豪ドル
RBA(豪中銀)は2日の定例会合で、金融政策の現状維持を決定。政策金利(0.25%)と3年物豪国債の利回り目標(0.25%前後)のいずれも据え置きました。
声明は「豪経済は非常に困難な時期を迎えており、1930年代以来最大の景気後退を経験しつつある」と指摘。その一方で、新規感染率は大幅に低下しており、いくつかの制限は以前に考えられていたよりも早く緩和されており、また個人消費の一部に持ち直しの動きがみられるとし、「景気後退の深さは以前に予想したほどではない可能性がある」との見方を示しました。
RBAは声明で豪景気について前向きな認識を示しました。また、声明には豪ドルに関する言及はなく、足もとの豪ドル上昇に対して懸念は示されませんでした。このところリスクオフが後退していることも、投資家のリスク意識の変化を反映しやすい豪ドルにとってプラス材料です。
来週(6/8- )は、9日に豪州の5月NAB企業景況感指数が発表されます。NAB企業景況感指数は4月にマイナス34と、1997年3月以降で最低を記録しました。ただ、豪州では3月中旬に導入されたロックダウン(都市封鎖)などの措置の緩和が進められており、5月のNAB企業景況感指数は4月から改善しそうです。大幅に改善するようであれば、豪ドルは底堅さを増す可能性があります。
NZドル
NZドルは今週(6/1- )、対米ドルで約4カ月ぶり、対円で3カ月半ぶりの高値を記録しました。主要国の景気回復期待からリスクオフが後退し、それがNZドルを押し上げました。
来週(6/8- )は、NZの主要な経済指標の発表がありません。NZドルは引き続き、投資家のリスク意識の変化を反映しやすい地合いになるとみられます。主要国株価が上昇するなどしてリスクオフが一段と後退すれば、NZドルは堅調に推移しそうです。NZドル/米ドルとNZドル/円の目先の上値メドとして、それぞれ0.66251米ドル(1/24高値)や71.299円(2/12高値)が挙げられます。
カナダドル
BOC(カナダ中銀)は3日の定例会合で政策金利を0.25%に据え置きました。声明では、「新型コロナウイルスが世界経済に与える影響は、ピークに達したようにみえる」とし、「金融状況は改善し、商品価格はここ数週間上昇している」と指摘。カナダ経済については、「パンデミックの影響で生産と雇用が歴史的に縮小している」としつつも、「最も深刻なシナリオは回避したようだ」としました。BOCは4月の金融政策報告で最も深刻なシナリオとして、“カナダの第2四半期(4-6月期)のGDP(国内総生産)は、2019年第4四半期と比べて30%減少する”と想定していました。
なお、今回はマクレムBOC新総裁(会合当日の3日に就任)のもとで初めて開催された会合でした。
BOCがカナダ経済について「最も深刻なシナリオは回避したようだ」との見方を示したことは、カナダドルにとってプラス材料と考えられます。
一方で、カナダドルは原油価格の動向にも目を向ける必要があります。OPECプラスは6日か7日に会合を開く可能性があるようです。OPECプラスは4月、“5月と6月に日量970万バレル、7月~12月に同770万バレル、2021年1月~2022年4月に同580万バレルの協調減産を実施する”ことで合意しました。このままではOPECプラスの協調減産の規模は7月から現在の日量970万バレルから770万バレルへと縮小します。
OPECプラスが現在の減産規模の延長を決定すれば、米WTI原油先物(原油価格の代表的な指標)が堅調に推移する可能性があります。その場合、カナダドルは上値を試す展開になりそうです。カナダドル/円は目先、81.925円(2/28高値)が上値メドと考えられます。
トルコリラ
3日、トルコの5月CPI(消費者物価指数)が発表されました。結果は前年比11.39%と、上昇率は4月の10.94%から高まり、トルコの実質金利(政策金利から前年比のCPI上昇率を引いたもの)はマイナス2.69%からマイナス3.14%へと低下しました。
4日時点の実質金利はメキシコが3.35%、南アフリカはマイナス0.35%。新興国におけるトルコの実質金利の低さは際立っています。
また、TCMB(トルコ中銀)の外貨準備高の減少やトルコのS400(ロシア製地対空ミサイルシステム)導入問題、シリア情勢、リビア情勢など、今後リラ売り圧力を強めかねない要因は依然としてあります。リラが上昇を続けるには、これらをめぐる懸念が後退するか、米ドル安や円安が進む必要がありそうです。
南アフリカランド
南アフリカランドは今週(6/1- )、対米ドルや対円(南アフリカランド/円)で2カ月半ぶりの安値を記録しました。豪ドルやNZドル、メキシコペソと同様、リスクオフが後退したことがランドの支援材料となりました。
南アフリカの5月民間PMI(購買担当者景気指数。3日発表)は32.5と、4月35.1から低下し、2017年6月以降で最低を記録したものの、ランドはほとんど下落しませんでした。最近のランドは、独自材料(南アフリカの経済指標や国内のニュース)以上に投資家のリスク意識の変化に影響を受けやすい地合いとなっており、こうした状況は当面続きそうです。主要国の経済指標が堅調な結果になる、あるいは株価が上昇するなどして主要国の景気回復への期待が高まれば、ランドはさらに上昇する可能性があります。
メキシコペソ
メキシコペソは今週(6/1- )、対米ドルや対円(メキシコペソ/円)で約3カ月ぶりの高値をつけました。主要国が経済活動を再開していることで主要国の景気回復への期待感からリスクオフが後退しており、それがペソの支援材料となっています。また、堅調に推移する米WTI原油先物(原油価格の代表的な指標)もペソにとって追い風です(メキシコは産油国)。
OPECプラスは6日か7日に会合を開くとの報道があります。OPECプラスが現在の協調減産の規模(日量970万バレル)の延長を決定すれば、WTI原油先物は堅調にする可能性があります。その場合、メキシコペソは上値を試す展開となり、ペソ/円は3月10日高値の5.145円を超えるかもしれません。
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