■要約
プロスペクト<3528>の起源は、繊維事業を行っていた井波機業株式会社であったが、1994年に繊維事業から撤退し、事業の主力を不動産事業(主にマンション分譲)に転換した。その後、一時期はマンション開発大手の(株)大京グループに属していたが、2007年に自主独立経営を開始、ファンドとして同社への投資を行っていた旧(株)プロスペクトのオーナー社長であったカーティス・フリーズ氏が2010年に同社の代表取締役社長に就任した※1。それからはM&Aにより建設事業、注文住宅事業などへ事業を拡大し、2019年までは不動産販売事業(マンション分譲、土地建物、注文住宅)、アセットマネジメント事業、建設事業※2、ソーラー発電を含む再生可能エネルギー事業などの幅広い事業を行っていたが、2019年中に建設事業、アセットマネジメント事業から撤退した。さらに2021年3月期からは経営陣が替わったこともあり、事業セグメントを不動産事業と再生可能エネルギー事業の2つに集約している。
※1 カーティス・フリーズ氏は、2019年3月期第2四半期決算の四半期報告書提出遅延にかかる混乱の責任を取り2018年12月13日付で代表取締役を退き、さらに同社が2020年3月期から監査等委員会設置会社へ移行するのに伴い2019年6月27日付で取締役を退任している。
※2 建設事業は、2019年3月に子会社株式をすべて売却したことから2020年3月期からはセグメントに含まれない。またアセットマネジメント事業も、2019年5月に子会社の清算を決議したため、2019年5月までの業績が2020年3月期連結業績に反映されるものの、それ以降は連結業績に含まれない。両セグメントともに2021年3月期には完全に除外される。
1. 2021年3月期第2四半期業績
2021年3月期第2四半期の連結業績は、売上高2,931百万円(前年同期比59.9%増)、営業損失606百万円(前年同期は1,383百万円の損失)、経常損失669百万円(同477百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失2,829百万円(同536百万円の損失)となった。2021年3月期から不動産事業と再生可能エネルギー事業の2セグメントに集約された。不動産事業は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響もあり477百万円の営業損失を計上したものの、再生可能エネルギー事業は310百万円の営業利益を計上した。また特別損失として、保有するカナダ上場株式の投資有価証券評価損1,952百万円、太陽光発電事業における投資の回収可能性の見直しに伴う出資金評価損487百万円を計上したことなどから、親会社株主に帰属する四半期純損失は前年同期を大きく上回る損失となった。しかしこれらは評価損であり現金の流失を伴うものではないことから、バランスシートのスリム化が進んだと言える。
2. 2021年3月期業績見通し
同社は、今後のコロナ禍の影響が不透明であることから、2021年3月期の連結業績予想を適正かつ合理的に行うことが困難であると判断し、発表を見送った。今後、業績予想の開示が可能となった段階で、速やかに開示するとしている。ただし、事業環境としては上期と比較し下期に好転する見込みであり、新規連結子会社も加わることなどから、下期業績が上期を上回る可能性が高いと思われる。なお配当については未定としている。
3. 今後の事業展開について
同社では、2020年6月の臨時株主総会の決議によって主な経営陣が入れ替わり、2020年11月末現在では取締役会長:藤澤信義(ふじさわのぶよし)氏(Jトラスト<8508>代表取締役社長現任)、代表取締役社長CEO:泉信彦(いずみのぶひこ)氏、取締役:岡勝(おかまさる)氏(不動産関連事業担当)、取締役:西村浩(にしむらひろし)氏(再生可能エネルギー事業担当)の4氏が経営の中枢を担っている。今後の事業展開については、これら4氏が中心となり、不動産関連事業と再生可能エネルギー事業に集中して事業展開を進める計画だ。今までのコングロマリット型(事業分散型)経営から、事業ドメインを絞り込んだ今後の展開は注目すべきだろう。
■Key Points
・不動産関連と再生可能エネルギー関連を中心に事業展開を行う
・再生可能エネルギー関連事業を成長ドライバーとして推進
