ギグワークス Research Memo(2):複数の大型継続案件を受注し、ギグワーカー稼働数も過去最高で推移(2)

配信元:フィスコ
投稿:2021/01/29 15:12
■要約

3. 成長戦略・トピック
2020年10月、ギグワークス<2375>は、ギグワーカー(働き手)とクライアント企業(発注者)の間で、仕事の受発注を直接成立可能とするプラットフォーム「GiGWorks Basic」の提供を開始した。クライアント企業は、仕事の募集から、契約の締結、委託報酬料の支払いまでを一括して「GiGWorks Basic」サイト内で行うことができる。また、利用料金に関しては、「仕事成立の際に支払報酬額の10%」となっており業界標準よりも廉価に利用できる。ギグワーカーは「GiGWorks Basic」サイトを通じて、経歴、保持するスキルの一覧、これまでの受託実績内容の履歴、企業からの評価を表示することで、自己アピールができ、利用料金は無料である。同様のサイトサービスは、クラウドワークス、ランサーズなども展開しており、利用者数を増やしている。同社にはこれまでの業務を通じて10万人以上の登録会員(ギグワーカー)がおり、毎月1,000社におよぶクライアント企業から業務を受託しており、「GiGWorks Basic」の初期のユーザーの基盤になると想定される。2021年10月期は、本格的に広告宣伝やシステム改善に積極投資をする予定である。

同社のアセットデザインは、2020年12月に、法人向け多拠点サテライト「スマートオフィス」プランのサービスを開始した。運営するシェアオフィス計62拠点(都内主要エリア40拠点と郊外主要ターミナル22拠点、2020年11月15日現在)と藤田観光<9722>との業務提携によるワシントンホテル等15店舗合計70 拠点以上を、1人当たり月額2万円(税別)で何回でも利用できるという、価格競争力のあるプランである。2020年はテレワークが加速度的に浸透し、働き方が多様化した。オフィスの役割も全員が同じ時間・同じ場所に集まる「集約型」から、より柔軟で多様な働き方に適した「分散型」にシフトしている。このような背景から、在宅ワークのみならず、サテライトオフィスの需要が拡大している。これまで、法人を対象にした「50拠点以上の多拠点を利用できるサテライトオフィスのサブスクリプション(定額制)」は国内市場にはなかった。「スマートオフィス」に登録した法人は、サテライトオフィスを準備する初期投資がかからず、ローコストで複数拠点体制を構築できる。なお、利用機会の少ない企業向けに従量制プランも提供する。現在は77拠点だが、2021年10月期中には、中小規模サテライトを中心に新設し、100拠点体制を目指す計画だ。

4. 株主還元策
同社は、重点分野への積極的な投資等により確固たる競争力を早期に築くことを重要な課題と認識しつつ、同時に株主に対する利益還元についても重要な経営の課題として認識している。2020年10月期は期初に配当金年18円を予想したが、好調な業績を背景に、実績としては配当金年22円(前期比8円増配)、配当性向22.5%(同1.7ポイント上昇)となった。2021年10月期も連続増配の予想であり、配当金年24円、配当性向23.1%の予想である。過去4年間の実績では、継続的な増益とともに、配当性向を7.2ポイント(15.3%→22.5%)向上しており、これらの両面から高い増配ペースが期待できる。

■Key Points
・ギグエコノミー市場(ヒト・スキルのシェアリング)が急拡大。同社は主要プレーヤーの中で黒字化を達成した数少ない企業
・2020年10月期は5期連続の増収増益を達成。複数の大型継続案件を受注し、ギグワーカー稼働数も過去最高で推移
・成長戦略投資に備え財務基盤を強化。資産規模100億円超、現金及び預金40億円超。経営効率が向上し、ROEが過去4年間で10.5ポイント上昇
・2021年10月期は、売上高・営業利益が2ケタ成長予想。GIGAスクール、5G基地局、サテライトオフィス需要など事業機会が拡大
・ギグワーカーとクライアントの直接マッチングする「GiGWorks Basic」サービス開始。法人従業員向けの多拠点サテライト「スマートオフィス」始動
・2020年10月期は配当金22円(前期比8円増配)、配当性向22.5%(同1.7ポイント上昇)。増益と配当性向上昇の両面から高い増配ペースが期待できる

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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