【IRアナリストレポート】イワキ(8095)

著者:鈴木 行生
投稿:2021/02/03 16:37

~アステナに社名変更、ビジネスモデルの変革が本格化~

【ポイント】
・6月に社名をアステナホールディングスに変更する。「明日+サステナブル」から名付け、本社機能の一部を能登半島の珠洲すず市に移す。新中長期ビョンAstena 2030“Diversify for Tomorrow.”では、2030年に売上高1300億円、ROE13%以上を目指す。

・当社のビジネスモデル(価値創造の仕組み)が大きく変貌している。CMC(スペラファーマ)のプラットフォームを軸に、新たなニッチトップを目指す。成長の第2ステージに入ってくるので、業績も大きく伸びてこよう。

・買収したスペラファーマをコアに、事業の新規拡大が進展しつつある。医薬品の開発・製造(CDMO)では、塗り薬に加えて注射剤分野へ展開できよう。武田薬品工業の事業部門であった企業の買収、鳥居薬品の工場の買収、健康食品のマルマンH&Bの買収などを実行した。投資額は全体で84億円、のれんの償却を入れても営業利益の拡大余地は大きい。

・製薬メーカーが新薬を開発した後、新薬の原料・原薬の製造方法の開発や品質管理を担う機能がCMC(Chemistry Manufacturing and Control)である。スペラファーマの取得価額は63億円、売上高63億円、営業利益6億円の会社であった。CMCの需要は旺盛で、医薬品原料事業とのシナジーも有望である。同年7月に鳥居薬品から、同社の佐倉工場を買収した。自社の外皮用剤とのシナジーはすぐに見込め、注射剤の基盤も確保した。

・1)抗がん剤向けなどの高活性原薬や中間体などAPI(有効成分)分野の強化、2)CMC研究開発受託事業の拡大、3)医薬品原料の合成技術の応用も含めた高純度の電子材料や、パワー半導体分野での新しい表面処理薬品、4)シルバー世代に強みを持つ通販化粧品分野などをリード役に、今後も事業投資が活発化しよう。

・商社から研究開発型製造機能へのシフトを進めており、製造比率は40%以上に上昇しよう。2023年11月期までの3ヵ年計画(売上高820億円、営業利益42億円、ROE 9.7%)は、今回のM&Aで達成の確度が高まっている。コロナの影響は一部出ているが、ピーク利益の更新が続こう。収益力は継続的に向上していく。当社のCX(企業変革)が評価され、PBRもようやく1.0倍を超える局面にあるが、次は1.5倍を目指すことになろう。

目 次
1.特色 医薬品、医薬品原料、化学品で製造機能を強化
2.強み スペラファーマ買収を機に持株会社化を推進
3.中期経営計画 新10年ビジョンで収益力は向上
4.当面の業績 ピーク利益の更新が続こう
5.企業評価 画期的なビジネスモデルの変革

イワキ <8095>
企業レーティング
株価
(2021年2月3日)
634円
時価総額 220億円
(34.729百万株)
PBR 0.97倍
ROE 9.2%
PER 10.4倍
配当利回り 2.8%
総資本 54319百万円
純資産 21651百万円
自己資本比率 39.9%
BPS 656.5円
(百万円、円)
決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 EPS 配当
2012.11 51953 1126 1292 728 21.6 6.0
2013.11 52465 1007 1144 744 22.0 6.0
2014.11 54145 890 962 496 14.7 7.5
2015.11 55422 559 694 -143 -4.3 6.0
2016.11 55121 977 1071 8 0.3 6.0
2017.11 57387 1571 1778 1241 37.9 7.5
2018.11 60083 1849 2000 1414 43.8 10.5
2019.11 61647 2121 2318 1533 47.0 13.0
2020.11 65341 2035 1968 1983 60.3 16.0
2021.11(予) 73000 2600 2700 2000 60.7 18.0
2022.11(予) 77000 3600 3700 2500 75.8 20.0

(2020.11ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2020年12月に第三者割当新株予約権によるエクイティファンナンスを開始、発行株式数672万株、19.9%の希薄化に相当、権利行使期間は2023年12月18日までの3年間。予想EPSは希薄化前の数値。

企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。

レポート全文はこちらから
http://www.belletk.com/iwaki202102.pdf

日本ベル投資研究所の過去レポートはこちらから

配信元: みんかぶ株式コラム

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