S&P500月例レポート(20年7月配信)<後編>

投稿:2020/07/15 12:46

<前編>の続き

利回り、金利、コモディティ

 ○米国10年債利回りは5月末の0.66%から0.65%に低下して月を終えました(2019年末は1.92%、2018年末は2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは5月末の1.41%から横ばいで月末を迎えました(同2.30%、同3.02%、同3.05%)。

 ○英ポンドは5月末の1ポンド=1.2347ドルから1.2388ドルに上昇し(同1.3253ドル、同1.2754ドル、同1.3498ドル)、ユーロは5月末の1ユーロ=1.1104ドルから1.1235ドルに上昇しました(同1.1172ドル、同1.1461ドル、同1.2000ドル)。円は5月末の1ドル=107.82円から107.99円に下落し(同108.76円、同109.58円、同112.68円)、人民元は5月末の1ドル=7.1373元から7.0655元に上昇して月を終えました(同6.9633元、同6.8785元、同6.5030元)。

 ○原油価格は引き続き上昇し(4月のマイナス価格から)、5月末の1バレル=35.32ドルから39.67ドルに上昇して月を終えました(同61.21ドル、同45.81ドル、同60.09ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は、5月末の1ガロン=2.049ドルから2.260ドルに上昇して月末を迎えました(同2.658ドル、同2.358ドル、同2.589ドル)。

 ○金価格は5月末の1トロイオンス=1743.00ドルから1799.40ドルに上昇して月を終えました(同1520.00ドル、同1284.70ドル、同1305.00ドル)。

 ○VIX恐怖指数は5月末の27.31から30.43に上昇して月末を迎えました。月中の最高は44.44、最低は23.34でした(同13.78、同16.12、同11.05)。

世界の株式市場

 ○世界の株式市場は4月に反発し5月に上昇した後で、米国が(地域ごとにまちまちに)経済活動の再開に動き始めたことを受けて、6月も幅広く値上がりしました。一方で、欧州とアジアの一部の国では感染の第2波の兆しが見られました。6月は50市場中45市場が上昇し、41市場が上昇した5月から増加しました。4月は49市場全てが上昇し、49市場全てが下落した3月と正反対の結果でした。6月は、それまでの他市場を上回るパフォーマンスを消化し、経済再開の動きを始める中で、米国市場が世界全体を下回りました。S&Pグローバル総合指数は3.03%の上昇、米国の2.15%上昇を除くと4.15%の上昇となりました。

 ○世界の株式市場は、4月の10.79%(米国の13.13%上昇を除くと8.00%の上昇)の大幅高から5月に4.46%上昇(米国を除くと3.63%の上昇)した後、6月に全体で3.03%上昇しました(米国の2.15%上昇を除くと4.15%の上昇)。第2四半期では世界の株式市場は19.24%上昇(米国の21.49%上昇を除くと16.56%上昇)し、年初来では7.95%下落(米国の4.44%下落を除くと11.98%の下落)しました。過去1年間では0.73%下落し、米国の4.40%上昇を除くと6.50%の下落となっています。より長期でも米国のパフォーマンスが突出しています。過去2年間では、グローバル市場は1.67%の上昇でしたが、米国の11.55%上昇を除くと8.69%の下落でした。過去3年間ではグローバル市場は10.87%上昇しましたが、米国の25.69%上昇を除くと3.83%の下落でした。

  ⇒2016年11月8日の米大統領選以降では、グローバル市場は25.85%上昇しましたが、米国の43.09%上昇を除くと8.80%の上昇でした。

 ○6月のまとめ

  ⇒S&Pグローバル総合指数の時価総額は1兆6930億ドル増加しました(5月は2兆3000億ドル増、4月は4兆9380億ドル増)。米国以外の市場の時価総額は1兆1130億ドル増加し(同8380億ドル増、同1兆6590億ドル増)、米国市場は5800億ドル(同1兆4620億ドル増、同3兆2790億ドル増)増加しました。

  ⇒新興国市場は6月に7.11%上昇し(5月は1.04%上昇)、第2四半期では18.32%上昇、年初来では11.17%の下落、過去1年間では6.36%の下落となっています。

  ⇒先進国市場は6月に2.55%上昇し(米国を除くと3.21%上昇)、第2四半期では19.36%上昇(同15.99%上昇)、年初来では7.54%の下落(同12.25%の下落)、過去1年間では0.04%の下落(同6.61%の下落)となりました。