・バランスシートのスリム化も進む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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プロスペクト<3528>の起源は、繊維事業を行っていた井波機業株式会社であったが、1994年に繊維事業から撤退し、事業の主力を不動産事業(主にマンション分譲)に転換した。その後、一時期はマンション開発大手の(株)大京グループに属していたが、2007年に自主独立経営を開始、ファンドとして同社への投資を行っていた旧(株)プロスペクトのオーナー社長であったカーティス・フリーズ氏が2010年に同社の代表取締役社長に就任した※1。それからはM&Aにより建設事業、注文住宅事業などへ事業を拡大し、2019年までは不動産販売事業(マンション分譲、土地建物、注文住宅)、アセットマネジメント事業、建設事業※2、ソーラー発電を含む再生可能エネルギー事業などの幅広い事業を行っていたが、2019年中に建設事業、アセットマネジメント事業から撤退した。さらに2021年3月期からは経営陣が替わったこともあり、事業セグメントを不動産事業と再生可能エネルギー事業の2つに集約している。
※1 カーティス・フリーズ氏は、2019年3月期第2四半期決算の四半期報告書提出遅延にかかる混乱の責任を取り2018年12月13日付で代表取締役を退き、さらに同社が2020年3月期から監査等委員会設置会社へ移行するのに伴い2019年6月27日付で取締役を退任している。
※2 建設事業は、2019年3月に子会社株式をすべて売却したことから2020年3月期からはセグメントに含まれない。またアセットマネジメント事業も、2019年5月に子会社の清算を決議したため、2019年5月までの業績が2020年3月期連結業績に反映されるものの、それ以降は連結業績に含まれない。両セグメントともに2021年3月期には完全に除外される。
1. 2021年3月期第2四半期業績
2021年3月期第2四半期の連結業績は、売上高2,931百万円(前年同期比59.9%増)、営業損失606百万円(前年同期は1,383百万円の損失)、経常損失669百万円(同477百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失2,829百万円(同536百万円の損失)となった。2021年3月期から不動産事業と再生可能エネルギー事業の2セグメントに集約された。不動産事業は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響もあり477百万円の営業損失を計上したものの、再生可能エネルギー事業は310百万円の営業利益を計上した。また特別損失として、保有するカナダ上場株式の投資有価証券評価損1,952百万円、太陽光発電事業における投資の回収可能性の見直しに伴う出資金評価損487百万円を計上したことなどから、親会社株主に帰属する四半期純損失は前年同期を大きく上回る損失となった。しかしこれらは評価損であり現金の流失を伴うものではないことから、バランスシートのスリム化が進んだと言える。
2. 2021年3月期業績見通し
同社は、今後のコロナ禍の影響が不透明であることから、2021年3月期の連結業績予想を適正かつ合理的に行うことが困難であると判断し、発表を見送った。今後、業績予想の開示が可能となった段階で、速やかに開示するとしている。ただし、事業環境としては上期と比較し下期に好転する見込みであり、新規連結子会社も加わることなどから、下期業績が上期を上回る可能性が高いと思われる。なお配当については未定としている。
3. 今後の事業展開について
同社では、2020年6月の臨時株主総会の決議によって主な経営陣が入れ替わり、2020年11月末現在では取締役会長:藤澤信義(ふじさわのぶよし)氏(Jトラスト<8508>代表取締役社長現任)、代表取締役社長CEO:泉信彦(いずみのぶひこ)氏、取締役:岡勝(おかまさる)氏(不動産関連事業担当)、取締役:西村浩(にしむらひろし)氏(再生可能エネルギー事業担当)の4氏が経営の中枢を担っている。今後の事業展開については、これら4氏が中心となり、不動産関連事業と再生可能エネルギー事業に集中して事業展開を進める計画だ。今までのコングロマリット型(事業分散型)経営から、事業ドメインを絞り込んだ今後の展開は注目すべきだろう。
■Key Points
・不動産関連と再生可能エネルギー関連を中心に事業展開を行う
・再生可能エネルギー関連事業を成長ドライバーとして推進
・バランスシートのスリム化も進む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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