■業績動向
1. 2021年3月期第2四半期業績概要
2021年3月期第2四半期業績は売上高124,180百万円(前年同期比3.1%減)、営業利益4,177百万円(同17.4%減)、経常利益4,970百万円(同15.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益6,918百万円(同53.6%増)での着地となった。コロナ禍に伴う緊急事態宣言発出の影響により2020年4月−5月が特に厳しく、宣言解除後は回復傾向にあるが勢いは鈍い。昭和産業<2004>はコロナ禍の影響が第2四半期まで続くとの想定において2021年3月期予想を示していたが、新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴い再び飲食店への営業時間の短縮要請が行われるなど依然として不透明な状況であるため、第3四半期以降も影響が継続すると同社は見ている。巣ごもり需要により家庭向けのお好み焼粉やホットケーキミックス、パスタが好調なほか、配合飼料等の販売数量の増加が見られ始めたが、消費者の新型コロナウイルス感染症に対する警戒心は完全には払拭しきれず、コンビニエンスストア向けの日配品や外食産業向けの業務用食材の落ち込みが大きく影響している。また、親会社株主に帰属する四半期純利益が大幅増加となったのはボーソー油脂の子会社化によるもので、特別利益として負ののれん発生益3,463百万円を計上した。
2. セグメント業績
製粉事業は売上高37,156百万円(前年同期比8.1%減)、営業利益785百万円(同54.4%減)だった。マーケット分析力を生かしたターゲット業態別での提案型営業を強化しており、コロナ禍の影響による内食需要の高まりから、中華麺用・日本麺用小麦粉の販売は好調となった。一方で外出自粛の影響から、外食産業やコンビニエンスストア向けは苦戦しており、特にコンビニエンスストア向けの日配品においては、来客数の減少等により販売数量は減少した。冷凍食品やテイクアウト等の新たな需要取り組みを行うも、業務用小麦粉、業務用プレミックス(加工用プレミックス)とも販売数量は減少となった。
同社は大手コンビニエンスストア向けパンの供給において1都3県(東京・千葉・埼玉・神奈川)の約半分をテリトリーとしている。特に主要都市を中心としたビジネス街等に出店するコンビニエンスストア向けにおいては、企業のテレワーク導入などによる影響を受けていると弊社では考えている。また、中華麺用・日本麺用小麦粉の販売は好調であるが、保存が効くカップ麺向けにおいては、巣ごもりが長期化するといった不安から買いだめによる需要は落ち着いていると見られる。その他、ふすま(小麦の外皮で主に家畜の飼料向け)の販売数量については前年同期を上回っている。なお、販売価格については、輸入小麦の政府売渡価格が2020年4月に平均3.1%(税込価格)引き上げられたことを受けて、小麦粉製品の価格改定を実施している。
油脂食品事業は売上高42,185百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益1,701百万円(同15.6%減)だった。業務用では、油脂と食材(ミックス・パスタ)のシナジーを生かした、課題解決型の営業活動を推進した。新たな販路開拓に取り組んだほか、ボーソー油脂を子会社化したことにより、業務用油脂の販売数量は前年同期を上回った。一方、業務用食材の販売数量については、主要販売先である外食産業の苦戦により前年同期を下回っている。家庭用では、緊急事態宣言解除後も家庭内調理頻度は下がっておらず8月中旬以降に収束感は出たものの、全体としては内食消費が継続したことで需要は増加した。また、家庭用食用油の販売数量は前年同期を上回ったほか、家庭用小麦粉、プレミックス(お好み焼粉、ホットケーキミックス等)、パスタの販売数量については前年同期を大幅に上回っている。なお、第1四半期より業績管理区分を見直しており、従来「製粉事業」に区分していた冷凍食品業を「油脂食品事業」に区分する変更を行った。
糖質事業は売上高17,093百万円(前年同期比4.9%減)、営業利益1,067百万円(同26.8%増)だった。子会社の敷島スターチ(株)との連携を図り、低分解水あめ、粉あめなどの独自商品群の拡販に努めたが、糖化品の販売数量は飲料用途を中心に厳しい環境が続いている。コーンスターチの販売数量もビール用途等の需要低下により減少した。加工でん粉の販売数量についても、食品用途・工業用途ともに需要が減少している。一方、糖質製品の価格改定が進捗していることや機能性製品の拡販により、営業利益は前年同期を上回っている。
飼料事業は売上高25,266百万円(前年同期比2.3%減)、営業利益533百万円(同114.1%増)だった。鶏卵を中心とした畜産物の販売支援による畜産生産者との取り組み強化と、高利益商材の販売強化を図っている。配合飼料の販売数量は前年同期を上回ったが、鶏卵の販売数量は前年同期を下回った。また、配合飼料の販売価格は原料穀物価格の影響により前年同期を下回ったが、鶏卵の販売価格は鶏卵相場が前年を上回る水準で推移したことにより、前年同期を上回った。
倉庫業及び不動産業、保険代理業、自動車等リース業、運輸業等を合わせたその他事業は売上高2,478百万円(前年同期比7.1%減)、営業利益859百万円(同16.6%減)だった。倉庫業はコロナ禍の影響により荷動きが停滞するなか、隣接する同社関連サイロ会社との連携を図り、効率的な荷役に努めた。不動産業は所有物件の資産価値向上、リーシングによる売上げ拡大を図った。なお、第1四半期より業績管理区分を見直し、従来の「倉庫事業」と「不動産事業」を「その他」に区分している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<EY>
1. 2021年3月期第2四半期業績概要