 ○6月は11セクター中8セクターが上昇し、セクター間のばらつきは再び拡大しました(5月と4月は11セクターが揃って上昇し、11セクター全てが下落した3月とは正反対の結果でした)。パフォーマンスが最高のセクター(情報技術、7.04%上昇)と最低のセクター(公益事業、1.20%下落)の騰落率の差は8.25%(過去1年間の平均は9.26%)と、5月の6.10%から拡大しました(4月は12.70%)。

 ○新興国市場は6月に7.11%上昇しました。5月は1.04%の上昇、4月は9.34%の上昇、3月は17.18%の下落でした。第2四半期では18.32%の上昇、年初来では11.17%の下落となりました。過去1年間では6.36%下落、過去2年間では6.25%下落、過去3年間では0.20%下落しています。

  ⇒6月は25市場のうち22市場が上昇しました。これに対して5月は18市場が上昇し、4月は25市場全てが上昇しました(3月は25市場全てが下落しました)。南アフリカのパフォーマンスが最も良好で、6月は10.35%上昇しました。年初来では27.16%の下落にとどまり、過去1年間では27.78%下落しています。次いでパフォーマンスが良かったのはトルコで、6月に9.56%上昇しましたが、年初来では13.14%、過去1年間では1.04%下落しています。3番目にパフォーマンスが良かったのはインドで、6月に8.86%上昇し、年初来では17.54%下落、過去1年間では17.74%下落しています。パフォーマンスが最低だったのはパキスタンで、6月に2.02%下落し、年初来では26.03%の下落、過去1年間では11.52%の下落となりました。2番目にパフォーマンスが振わなかったのはハンガリーで、6月に0.41%下落し、年初来では30.36%下落、過去1年間では20.03%下落しました。3番目はロシアで、6月に0.07%の下落、年初来では23.49%の下落、過去1年間では16.35%の下落となりました。

 ○先進国市場は4月に3月の14.28%安から10.98%反発し、5月にも4.88%上昇した後で、6月に全体で2.55%上昇しました。米国の2.15%上昇を除くリターンは3.21%の上昇(5月は4.47%の上昇、4月は7.59%の上昇)でした。先進国市場は第2四半期では19.36%の上昇(米国を除くと15.99%の上昇)、年初来では7.54%の下落(同12.25%の下落)でした。過去1年間では0.04%の下落(同6.61%の下落)、過去2年間では2.64%の上昇(同9.42%の下落)、過去3年間では12.25%の上昇(同4.83%の下落)となりました。

  ⇒6月は5月と同様に25市場のうち23市場が上昇しました(3月は25市場が揃って下落、4月は25市場全てが上昇)。パフォーマンスが最高となったのは5月のパフォーマンスが最低(8.33%の下落)だった香港で、6月は10.69%上昇し、年初来では10.38%の下落、過去1年間では16.33%の下落となりました。2番目はニュージーランドで、6月に9.90%上昇し、年初来では2.07%下落、過去1年間では8.08%上昇しました。3番目がオランダで、6月は7.96%上昇し、年初来では0.23%の上昇、過去1年間では9.77%の上昇となりました。パフォーマンスが最低だったのはイスラエルで、6月は1.97%の下落、年初来では6.02%の下落、過去1年間では0.02%の上昇となりました。これに続いたのが日本で、6月は0.40%の下落、年初来では8.90%の下落、過去1年間では0.27%の上昇となりました。3番目はノルウェーで、6月は0.36%の上昇、年初来では24.70%の下落、過去1年間では22.75%の下落となりました。

  ⇒注意すべき点として、ドイツは5.46%の上昇(年初来では9.11%下落、過去1年間では3.67%下落)でした。カナダは3.77%の上昇(同13.51%下落、同9.30%下落)、英国は1.20%の上昇(同24.96%下落、同19.91%下落)でした。

S&P 500指数

 米国では、新型コロナウイルスの1日当たりの新規感染者数が4万7000人超と過去最多に増加しました。国内の感染者数は260万人を超え(世界の感染者数は1050万人)、死者数も12万7000人を上回っています(同51万1000人)。

