NYコラム(10日)ダウ平均は売り先行でスタートか⁈−10日のFDA諮問委員会でコロナワクチン承認へ

著者:加藤裕一
投稿:2020/12/10 23:24

NY株式市場(10日)新規失業保険申請件数は市場予想を上回る−米下院で暫定予算案が可決

10日のニューヨーク株式市場でダウ平均は売り先行で取引が始まりそうだ。

取引開始前に発表された週間ベースの新規失業保険申請件数は85.3万件と市場予想(72.5万件)を上回ったほか、上方修正された前週実績(71.6万件)から増加したことから下押し圧力が強まりそうだ。

アメリカ議会下院は9日、今後1週間の暫定予算案を可決したことから、政府機関閉鎖を回避した。上院での可決後にトランプ大統領の署名で成立することになる。追加経済対策めぐるアメリカ議会の与野党協議が難航していることから現在の暫定予算が11日に期限を迎える前につなぎ予算が必要となったものだ。アメリカ議会での追加経済対策を含む予算案成立は、年越しが必死の情勢となっていることから、買い見送りムードが根強い相場環境となろう。

ただ、ダウ平均は寄り付きで再び3万ドル割れを睨みながら取引が始まったあとは、相場の底堅さが意識されそうだ。

米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナワクチンを協議するFDA=米食品医薬品局の諮問委員会が10日に開催される。FDAは会合後に速やかに使用を許可するものと見られており、アメリカ国内におけるコロナワクチンの接種開始に向けた希望の扉が開かれることになる。

注目されていた9日の英国とEUのFTA交渉は交渉決裂を回避して13日までの再協議が決まったほか、ECB=ヨーロッパ中央銀行は、パンデミック購入プログラムの期間延長などの追加措置を決めた。アメリカでも15日から始まるFOMCの次回会合で追加緩和に対する思惑も強まりそうな1日となる。

加藤裕一
米国株ストラテジスト
配信元: 達人の予想