■イノベーション<3970>の会社概要
2. 事業内容
同社グループの主な事業内容は、法人向けのインターネットマーケティング支援事業となり、法人営業における見込み顧客獲得(リードジェネレーション)や見込み顧客の育成(リードナーチャリング)、顧客獲得後のフォローアップまで、すべてのプロセスにおいてサービスを提供していることが特徴となっている。見込み顧客獲得のサービスとしては比較・資料請求サイトの「ITトレンド」「BIZトレンド」、見込み顧客育成から顧客獲得後のフォローアップをMAツールの「List Finder」で、それぞれサービス提供する格好となっている。
事業セグメントとしては、オンラインメディア事業とITソリューション事業(旧セールスクラウド事業)に区分している。
(1) オンラインメディア事業
オンラインメディア事業では、法人向けIT製品の比較・資料請求サイトとして業界最大級となる「ITトレンド」と、研修、人事、採用及び給与計算などの法人向けアウトソーシングサービスの比較・資料請求サイト「BIZトレンド」のサービスを主力サービスとして展開している。そのほかに、日経BPが運営するオンラインメディアを中心とした各媒体(日経ビジネス、日経XTECH等)に対して、顧客企業のニーズに合わせて広告をプランニングする広告販売代行サービス(同事業の売上構成の1割強)や、2018年より開始したビジネスセミナー動画のオンラインプラットフォームサービス「Seminar Shelf」、2019年より開始したセールスイネーブルメントツール「Sales Doc.(セールス ドック)」が含まれる。
a) 「ITトレンド」「BIZトレンド」
「ITトレンド」「BIZトレンド」は、IT製品やアウトソーシングサービスを販売する企業(以下、掲載企業)が見込み顧客の獲得を目的として自社製品・サービスを掲載するWebサイトとなり、「ITトレンド」に関しては業界最大規模の掲載数や集客力を誇る。新たなIT製品やアウトソーシングサービス等の導入を検討する企業が「ITトレンド」や「BIZトレンド」に来訪し、掲載されている製品・サービスの中から関心のある品目を選択し、一括して無料で資料請求できる仕組みとなっている。
ビジネスモデルとしては、資料請求が行われた段階で掲載企業から成果報酬(1件当たり1万円または1.5万円)が発生し、同社の売上となる。掲載企業側から見れば、自社の製品・サービスに関心度の高い見込み顧客の獲得コストとして1件当たり1万円を支出することになるが、最終的な成約率まで考慮すれば、検索エンジン広告や有力メディアに広告を出稿したり、SEO対策を実施するよりも費用対効果としては高い。このため、大手企業だけでなく営業リソースが不足しているベンチャー企業や中小企業等も見込み顧客獲得のための有力ツールとして「ITトレンド」「BIZトレンド」を活用しており、結果、多くの製品・サービスが同サイトに掲載されるようになっている。同社の費用としては、Webサイトを運営するためのサーバー費用のほか、掲載する製品・サービスの紹介文等の作成及び顧客対応に携わる人員の人件費、Webサイトの認知度を向上させ、来訪者を増やしていくためのインターネット広告費等となる。費用としては広告費を除けばほぼ固定費となるため、限界利益率の高いビジネスモデルとなっている。
資料請求件数を増やすための施策としては、掲載製品数を拡充していくと同時に、同サイトへの来訪者を増やしていくこと、CVRを高めていくことが重要となる。現在、来訪者の流入経路としては検索エンジンを経由したものが約7割を占めているため、検索エンジンで上位表示されるようなSEO対策が重要となる。
なお、競合する比較・資料請求サイトとしては、マネーフォワード<3994>が2019年11月に子会社化したスマートキャンプ(株)の「ボクシル」のほか、アイティメディア<2148>の「キーマンズネット」などがある。なかでも「ボクシル」は、1~2年前まではサイトの訪問者数を伸ばし脅威となっていたが、ここ最近はあまり競合しなくなってきているようだ。
IT製品の比較サイトが複数あるなかで同社の強みとしては、「掲載企業を増やし維持するノウハウ」「見込み顧客を獲得するノウハウ」の2点が挙げられる。「掲載企業を獲得・維持するノウハウ」としては、業界知識や組織的な営業力を生かした直接販売による新規開拓力を持つこと、また、掲載企業の見込み顧客獲得後の「フォロー方法」や「管理手段」まで踏み込んだフォロー体制を構築し、掲載企業の売上向上サポートにも注力している点が挙げられる。