 米国内でのウイルス封じ込めの進捗状況は依然として州によってばらつきがあり、その成果もはっきりしていないものの、感染状況が最初に深刻化しその後感染の震源地となったニューヨーク市は、経済を再開させました。一方で、アリゾナ州、カリフォルニア州、フロリダ州、テキサス州では感染者数と入院患者数の急増が報告され、フロリダ州やテキサス州などは再び経済活動を制限したほか、制限措置の再導入を検討する州も散見されています(こうした対応は極めて政治的な問題となっています)。各州で感染再拡大の兆候が確認される中、ニューヨーク州(コネチカット州とニュージャージー州も同様)は、「ホットスポット」とされる16州からの訪問者に対して、14日間の自主隔離を求めると発表しました(以前にニューヨーク州からの訪問者に対して一部の州が設けた措置と同様の対応)。米国以外では、EUが14ヵ国(および恐らく中国も)に対し一般旅行客の域内への渡航を解禁すると発表しました。ただし、米国は感染者数が増加中であることを理由に、渡航制限の解除には至りませんでした。

 コロナウイルスに関して重要なことは、まだ何も分かっていないということです。感染状況に対する体系的な見方は、科学的というよりも一段と政治的なものになっています。

 そして、市場は、いずれ治療薬を含む治療方法やワクチンといった対策が見出されることで経済は回復すると信じています。こうした景気回復に向けて、前述の通り、早い段階で感染が拡大した地域では状況が改善してきました。しかしながら、当初それほど感染が深刻化しなかった地域では悪化し始めており、いまだ対応に追われている最中です。

 最終的には経済が再開される(そして株価は期待によって決まる)との判断から、市場は上昇基調に転じました。終値での最高値(2020年2月19日)から直近安値(3月23日)まで33.9%下落した後、市場は38.6%上昇し(3月23日から年初来で若干上昇となった6月8日までは44.5%の上昇)、年初来でも大いに許容範囲といえる4.04%の下落まで戻しました(終値では高値から8.44%の下落)。第1四半期の騰落率は20.00%の下落でしたが、第2四半期は19.95%の上昇となりました。現時点での主な懸念事項は、市場が景気の回復を先取りし過ぎているのではないか(2020年予想PERは28.4倍、2021年予想PERは19.2倍)、一段と長い回復期間を織り込む必要があるのか、ということです。約70%の企業が2020年第2四半期の業績発表(すでに予想利益は半減されており、さらなる悪化が見込まれています)を行う7月には、この点に関する最新の情報が明らかになると同時に、下半期の業績予想が何らかの手掛かりを与えてくれるでしょう(市場にとって重要な情報です)。

 そして、7月の業績予想よりもさらに先の材料を欲している投資家に対しては、8月に再び激しい中傷合戦となる政治が新聞各紙のトップ記事になるはずです。シェイクスピア流に言えば「2つの名家」である共和・民主の両党が、大統領候補を正式に指名し、政党綱領が示され、長く暑い夏となりそうです。

 S&P 500指数の6月の終値は5月末から1.84%上昇(配当込みのトータルリターンはプラス1.99%)の3100.29となりました。2020年第2四半期は19.95%の上昇(同プラス20.54%)、年初来では4.04%の下落(同マイナス3.08%)、過去1年間では5.39%の上昇(同プラス7.51%)でした。ダウ平均は5月末の2万5383.11ドルから1.69%上昇(同プラス1.82%)の2万5812.88ドルで6月を終えました。5月は4.26%の上昇(同プラス4.66%)、4月は11.08%の上昇(同プラス11.22%)で、終値は2万4345.72ドルでした。過去3ヵ月では17.77%の上昇(同プラス18.51%)、年初来では9.55%の下落(同マイナス8.43%)、過去1年間では2.96%の下落(同マイナス0.54%)でした。

 S&P 500指数の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は5月の1.63%(4月は2.21%)から1.85%に上昇しました。年初来では2.23%、5月末時点では2.32%、2019年は0.85%、2018年は1.21%、2017年は0.51%(1962以来の最低)でした。出来高は前月比9%減少した5月から13%増加し(営業日数調整後)、前年同月比でも70%増と引き続き大きく増加し、過去1年間でも前年比25%増加しました。6月の前日比で1%以上変動した日数は22営業日中11日となり(上昇が8日、下落が3日)、年初来では68日(上昇が37日、下落が31日)となりました。6月は22営業日中18日(5月は20営業日中17日)で日中の変動率が1%以上となり、3日(5月は1日)で3%以上となりました。年初来では91日(5月末時点では73日)で日中の変動率が1%以上、32日(同29日)で3%以上となっています。2019年はそれぞれ1%以上の変動が73日と3%以上の変動が1日、2008年はそれぞれ228日(253営業日中)と75日でした。

