■要約
北の達人コーポレーション<2930>は、インターネットにて一般消費者向けに健康食品や化粧品を販売するe コマース事業を展開している。オリジナルブランド「北の快適工房」のサイトにて、便秘やアトピー、ニキビなど、体の悩みのサポートに特化した商品の開発及び販売を主力とし、特にオリゴ糖を原料とする「カイテキオリゴ」が同社の成長をけん引してきた。また、足元では、大ヒットとなっている「刺す化粧品」シリーズが大きく伸びており、従来の「健康食品」中心から「基礎化粧品」の構成比が高まっていることに伴って、アンチエイジングを意識する男性の中高年層など会員属性の幅も広がってきた。
2020年2月期の業績は、売上高が前期比21.4%増の10,093百万円、営業利益が同56.6%増の2,915百万円と増収増益により過去最高業績を更新し、売上高は100億円を突破した。一方、期初予想に対しては、売上高が下回ったものの、利益面では上回る着地となっている。「刺す化粧品」シリーズの大ヒットが増収に大きく寄与。特に、「ヒアロディープパッチ」が想定を上回るペースで伸びており、商品別構成においても存在感を増している。また、新たにリリースした「刺す化粧品」シリーズの2商品についても順調に立ち上がってきたようだ。ただ、売上高が計画を下回ったのは、1)爆発的なヒットを記録した「ヒアロディープパッチ」の生産キャパシティ不足により発送遅延が発生したこと(ただし、2019年12月には完全に解消)、2)年度後半において新規獲得件数に伸び悩みが生じたことなどが理由である。一方、営業利益が計画を上回ったのも、「ヒアロディープパッチ」の発送遅延等に伴って広告宣伝費を抑制したことが理由であり、その点も一過性のものと捉えるのが妥当である。また、新規獲得の伸び悩みや新商品リリースの遅れなどでは課題を残した。
2021年2月期の業績予想について同社は、売上高を前期比18.5%減の8,227百万円、営業利益を同31.2%減の2,006百万円と組織体制の立て直し等により減収減益を見込んでいる。2020年2月期同様、「刺す化粧品」シリーズの伸びやその他主力商品の継続需要が期待できるものの、前述した課題解決とともに長期的成長を見据えた「組織体制立て直しの1年」と位置付け、業績面ではいったん後退する見通しである。すわなち、2020年2月期に浮き彫りとなった課題の解決に向けて「クリエイティブ部門の強化」及び「商品開発部門の強化」を図るものの、両課題の解消による影響や新商品の売上は加味しない保守的な前提となっている。
同社はこれまで、競合の少ないニッチなマーケットにおいて1商品10億円~20億円の商品を複数展開することで利益率の高いビジネスを行い、合計100億円の事業規模を目指してきた。その結果、2020年2月期の売上高は100億円を突破し、営業利益率も高い水準を維持することができた。加えて、高い利益率のまま、50 億円程度の商品を運用するノウハウが身についてきたことから、今後は、市場の大きなマスマーケットにおいて1商品50億円~100億円規模を複数展開し、将来的には売上高1,000億円、営業利益300億円を目指す戦略を描いている。具体的には、「刺す化粧品」シリーズのような新たな市場の創出に加え、オールインワンゲルやシャンプーなど市場の大きなカテゴリーをイメージしているようだ。一方、海外展開についても、すでに黒字化している台湾事業の拡大をはじめ、さらなる拡張を視野に入れており、水平展開を行いやすいインターネット販売に特化して推進する方針である。弊社でも、長期目線(10年スパン)で年率30%成長を続けていくことを前提とすれば、売上高1,000億円については十分に到達できる水準であり、同社はそのポテンシャルを有していると評価している。また、規模の経済を活かし、同社主導型の大型M&Aも取り得る戦略であり、規模拡大ペースが速まる可能性もある。いかに同社らしさを失わずに進化を図っていくのか、そこが経営手腕の見せどころと言えよう。
■Key Points
・2020年2月期の業績は、「刺す化粧品」シリーズの大ヒットにより増収増益(過去最高業績)
・一方、新規獲得件数の伸び悩みや新商品リリースの遅れなどでは課題が浮き彫りに
・2021年2月期は、次のステージに向けた「組織体制立て直しの1年」と位置づけ、業績面ではいったん減収減益となる見通し
