日本電産(6594):日本証券新聞 伊藤 明

著者:伊藤明
投稿:2020/06/30 09:26

勝ち組ハイテク株の出遅れ銘柄

日本電産 日足一目均衡表
日本電産 日足一目均衡表出所:日本証券新聞Digitalテクニカルチャート

【「7月高」習性】
昨日、急落を見せた東京市場において、3週ぶりの戻り高値更新で2月2日以来の高値水準。

かつて「7月高」習性で知られたのが、この日本電産。3年前の2017年まで、7月相場は11年連続上昇を演じていた。毎年値幅を伴い上昇(平均11.1%高、5%以上の上昇が9回)を見せてていたが、直近2年間は7月に下落して終わり、ジンクスも潰えたかに思われた。ただし、マイナスといっても、一昨年の7月は「2.6%安」だったし、昨年7月に至っては「0.06%安(5円安)」に過ぎない。

7月高の背景を探ると、月後半に第1四半期(4~6月期)決算発表が控えるためと考えられる。期初予想はやや堅めの見通しのもとにスタートするが、滑り出しの3カ月間で順調な推移を見せるのが恒例パターン。決算期待で買われ、期待にたがわぬ好数字が出て、決算説明会の“永守節”がさらに市場人気を盛り上げる、というのが黄金パターンだろうか。

今春のコロナショック局面では、「不要不急のM&A封印」的なやや弱気気味の永守重信会長インタビュー記事も掲載され、何となくトーンダウンした感もあったが、6月4日付日本経済新聞に中国にEV用駆動モーター開発拠点新設計画も報じられた。危機下にあっても果断な決断が下せるのがオーナー社長の強み、というのはかねがね永守会長自らが指摘してきた通り。中国ではこの先、コロナ後の景気対策本格化も期待され、EV生産拡大が期待されてこよう。永守会長は5月に、コロナ禍を経て「勝ち組と負け組がはっきりする」とも語っている。当然、自社を勝ち組に見立てての発言だろう。

【アナリスト評価】
6月22日付で、岡三証券が目標株価を7250円から7600円に引き上げてきた。他に、5月下旬以降の発行分では、JPモルガン証券が8000円目標を掲げている。

【チャート】
昨年11月高値8417.5円から3月安値4837.5円まで42.5%安を経ての出直り局面。6月9日には、「押し幅3分の2戻し」まで約1%に迫りながらいったん微調整を強いられたが、再びこの戻り高値を突破。

相性のいい7月相場入りとともに浮揚力を高めていく展開も想定されてきそうだ。
(*先週末 弊社配信動画 NSJヘッドラインで配信)

伊藤明
株式会社日本証券新聞社 テクニカルアナリスト
配信元: 達人の予想

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