■業績動向
エヌ・シー・エヌ<7057>の2021年3月期第1四半期業績は、売上高1,484百万円(前年同期比5.9%減)、営業利益33百万円(同54.2%減)、経常利益26百万円(同62.4%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益8百万円(同81.5%減)だった。住宅分野はSE構法の出荷減などにより同7.4%減となったが、非住宅分野は2010年10月に施行された「公共建築物等における木材の利用促進に関する法律」により、国や地方自治体の関与する公共建築物への木材利用が促進され、住宅より規模の大きい建築物にも木造化に伴う受注が増加しており、同19.0%増の成長となっている。
同社グループが属する住宅業界の状況としては、新型コロナウイルス感染症の影響により新設住宅着工戸数が2020年4月は前年同月比12.9%減、5月は同12.3%減、6月は同12.8%減となるなど低調に推移した。同社における新型コロナウイルス感染症の影響については、緊急事態宣言の発令により、4月8日から5月26日の期間は約70%の社員が在宅勤務を実施しており、SE構法出荷に比べて利益率の高い構造計算の受注活動停滞による構造計算出荷数の減少が大きく影響している。同社はこのSE構法を、工務店約500社を中心としたSE構法登録施工店ネットワークを通じて提供しているほか、ハウスメーカーに供給を行っている(OEM供給)。SE構法の出荷棟数はコロナ前に契約したものなのでそれほど落ち込まなかったが、契約には面談を行うことが法律で定められているため、新型コロナウイルス感染症の影響で自宅待機、住宅展示場(モデルハウス)の閉鎖(4月は8割、5月が7割と推計される)によって契約が結べず、これにより構造計算出荷が停滞した。住宅購入者の買い控えというより、外出自粛影響によって契約を行うための面談ができなかったことの影響が大きい。
また、他社比較では、ハウスメーカーの2020年4~6月の業績は概ね安定しているが、これは現在竣工している物件が昨年の契約分であり、同社とは売上計上の仕方が根本的に違うことにある。ハウスメーカーは引き渡し時に売上計上するが、同社における第1四半期(2020年4~6月)においては概ね300日前に契約した物件とされ、2019年秋に契約した物件であり、新型コロナウイルス感染症による影響を受けていないと想定される。大手ハウスメーカー5社の営業状況においては、2020年4~6月の集客は前年同月比で大きく減少しており、単純平均で4月が80%減、5月が70%減、6月が20%減となったもようである。そのため、ハウスメーカーは2020年4~6月の業績については、新型コロナウイルス感染症の影響はまだ受けていないことになり、自宅待機、住宅展示場閉鎖に伴う影響は、2020年3月期下期及び2021年3月期の業績に表面化してくると弊社では考えている。
一方で、同社において構造計算の売上は契約前、SE構法出荷による売上は上棟時に計上されるため、集客数の減少が影響を与える時期は同社KPIデータによると、来場から契約までが75日、契約から着工・上棟(同社の売上発生時期)までが75日と出されている。ハウスメーカーより半年程度早く業績に表れることになるということだ。構造計算出荷数は2020年4月が前年同月比63%、5月は69%だったが、緊急事態宣言が解除された6月は99%と前期並みに回復。また、SE構法出荷数への影響としては、4月が104%、5月は98%と前期並みで推移しているが、4~5月の構造計算出荷数の減少が6月以降のSE構法出荷数に影響し始めている。だが、6月は本来ならば60%台に落ち込むところではあるが、83%にとどまっており、これは3月の構造加工品出荷数が、1996年の創業以来最多の185棟(前年同月比:112.8%)となったほか、構造計算出荷数も194棟と2017年9月に次いで2番目に多く、134.7%だったことが背景にある。
同社においては、一般工務店の集客は集合型の住宅総合展示場ではないこと、地元の顧客をターゲットとし、他都道府県への移動が必要ないことなどから、影響は限定的であり、同社によると約10%程度の落ち込みであったと推測されている。2020年3月期第2四半期までは新型コロナウイルス感染症の影響から不透明感が残るであろうが、足元での経済活動再開に向けた流れにおいて、上期でボトムを形成し、第3四半期から構造計算数が回復、第4四半期から前期を大幅に超える売上高の回復が見込まれると考えられる。
(執筆:フィスコアナリスト)
<NB>