・市場の大きなマスマーケットにおいて、1商品50億円~100億円規模を複数展開し、将来的には売上高1,000億円、営業利益300億円の企業を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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北の達人コーポレーション<2930>は、インターネットにて一般消費者向けに健康食品や化粧品を販売するe コマース事業を展開している。オリジナルブランド「北の快適工房」のサイトにて、便秘やアトピー、ニキビなど、体の悩みのサポートに特化した商品の開発及び販売を主力とし、特にオリゴ糖を原料とする「カイテキオリゴ」が同社の成長をけん引してきた。また、足元では、大ヒットとなっている「刺す化粧品」シリーズが大きく伸びており、従来の「健康食品」中心から「基礎化粧品」の構成比が高まっていることに伴って、アンチエイジングを意識する男性の中高年層など会員属性の幅も広がってきた。
2020年2月期の業績は、売上高が前期比21.4%増の10,093百万円、営業利益が同56.6%増の2,915百万円と増収増益により過去最高業績を更新し、売上高は100億円を突破した。一方、期初予想に対しては、売上高が下回ったものの、利益面では上回る着地となっている。「刺す化粧品」シリーズの大ヒットが増収に大きく寄与。特に、「ヒアロディープパッチ」が想定を上回るペースで伸びており、商品別構成においても存在感を増している。また、新たにリリースした「刺す化粧品」シリーズの2商品についても順調に立ち上がってきたようだ。ただ、売上高が計画を下回ったのは、1)爆発的なヒットを記録した「ヒアロディープパッチ」の生産キャパシティ不足により発送遅延が発生したこと(ただし、2019年12月には完全に解消)、2)年度後半において新規獲得件数に伸び悩みが生じたことなどが理由である。一方、営業利益が計画を上回ったのも、「ヒアロディープパッチ」の発送遅延等に伴って広告宣伝費を抑制したことが理由であり、その点も一過性のものと捉えるのが妥当である。また、新規獲得の伸び悩みや新商品リリースの遅れなどでは課題を残した。
2021年2月期の業績予想について同社は、売上高を前期比18.5%減の8,227百万円、営業利益を同31.2%減の2,006百万円と組織体制の立て直し等により減収減益を見込んでいる。2020年2月期同様、「刺す化粧品」シリーズの伸びやその他主力商品の継続需要が期待できるものの、前述した課題解決とともに長期的成長を見据えた「組織体制立て直しの1年」と位置付け、業績面ではいったん後退する見通しである。すわなち、2020年2月期に浮き彫りとなった課題の解決に向けて「クリエイティブ部門の強化」及び「商品開発部門の強化」を図るものの、両課題の解消による影響や新商品の売上は加味しない保守的な前提となっている。
同社はこれまで、競合の少ないニッチなマーケットにおいて1商品10億円~20億円の商品を複数展開することで利益率の高いビジネスを行い、合計100億円の事業規模を目指してきた。その結果、2020年2月期の売上高は100億円を突破し、営業利益率も高い水準を維持することができた。加えて、高い利益率のまま、50 億円程度の商品を運用するノウハウが身についてきたことから、今後は、市場の大きなマスマーケットにおいて1商品50億円~100億円規模を複数展開し、将来的には売上高1,000億円、営業利益300億円を目指す戦略を描いている。具体的には、「刺す化粧品」シリーズのような新たな市場の創出に加え、オールインワンゲルやシャンプーなど市場の大きなカテゴリーをイメージしているようだ。一方、海外展開についても、すでに黒字化している台湾事業の拡大をはじめ、さらなる拡張を視野に入れており、水平展開を行いやすいインターネット販売に特化して推進する方針である。弊社でも、長期目線(10年スパン)で年率30%成長を続けていくことを前提とすれば、売上高1,000億円については十分に到達できる水準であり、同社はそのポテンシャルを有していると評価している。また、規模の経済を活かし、同社主導型の大型M&Aも取り得る戦略であり、規模拡大ペースが速まる可能性もある。いかに同社らしさを失わずに進化を図っていくのか、そこが経営手腕の見せどころと言えよう。
■Key Points
・2020年2月期の業績は、「刺す化粧品」シリーズの大ヒットにより増収増益(過去最高業績)
・一方、新規獲得件数の伸び悩みや新商品リリースの遅れなどでは課題が浮き彫りに
・2021年2月期は、次のステージに向けた「組織体制立て直しの1年」と位置づけ、業績面ではいったん減収減益となる見通し
・市場の大きなマスマーケットにおいて、1商品50億円~100億円規模を複数展開し、将来的には売上高1,000億円、営業利益300億円の企業を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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