2021年3月期第2四半期業績は売上高124,180百万円(前年同期比3.1%減)、営業利益4,177百万円(同17.4%減)、経常利益4,970百万円(同15.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益6,918百万円(同53.6%増)での着地となった。コロナ禍に伴う緊急事態宣言発出の影響により2020年4月−5月が特に厳しく、宣言解除後は回復傾向にあるが勢いは鈍い。昭和産業<2004>はコロナ禍の影響が第2四半期まで続くとの想定において2021年3月期予想を示していたが、新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴い再び飲食店への営業時間の短縮要請が行われるなど依然として不透明な状況であるため、第3四半期以降も影響が継続すると同社は見ている。巣ごもり需要により家庭向けのお好み焼粉やホットケーキミックス、パスタが好調なほか、配合飼料等の販売数量の増加が見られ始めたが、消費者の新型コロナウイルス感染症に対する警戒心は完全には払拭しきれず、コンビニエンスストア向けの日配品や外食産業向けの業務用食材の落ち込みが大きく影響している。また、親会社株主に帰属する四半期純利益が大幅増加となったのはボーソー油脂の子会社化によるもので、特別利益として負ののれん発生益3,463百万円を計上した。
2. セグメント業績
製粉事業は売上高37,156百万円(前年同期比8.1%減)、営業利益785百万円(同54.4%減)だった。マーケット分析力を生かしたターゲット業態別での提案型営業を強化しており、コロナ禍の影響による内食需要の高まりから、中華麺用・日本麺用小麦粉の販売は好調となった。一方で外出自粛の影響から、外食産業やコンビニエンスストア向けは苦戦しており、特にコンビニエンスストア向けの日配品においては、来客数の減少等により販売数量は減少した。冷凍食品やテイクアウト等の新たな需要取り組みを行うも、業務用小麦粉、業務用プレミックス(加工用プレミックス)とも販売数量は減少となった。
同社は大手コンビニエンスストア向けパンの供給において1都3県(東京・千葉・埼玉・神奈川)の約半分をテリトリーとしている。特に主要都市を中心としたビジネス街等に出店するコンビニエンスストア向けにおいては、企業のテレワーク導入などによる影響を受けていると弊社では考えている。また、中華麺用・日本麺用小麦粉の販売は好調であるが、保存が効くカップ麺向けにおいては、巣ごもりが長期化するといった不安から買いだめによる需要は落ち着いていると見られる。その他、ふすま(小麦の外皮で主に家畜の飼料向け)の販売数量については前年同期を上回っている。なお、販売価格については、輸入小麦の政府売渡価格が2020年4月に平均3.1%(税込価格)引き上げられたことを受けて、小麦粉製品の価格改定を実施している。
油脂食品事業は売上高42,185百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益1,701百万円(同15.6%減)だった。業務用では、油脂と食材(ミックス・パスタ)のシナジーを生かした、課題解決型の営業活動を推進した。新たな販路開拓に取り組んだほか、ボーソー油脂を子会社化したことにより、業務用油脂の販売数量は前年同期を上回った。一方、業務用食材の販売数量については、主要販売先である外食産業の苦戦により前年同期を下回っている。家庭用では、緊急事態宣言解除後も家庭内調理頻度は下がっておらず8月中旬以降に収束感は出たものの、全体としては内食消費が継続したことで需要は増加した。また、家庭用食用油の販売数量は前年同期を上回ったほか、家庭用小麦粉、プレミックス(お好み焼粉、ホットケーキミックス等)、パスタの販売数量については前年同期を大幅に上回っている。なお、第1四半期より業績管理区分を見直しており、従来「製粉事業」に区分していた冷凍食品業を「油脂食品事業」に区分する変更を行った。
糖質事業は売上高17,093百万円(前年同期比4.9%減)、営業利益1,067百万円(同26.8%増)だった。子会社の敷島スターチ(株)との連携を図り、低分解水あめ、粉あめなどの独自商品群の拡販に努めたが、糖化品の販売数量は飲料用途を中心に厳しい環境が続いている。コーンスターチの販売数量もビール用途等の需要低下により減少した。加工でん粉の販売数量についても、食品用途・工業用途ともに需要が減少している。一方、糖質製品の価格改定が進捗していることや機能性製品の拡販により、営業利益は前年同期を上回っている。
飼料事業は売上高25,266百万円(前年同期比2.3%減)、営業利益533百万円(同114.1%増)だった。鶏卵を中心とした畜産物の販売支援による畜産生産者との取り組み強化と、高利益商材の販売強化を図っている。配合飼料の販売数量は前年同期を上回ったが、鶏卵の販売数量は前年同期を下回った。また、配合飼料の販売価格は原料穀物価格の影響により前年同期を下回ったが、鶏卵の販売価格は鶏卵相場が前年を上回る水準で推移したことにより、前年同期を上回った。
倉庫業及び不動産業、保険代理業、自動車等リース業、運輸業等を合わせたその他事業は売上高2,478百万円(前年同期比7.1%減)、営業利益859百万円(同16.6%減)だった。倉庫業はコロナ禍の影響により荷動きが停滞するなか、隣接する同社関連サイロ会社との連携を図り、効率的な荷役に努めた。不動産業は所有物件の資産価値向上、リーシングによる売上げ拡大を図った。なお、第1四半期より業績管理区分を見直し、従来の「倉庫事業」と「不動産事業」を「その他」に区分している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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