エヌ・シー・エヌ<7057>の2021年3月期第1四半期業績は、売上高1,484百万円(前年同期比5.9%減)、営業利益33百万円(同54.2%減)、経常利益26百万円(同62.4%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益8百万円(同81.5%減)だった。住宅分野はSE構法の出荷減などにより同7.4%減となったが、非住宅分野は2010年10月に施行された「公共建築物等における木材の利用促進に関する法律」により、国や地方自治体の関与する公共建築物への木材利用が促進され、住宅より規模の大きい建築物にも木造化に伴う受注が増加しており、同19.0%増の成長となっている。
同社グループが属する住宅業界の状況としては、新型コロナウイルス感染症の影響により新設住宅着工戸数が2020年4月は前年同月比12.9%減、5月は同12.3%減、6月は同12.8%減となるなど低調に推移した。同社における新型コロナウイルス感染症の影響については、緊急事態宣言の発令により、4月8日から5月26日の期間は約70%の社員が在宅勤務を実施しており、SE構法出荷に比べて利益率の高い構造計算の受注活動停滞による構造計算出荷数の減少が大きく影響している。同社はこのSE構法を、工務店約500社を中心としたSE構法登録施工店ネットワークを通じて提供しているほか、ハウスメーカーに供給を行っている(OEM供給)。SE構法の出荷棟数はコロナ前に契約したものなのでそれほど落ち込まなかったが、契約には面談を行うことが法律で定められているため、新型コロナウイルス感染症の影響で自宅待機、住宅展示場(モデルハウス)の閉鎖(4月は8割、5月が7割と推計される)によって契約が結べず、これにより構造計算出荷が停滞した。住宅購入者の買い控えというより、外出自粛影響によって契約を行うための面談ができなかったことの影響が大きい。
また、他社比較では、ハウスメーカーの2020年4~6月の業績は概ね安定しているが、これは現在竣工している物件が昨年の契約分であり、同社とは売上計上の仕方が根本的に違うことにある。ハウスメーカーは引き渡し時に売上計上するが、同社における第1四半期(2020年4~6月)においては概ね300日前に契約した物件とされ、2019年秋に契約した物件であり、新型コロナウイルス感染症による影響を受けていないと想定される。大手ハウスメーカー5社の営業状況においては、2020年4~6月の集客は前年同月比で大きく減少しており、単純平均で4月が80%減、5月が70%減、6月が20%減となったもようである。そのため、ハウスメーカーは2020年4~6月の業績については、新型コロナウイルス感染症の影響はまだ受けていないことになり、自宅待機、住宅展示場閉鎖に伴う影響は、2020年3月期下期及び2021年3月期の業績に表面化してくると弊社では考えている。
一方で、同社において構造計算の売上は契約前、SE構法出荷による売上は上棟時に計上されるため、集客数の減少が影響を与える時期は同社KPIデータによると、来場から契約までが75日、契約から着工・上棟(同社の売上発生時期)までが75日と出されている。ハウスメーカーより半年程度早く業績に表れることになるということだ。構造計算出荷数は2020年4月が前年同月比63%、5月は69%だったが、緊急事態宣言が解除された6月は99%と前期並みに回復。また、SE構法出荷数への影響としては、4月が104%、5月は98%と前期並みで推移しているが、4~5月の構造計算出荷数の減少が6月以降のSE構法出荷数に影響し始めている。だが、6月は本来ならば60%台に落ち込むところではあるが、83%にとどまっており、これは3月の構造加工品出荷数が、1996年の創業以来最多の185棟(前年同月比:112.8%)となったほか、構造計算出荷数も194棟と2017年9月に次いで2番目に多く、134.7%だったことが背景にある。
同社においては、一般工務店の集客は集合型の住宅総合展示場ではないこと、地元の顧客をターゲットとし、他都道府県への移動が必要ないことなどから、影響は限定的であり、同社によると約10%程度の落ち込みであったと推測されている。2020年3月期第2四半期までは新型コロナウイルス感染症の影響から不透明感が残るであろうが、足元での経済活動再開に向けた流れにおいて、上期でボトムを形成し、第3四半期から構造計算数が回復、第4四半期から前期を大幅に超える売上高の回復が見込まれると考えられる。
(執筆:フィスコアナリスト)
<NB>
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