■中長期的な成長戦略
1. フィッシング事業の成長戦略
会社概要の項で見たように、グローブライド<7990>の売上高の90%近くはフィッシング事業が占めており、中長期的な成長戦略においても、フィッシング事業の成長がカギを握ることは言うまでもない。以下では、同社のフィッシング事業の成長戦略や課題について、もう少し掘り下げて考えてみたい。
● フィッシング市場の動向と長期業績
日本国内におけるフィッシング人口は、国内がアウトドアブームに沸いた1990年代半ばに市場全体の動向と軌を一にして増加し、1998年に2,020万人のピークを記録した。しかし、その後は徐々に減少し、2018年には620万人にまで減少した。
1998年から2018年までの20年間の年平均成長率(CAGR)は-6.0%で、かなり速いペースで減少が続いている。2008年から2018年までの直近10年間のCAGRも-5.7%と似た動きとなっている。また、登山、ハイキング、オートキャンプといった他のアウトドアスポーツ・レジャーも、同様の動きとなっている。
一方、釣用品市場の動きを見てみる。国内の釣用品小売市場規模(推定)の推移を見ると、2011年までは減少傾向だったものが2012年からプラスに転じ、2019年には推定2,082億円を見込んでいる。コロナ禍以前の推計値によれば、2020年についても前年比2.8%増の2,139億円を予想しており、市場規模は増加傾向と言えるだろう。
また、釣用品別国内市場規模の推移(推計値)を見ると、市場規模の大きい釣竿・釣用リール・ルアーに着目した場合、2013年より概ね右肩上がりとなっており、コロナ禍以前の推計値によれば2020年には2013年以降最大規模になると予測されている。釣り用品企業の中には特定の釣種に特化した事業者もあるが、同社は総合釣り具企業としてフルラインアップで製品を展開しているため、市場全体の動向がほぼ同社の出荷動向に重なるという推測が働く。
上記「日本国内におけるフィッシング人口の推移」「釣用品市場規模の推移」から、フィッシング人口は減少傾向にあるものの、釣用品市場規模は拡大しており、アウトドアスポーツ同様に活力ある市場であると言える。
2. フィッシングで培った機能性を活かしたアパレル分野への挑戦
同社は次代の成長エンジンの創出を目的に、アパレル分野への挑戦に積極的に取り組んでいる。そのための先行投資が足元の収益性を圧迫しているものの、中長期的にはアパレル分野は非常に大きな可能性を秘めており、この分野への挑戦は非常に意義のあるものだと弊社では考えている。
現在同社が取り組むアパレルへの挑戦は、新レーベル「D-VEC」を2017年に立ち上げたことに始まる。「D-VEC」は、「フィッシングのDAIWAが長年自然と対峙してきたなかで培った機能性と都会のファッションの融合」をコンセプトとしている。
また従来からフィッシングウェアを主に、2017年よりドイツ・ミュンヘンで開催される世界最大級のスポーツ見本市「ISPO(イスポ)」に出展し、2019年にはアウトドア部門においてISPOアワードを受賞しており、DAIWAブランドの評価は海外でも高い。さらに、表参道ヒルズへのコンセプトショップ出店などのプロモーション活動を含めた認知度向上やDAIWAブランドのイメージアップに取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト)
<YM>
1. フィッシング事業の成長戦略
会社概要の項で見たように、グローブライド<7990>の売上高の90%近くはフィッシング事業が占めており、中長期的な成長戦略においても、フィッシング事業の成長がカギを握ることは言うまでもない。以下では、同社のフィッシング事業の成長戦略や課題について、もう少し掘り下げて考えてみたい。
● フィッシング市場の動向と長期業績
日本国内におけるフィッシング人口は、国内がアウトドアブームに沸いた1990年代半ばに市場全体の動向と軌を一にして増加し、1998年に2,020万人のピークを記録した。しかし、その後は徐々に減少し、2018年には620万人にまで減少した。
1998年から2018年までの20年間の年平均成長率(CAGR)は-6.0%で、かなり速いペースで減少が続いている。2008年から2018年までの直近10年間のCAGRも-5.7%と似た動きとなっている。また、登山、ハイキング、オートキャンプといった他のアウトドアスポーツ・レジャーも、同様の動きとなっている。
一方、釣用品市場の動きを見てみる。国内の釣用品小売市場規模(推定)の推移を見ると、2011年までは減少傾向だったものが2012年からプラスに転じ、2019年には推定2,082億円を見込んでいる。コロナ禍以前の推計値によれば、2020年についても前年比2.8%増の2,139億円を予想しており、市場規模は増加傾向と言えるだろう。
また、釣用品別国内市場規模の推移(推計値)を見ると、市場規模の大きい釣竿・釣用リール・ルアーに着目した場合、2013年より概ね右肩上がりとなっており、コロナ禍以前の推計値によれば2020年には2013年以降最大規模になると予測されている。釣り用品企業の中には特定の釣種に特化した事業者もあるが、同社は総合釣り具企業としてフルラインアップで製品を展開しているため、市場全体の動向がほぼ同社の出荷動向に重なるという推測が働く。
上記「日本国内におけるフィッシング人口の推移」「釣用品市場規模の推移」から、フィッシング人口は減少傾向にあるものの、釣用品市場規模は拡大しており、アウトドアスポーツ同様に活力ある市場であると言える。
2. フィッシングで培った機能性を活かしたアパレル分野への挑戦
同社は次代の成長エンジンの創出を目的に、アパレル分野への挑戦に積極的に取り組んでいる。そのための先行投資が足元の収益性を圧迫しているものの、中長期的にはアパレル分野は非常に大きな可能性を秘めており、この分野への挑戦は非常に意義のあるものだと弊社では考えている。
現在同社が取り組むアパレルへの挑戦は、新レーベル「D-VEC」を2017年に立ち上げたことに始まる。「D-VEC」は、「フィッシングのDAIWAが長年自然と対峙してきたなかで培った機能性と都会のファッションの融合」をコンセプトとしている。
また従来からフィッシングウェアを主に、2017年よりドイツ・ミュンヘンで開催される世界最大級のスポーツ見本市「ISPO(イスポ)」に出展し、2019年にはアウトドア部門においてISPOアワードを受賞しており、DAIWAブランドの評価は海外でも高い。さらに、表参道ヒルズへのコンセプトショップ出店などのプロモーション活動を含めた認知度向上やDAIWAブランドのイメージアップに取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト)
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