業力・経営管理体制の強化
同社は、2020年9月期の業績悪化について、特に組織的に営業力が低下したり、従来から大きく営業方法を変更したりしたことはないとしている。しかし、後述の中期経営計画で述べるように、今後は海外法人事業に経営リソースを集中させるとしており、2021年9月期の通期取り組みとして、1)組織力・営業力の強化、2)経営管理体制の強化、という面で注力を図っていく。

1) 組織力・営業力の強化
テレワーク推進商材・環境関連商材・新サービスの販売を強化するために、組織営業力強化を図る。具体的には以下を進める。
a) 既存社員の生産性向上、階層に応じた営業教育の強化、新入社員の早期育成などの営業社員の生産性向上を進める。
b) リモート営業ノウハウの確立やSFA(営業支援システム)投資により顧客の共有化などの営業体制の改革を進める。
c)グループ間の連携強化で、他事業部顧客へのアップセル推進による売上拡大を推進する。

2) 経営管理体制の強化
経営基盤の継続的強化として経営管理体制の強化を図る。具体的には以下を進める。
a) グローバルに対応した経営管理体制の構築として、新基幹システム導入や債権・在庫管理機能の強化、会計制度の統一などを進める。
b) 持株会社を中心とした経営管理機能強化として、内部統制制度強化、IT投資の拡大、財務経理部門の充実、購買の一元管理などを推進する。

4. 配当予想
同社は配当基本方針について、配当性向30%(配当金総額=連結当期純利益×30%)を基準に業績に連動した配当を実施するとしている。2020年9月期は、有価証券売却益を計上することによって年初計画通りの1株当たり2.0円の配当を決定した。2021年9月期予想は、前期実績を維持して1株当たり2.0円の計画である。

過年度の配当金と配当性向の推移を見てみると、2016年9月期に8期ぶりの復配をして以降、2019年9月期までは業績は順調に拡大していた。2020年9月期は減収・営業赤字であったが、投資家の期待に応え年初計画通りの配当を確保した。コロナ禍が速やかに収束して営業活動が順調に進むことと、後述の中期経営計画の着実な推進によって、今後は業績のさらなる向上と配当額も順調に伸びることを期待したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田秀樹)


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