 セクター間のリターンのばらつきは拡大して高止まりの状態となり、5月、4月は11セクター全てが上昇したのに対して(11セクター全てが下落した3月、2月とは正反対の結果)、6月は(S&P 500指数全体は上昇したものの)11セクター中5セクターにとどまりました。パフォーマンスが最高のセクター(情報技術、7.08%上昇)と最低のセクター(公益事業、5.00%下落)の騰落率の差は5月の6.16%(1年平均は12.06%)から12.07%に拡大しました。騰落率の差は年初来では51.23%(5月末時点は42.78%)、2019年は40.41%でした。

 6月は、情報技術が5月の6.83%上昇後に更に7.08%上昇し、引き続き騰落率首位となりました。同セクターは2020年第2四半期に30.10%上昇し、年初来では14.21%上昇して(2016年11月の米大統領選以降では130.13%上昇)、騰落率トップとなっています。一般消費財は4.90%の上昇で騰落率第2位となりました。同セクターの第2四半期は32.57%の上昇、年初来では6.60%の上昇でした。一方、生活必需品は0.73%下落し、第2四半期は7.32%の上昇、年初来では7.05%の下落となりました。公益事業が5.00%の下落で騰落率最下位となり、第2四半期は1.84%上昇、年初来では12.61%の下落でした。金融も景気回復のペースが疑問視される中で、0.52%下落し、第2四半期は11.41%の上昇、年初来では24.62%の下落となりました(過去3年間では5.88%の下落)。ヘルスケアは2.53%下落し、第2四半期は13.06%の上昇、年初来では1.72%下落しています。エネルギーも1.42%下落し、第2四半期は28.68%の上昇と回復を示したものの、年初来ではなお37.02%下落(全セクター中最低)しています。

 個別銘柄の騰落状況を見ると、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の差は縮小したものの、なお値上がり銘柄数が上回りました。6月は値上がり銘柄数が260銘柄(平均上昇率は6.45%)と、5月の375銘柄(同8.01%)、4月の476銘柄(同15.76%)から減少しました。10%以上上昇した銘柄数も46銘柄(同19.96%)と、5月の119銘柄(同14.84%)、4月の305銘柄(同21.40%)から減少し、6銘柄が25%以上上昇しました(5月は5銘柄、4月は81銘柄)。一方、値下がり銘柄数は244銘柄(平均下落率は4.49%)と、5月の130銘柄(同5.18%)、4月の29銘柄(同6.55%)から増加しました。10%以上下落した銘柄数も46銘柄(同12.74%)と、5月の21銘柄(同15.81%)、4月の7銘柄(同15.71%)から増加し、25%以上値下がりした銘柄はありませんでした(5月と4月は1銘柄)。
 
 第2四半期は、値上がり銘柄数が454銘柄(平均上昇率は23.99%)と第1四半期のわずか30銘柄(同8.27%)から増加した一方、値下がり銘柄数は第1四半期の475銘柄(平均下落率は29.42%)から50銘柄(同5.05%)に減少しました。年初来では、値上がり銘柄数は5月末時点の137銘柄(平均上昇率は13.79%)から136銘柄(同15.94%)に若干減少したものの、10%以上上昇した銘柄数は5月末の67銘柄(同23.00%)から73銘柄(同26.20%)に増加し、31銘柄が25%以上上昇しました(5月末時点は25銘柄)。一方、値下がり銘柄数は367銘柄(平均下落率は22.46%)と5月末時点の366銘柄(同23.17%)から増加し、10%以上下落した銘柄数も5月末時点の265銘柄(同30.08%)から274銘柄(同28.48%)に増加し、144銘柄(同38.82%)が25%以上下落しました(5月末時点は150銘柄、同40.18%)。
 

 

 

 

 

 

 
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト

※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。
HTTP://WWW.SPINDICES.COM/RESOURCE-CENTER/THOUGHT-LEADERSHIP/MARKET-COMMENTARY/

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