ベネッセHD、通期は進研ゼミの増収が寄与し営業利益増 デジタル化戦略も着実に推進
19年度の総括
安達保氏(以下、安達):ベネッセの安達です。今日はお忙しいなか、電話会議にご参加いただきましてありがとうございます。
それではまずは私から、この2020年3月期の業績概要についてお話しします。
概要ですが、売上高・営業利益ともに対前年で増加しています。増収増益ということで、順調な決算になったかと思っています。また、内容的にも十分によく、構造改革も着実に推進しています。
いくつか重要なポイントを申し上げます。まず「進研ゼミ」ですが、昨年から会員数を追うのではなくて利益を追うということで、価格の改定や販売促進費用のコントロールなどを行なってきました。その結果、順調に収益が上がっています。また、商品のデジタル化も順調に推進してきています。
学校事業ですが、大学・入試改革を起点に拡大していこうと進めてきましたが、ご案内のとおり、残念ながら改革そのものが見直しになりました。大学入学共通テストで予定されていた英語民間試験の活用及び記述式問題の導入は見送られたわけですが、基本的には弊社の考えている教育のあり方というものは変わっていないと考えているため、これからもそれに基づいて進めていきたいと思っています。
中国「こどもちゃれんじ」事業についてです。近年は非常に厳しい競争のなかで苦労していますが、商品の改定やECチャネルの拡大等である程度先が見えつつあるということです。
「ベルリッツ」については、フランチャイズ化を積極的に行ないます。採算のとれない拠点については撤退していき、大幅に構造改革が進行しています。
介護事業は引き続き順調に拡大しています。実際にこの1年で8ホームほど数が増えています。一方、スタッフに対するケアということで処遇改善を行ない、利益は横ばいという状況です。
そのほか、サイマルの売却、スタディハッカーの買収、Udemyへの出資など、ノンコア事業の売却、成長領域への投資を実行し、選択と集中を順調に進めています。
新型コロナウイルスの影響についてです。もちろん、2月後半から3月にかけて、学校の休校や塾の閉鎖という影響はございますが、全体としての影響は限定的でした。
【19年度実績】通期ハイライト
3ページです。通期のハイライトです。
売上高は4,485億円と、前年比2.1パーセント伸びています。当初の見通しには届きませんでしたが、順調に成長しています。
営業利益については212億円となり、前年比30.9パーセント増ということで、当初の見通し200億円もクリアしています。
経常利益は167億円ということで、これも当初の見通しをクリアし、前年比37.9パーセント増となりました。
一方、純利益は前期比増益ではございますが62億円ということで、当初の見通しである95億円には届いていないという状況です。
【19年度実績】営業利益の増減要因
続いて、営業利益の増減要因です。
2018年度の162億円から2019年度の212億円までどのように増えたかということについてです。大きく貢献したのは国内教育で、とくに「進研ゼミ」の利益貢献でした。加えて「ベルリッツ」の損失が少なくなったということです。
【19年度実績】当期純利益の増減要因
続いて5ページです。当期純利益の増減理由をお示ししたものです。
2018年度の49億円から経常利益が46億円プラスされ、さらに「サイマル」の売却益33億円がありましたが、一方で「ベルリッツ」と「ビースタジオ」の減損があり、減損損失が31億円増加しました。
そのほか、特損益があり、さらには経常利益が増えた分の法人税等や「サイマル」の売却が増えた分の法人税によって、結果的に62億円となり、前期差13億円増になっています。
【19年度実績】通期:国内教育
続いて各事業セグメントの条件についてお話しします。
売上高は対前年4.3パーセント増収、営業利益は39.6パーセント増益になっています。営業利益は140億円となりました。
売上に大きく貢献したのは「進研ゼミ」で、とくに価格改訂の影響が大きいです。学校事業では、子会社である「Classi」と「EDUCOM」を連結子会社化したことで19億円増加しました。さらには学習塾事業の大学・社会人向け事業や、英語事業等の売上が伸びています。
営業利益は「進研ゼミ」の増収による増益により40億円となっていますが、それ以外はほとんどプラスマイナスゼロの状況です。
【19年度実績】通期:グローバルこどもちゃれんじ
7ページはグローバルこどもちゃれんじ事業です。売上高は対前年0.2パーセント増収、営業利益は18.5パーセント減益です。営業利益は26億円になりました。
売上高に貢献しているのが日本、海外における価格改定の影響です。一方、為替の差損が18億円ほどあります。
営業利益については、日本で販売費が増加していること、中国でもやはり同じような状況で、それらが実際には増収による増益よりも多いということで、結果的に昨年度よりも下がっているという状況です。