「見込み顧客獲得ノウハウ」については、サイトへの来訪者数をいかに増やすことができるかが重要なポイントとなるが、同社ではリスティング広告代理事業やSEO事業で培った検索エンジンからサイトへの集客力向上施策にノウハウ(キーワード検索で上位表示されるようなサイト構造の最適化等)を持っているほか、日経BP等のパートナーを通じたサイト集客施策(メールマガジン配信等)を行っていることも強みとなっている。また、長年のサイト運営で培った「問合せ率」向上のためのサイト最適化ノウハウも有しており、高いCVRにつながっている。
b) 「Seminar Shelf」
2018年8月にオープンした「Seminar Shelf」は、営業戦略やマーケティング戦略、人事・組織戦略等に役立つビジネスセミナー動画を集めたポータルサイトで、視聴者はPCやモバイル端末から「いつでも、どこでも」閲覧できることが特徴となっている。従来、法人向けセミナーを活用した見込み顧客の獲得に関しては、セミナー会場に足を運ぶ顧客だけに対象が限定されていたが、距離や時間の問題でセミナーに参加できない潜在的な見込み顧客も多い。特に2020年はコロナ禍の影響でリアルなセミナーの開催が難しくなったこともあって、「Seminar Shelf」への関心度も高まっている。
ビジネスモデルとしては、動画セミナーの配信を希望する企業に対して、初期費用10万円(2020年7月より)と見込み顧客情報の獲得件数に応じた成果報酬(5千円/件)が同社の売上となる。成果報酬額が「ITトレンド」等と比較して低いのは、想定される見込み顧客の対象が、売上に直結する可能性の高いSQL(Sales Qualified Lead)ではなく、その前段階となるMQL(Marketing Qualified Lead)となるためだ。集客施策としては日経電子版を通じたメールマガジン広告を中心に行っているほか、コンテンツとして各業界の著名人を起用した動画を制作することで注目度を高めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
2. 事業内容
同社グループの主な事業内容は、法人向けのインターネットマーケティング支援事業となり、法人営業における見込み顧客獲得(リードジェネレーション)や見込み顧客の育成(リードナーチャリング)、顧客獲得後のフォローアップまで、すべてのプロセスにおいてサービスを提供していることが特徴となっている。見込み顧客獲得のサービスとしては比較・資料請求サイトの「ITトレンド」「BIZトレンド」、見込み顧客育成から顧客獲得後のフォローアップをMAツールの「List Finder」で、それぞれサービス提供する格好となっている。
事業セグメントとしては、オンラインメディア事業とITソリューション事業(旧セールスクラウド事業)に区分している。
(1) オンラインメディア事業
オンラインメディア事業では、法人向けIT製品の比較・資料請求サイトとして業界最大級となる「ITトレンド」と、研修、人事、採用及び給与計算などの法人向けアウトソーシングサービスの比較・資料請求サイト「BIZトレンド」のサービスを主力サービスとして展開している。そのほかに、日経BPが運営するオンラインメディアを中心とした各媒体(日経ビジネス、日経XTECH等)に対して、顧客企業のニーズに合わせて広告をプランニングする広告販売代行サービス(同事業の売上構成の1割強)や、2018年より開始したビジネスセミナー動画のオンラインプラットフォームサービス「Seminar Shelf」、2019年より開始したセールスイネーブルメントツール「Sales Doc.(セールス ドック)」が含まれる。
a) 「ITトレンド」「BIZトレンド」
「ITトレンド」「BIZトレンド」は、IT製品やアウトソーシングサービスを販売する企業(以下、掲載企業)が見込み顧客の獲得を目的として自社製品・サービスを掲載するWebサイトとなり、「ITトレンド」に関しては業界最大規模の掲載数や集客力を誇る。新たなIT製品やアウトソーシングサービス等の導入を検討する企業が「ITトレンド」や「BIZトレンド」に来訪し、掲載されている製品・サービスの中から関心のある品目を選択し、一括して無料で資料請求できる仕組みとなっている。