【19年度実績】通期:介護・保育
介護・保育事業です。売上高は対前年5.0パーセント増収で、順調に伸びていますが、一方で先ほど申し上げましたとおり処遇改善・求人費用等が増えていて、利益はほぼ横ばいの状況です。
【19年度実績】通期:ベルリッツ
「ベルリッツ」について、フランチャイズ化や事業整理等を行なった影響によって大きく売上高が下がりました。8.6パーセント下がって450億円となりました。
営業利益は、教室閉鎖による固定費減が大きく貢献しており、それらによって営業利益の損失が約15億円少なくなり、結果として31億円の赤字という状況です。
業績予想および中期経営計画について
続きまして、2021年3月期の業績予想および中期経営計画についてお話ししたいと思います。
まず、2020年度の業績予想は見送りさせていただきたいと思っています。やはり新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、現時点で合理的な業績予想の算定が不可能であるということです。
合理的な算定が可能となった時点で速やかに開示する予定です。
中期経営計画については、今年の秋にあらためて、新型コロナウイルス感染拡大の影響を見極めた上で開示したいと考えています。
当面は、新型コロナウイルスからの回復にむけた対応を最優先していくつもりです。
新型コロナウイルスによる事業環境の変化
事業の細かな話に入る前に、新型コロナウイルス感染拡大の状況下で、ベネッセとしてどのように事業を運営していくか、少しお話ししたいと思っています。
まず事業環境の変化についてです。みなさまもご承知のとおり、本日首都圏も緊急事態宣言の解除という形になると思いますが、徐々に経済活動の再開が起こってきます。
ただし、再び感染が拡大するかもしれないという懸念が十分にあります。したがって、新型コロナウイルスと共存しながら社会活動や事業運営を行なっていくことが非常に重要になってくるわけで、ある意味では新型コロナウイルス感染拡大の前の状況には戻らない、不可逆的な変化が世の中で起こるだろうと見ています。
世界経済が完全にリセットされ、多くの事業で市場が縮小するなかで、今後は世界全体の経済成長率の低下が長期に渡り継続することが十分に考えられます。
一方で、さまざまな垣根が取り払われたことにより、新しい機会点や成長軌道が出てきていることも事実だと思います。
とくに、インターネットやオンライン、デジタルによる消費、教育、営業活動、一部の医療等々、いろいろなかたちで変化が起こってくるわけです。
また、世の中の生活様式についてもいろいろと言われています。衛生意識の高まりによって三密を避ける行動様式が定着するでしょうし、在宅勤務や家で過ごす時間の増加によって新しい価値観が生まれてきていると思います。
これから弊社はこのようなことを前提に事業運営を行なっていかなければいけないという状況になっていますし、この変化は弊社が近年経験したことのない大きな変化であることはおそらく間違いないと思っています。
コロナ時代を生き抜くためのプロジェクトを加速
このような状況のなかで弊社が生き抜くために、いくつかの重要なプロジェクトを加速させています。
まずは既存事業のモデルの転換です。すでにオンライン、デジタル教育を取り組んでいますが、それをさらにスピードアップして、事業モデルの転換を行なうことを考えています。
弊社自身の働き方も、在宅と出社のハイブリッドな働き方を実践していこうと考えています。緊急事態宣言が出てから在宅勤務を推進してきました。場の事業、現場がサービスの主体である事業は別ですが、それ以外の勤務において出社した社員は平均15パーセントという状況でした。
これを元に戻すのではなく、弊社としては恒久的に在宅勤務と出社のハイブリッドを進めていこうということで、具体的にその方法を現在模索している状況です。
3番目に、多くの事業のマーケットが非常に厳しい状況となることは間違いなく、そのようななかで、固定費を削減していくことは非常に重要になってきます。在宅勤務と出社のハイブリッドな働き方を実際に行なうと、オフィススペースがかなり少なくて済むことになってくると思います。そのようなことを踏まえて、固定費を削減していこうと思っています。
最後に、このような非常に不確実な時代において重要なことは、会社としてしっかりした価値観をもっている、あるいは、社員一人ひとりがそれぞれ持っていることが非常に重要だと、私は考えています。
ベネッセは「よく生きる」という企業理念のもとに非常に高いモチベーションを持った社員の集合体です。これを活かして弊社の価値観をさらに浸透させ、また、社会に役立つ企業であることを社員の意識として強く持って、これから進んでいきたいと思っています。それがブランドにもつながってくるように動きたいと考えています。