ビジネスモデルとしては、資料請求が行われた段階で掲載企業から成果報酬(1件当たり1万円または1.5万円)が発生し、同社の売上となる。掲載企業側から見れば、自社の製品・サービスに関心度の高い見込み顧客の獲得コストとして1件当たり1万円を支出することになるが、最終的な成約率まで考慮すれば、検索エンジン広告や有力メディアに広告を出稿したり、SEO対策を実施するよりも費用対効果としては高い。このため、大手企業だけでなく営業リソースが不足しているベンチャー企業や中小企業等も見込み顧客獲得のための有力ツールとして「ITトレンド」「BIZトレンド」を活用しており、結果、多くの製品・サービスが同サイトに掲載されるようになっている。同社の費用としては、Webサイトを運営するためのサーバー費用のほか、掲載する製品・サービスの紹介文等の作成及び顧客対応に携わる人員の人件費、Webサイトの認知度を向上させ、来訪者を増やしていくためのインターネット広告費等となる。費用としては広告費を除けばほぼ固定費となるため、限界利益率の高いビジネスモデルとなっている。
資料請求件数を増やすための施策としては、掲載製品数を拡充していくと同時に、同サイトへの来訪者を増やしていくこと、CVRを高めていくことが重要となる。現在、来訪者の流入経路としては検索エンジンを経由したものが約7割を占めているため、検索エンジンで上位表示されるようなSEO対策が重要となる。
なお、競合する比較・資料請求サイトとしては、マネーフォワード<3994>が2019年11月に子会社化したスマートキャンプ(株)の「ボクシル」のほか、アイティメディア<2148>の「キーマンズネット」などがある。なかでも「ボクシル」は、1~2年前まではサイトの訪問者数を伸ばし脅威となっていたが、ここ最近はあまり競合しなくなってきているようだ。
IT製品の比較サイトが複数あるなかで同社の強みとしては、「掲載企業を増やし維持するノウハウ」「見込み顧客を獲得するノウハウ」の2点が挙げられる。「掲載企業を獲得・維持するノウハウ」としては、業界知識や組織的な営業力を生かした直接販売による新規開拓力を持つこと、また、掲載企業の見込み顧客獲得後の「フォロー方法」や「管理手段」まで踏み込んだフォロー体制を構築し、掲載企業の売上向上サポートにも注力している点が挙げられる。
「見込み顧客獲得ノウハウ」については、サイトへの来訪者数をいかに増やすことができるかが重要なポイントとなるが、同社ではリスティング広告代理事業やSEO事業で培った検索エンジンからサイトへの集客力向上施策にノウハウ(キーワード検索で上位表示されるようなサイト構造の最適化等)を持っているほか、日経BP等のパートナーを通じたサイト集客施策(メールマガジン配信等)を行っていることも強みとなっている。また、長年のサイト運営で培った「問合せ率」向上のためのサイト最適化ノウハウも有しており、高いCVRにつながっている。
b) 「Seminar Shelf」
2018年8月にオープンした「Seminar Shelf」は、営業戦略やマーケティング戦略、人事・組織戦略等に役立つビジネスセミナー動画を集めたポータルサイトで、視聴者はPCやモバイル端末から「いつでも、どこでも」閲覧できることが特徴となっている。従来、法人向けセミナーを活用した見込み顧客の獲得に関しては、セミナー会場に足を運ぶ顧客だけに対象が限定されていたが、距離や時間の問題でセミナーに参加できない潜在的な見込み顧客も多い。特に2020年はコロナ禍の影響でリアルなセミナーの開催が難しくなったこともあって、「Seminar Shelf」への関心度も高まっている。
ビジネスモデルとしては、動画セミナーの配信を希望する企業に対して、初期費用10万円(2020年7月より)と見込み顧客情報の獲得件数に応じた成果報酬(5千円/件)が同社の売上となる。成果報酬額が「ITトレンド」等と比較して低いのは、想定される見込み顧客の対象が、売上に直結する可能性の高いSQL(Sales Qualified Lead)ではなく、その前段階となるMQL(Marketing Qualified Lead)となるためだ。集客施策としては日経電子版を通じたメールマガジン広告を中心に行っているほか、コンテンツとして各業界の著名人を起用した動画を制作することで注目度を高めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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