非常に大きな話ではありますが、以上が今後の弊社の考え方です。ここからは新型コロナウイルスへの対応を踏まえた事業別の戦略についてお話ししたいと思っています。ここからは、小林からお話しします。
新型コロナウイルスによる環境変化
小林仁氏:ベネッセの小林です。それでは、資料の15ページ目をご覧ください。新型コロナウイルスによる環境変化・国内教育についてお話しいたします。
現在は地域によって学校が休校であったり再開したり、かなり地域差・学校差が出ている状況です。そのようななかで進研ゼミ、学習塾・英語教室、学校という3つの切り口で、どのような変化が起こっており、今後はどのようなことを考えないといけないのかをまとめたものが15ページの表です。
「進研ゼミ」についてです。休校になって以来、在宅で学びを続けていくという意味で通信教育への期待が非常に高まっているという認識を持っていますし、オンラインのコンテンツを使う方が非常に多くなっているという認識を持っています。
しかし、いずれ学校は再開します。学校が再開したときに「進研ゼミ」による在宅での学びを継続してもらうということについて当然大きな課題があるわけですし、オンラインのニーズはさらに高まっていくというようなことを考えています。
学習塾・英語教室についてです。こちらは緊急事態宣言に伴って、グループの塾もほぼ休校しており、対面授業を行なえていない状況です。一方で、それぞれの塾においてオンライン授業や映像の配信も始まっています。
今後に向けて、教室は再開していきますが、今までのように密な状態で多くのお子さまに授業を受けていただくという状況からは変化せざるを得ないと思っています。このあたりも含めて、対面とデジタルのハイブリッドを恒久的に行なっていく、あるいはそのようなニーズになっていく、という見込みを持って変革していこうということで、着手が始まっています。
学校についてです。先ほどお話ししましたように、全国で地域別・学校別に休校再開の状態にそれぞれ格差が出ています。また、オンラインで授業を行なう動きも首都圏の私立を中心に起こっていますが、全国レベルで言うとまだまだ対応に格差があるというのが現在の状況だと認識しています。
したがいまして、これから緊急事態宣言が解除され、全国で学校の運営が徐々にスタートしていくわけですが、今まで以上にエリアごと、あるいは学校ごとの個別の対応をしっかりとしていくことが必要だと考えています。
「進研ゼミ」:4月会員数
16ページ目をご覧ください。こちらは「進研ゼミ」の4月の会員数です。トータルで271万人です。昨年は262万人でしたので、9万人増加しました。伸び率は3.3パーセントとなっています。
「高校講座」「中学講座」「小学講座」「こどもちゃれんじ」とありますが、一番大きく伸びているのは「小学講座」です。昨年は124万人でしたが、今年度4月は133万人ということで、非常に多くのお子さま・保護者の方に選んでいただいたということです。
「中学講座」「小学講座」「こどもちゃれんじ」でも昨年度の在籍を超えて4月を迎えることができました。
「進研ゼミ」:新規入会・継続
17ページ目をご覧ください。「進研ゼミ」の新規入会・継続の状況について整理しています。デジタル化はかなり進んでおり、デジタル教材を選ぶ方の比率も、昨年と比べて今年はほぼ10パーセント増えるという状況になっています。
新規入会の欄をご覧ください。年間の新規入会数は2018年が101万人、2019年が年間で105万人でしたが、この4月の入会者数は前年と比べて約10万人増えています。一斉休校および緊急事態宣言後のお問い合わせ・入会が増えた、あるいはデジタルを選ぶ比率が非常に増えていることが特徴的なことです。
継続について、昨年1年間はほぼ前年並みでした。値上げをしながら商品のサービスを良くすることにずっと取り組んできていますが、ほぼ前年並みを達成できています。
今年に入って、5月、6月に加え一部7月も見えてきていますが、教材の活用度が非常に高まっており、現状では継続率も非常に順調です。どの学年も対前年プラスで推移しているという状況です。
「進研ゼミ」:一斉臨時休校への対応
18ページ目です。新型コロナウイルスの感染が拡大し、学校が臨時休校したなかで日本中のお子さんが急に学校に行かなくなるという社会が生まれました。そのようななかでベネッセとして、あるいは「進研ゼミ」として、何をしてきたかまとめています。
まず最初に、学校で3学期のまとめを学べない状況でいきなり休校に入ってしまったため、学年の総復習ドリルを会員・非会員に限らず全国にご提供していくことを始めました。この表にあるとおり、全部で100万部配布させていただいています。
次の段階において、家庭学習が非常に長くなっている中で非常に多くのお子さまの学びのリズムが崩れており、保護者のみなさまからもそこに悩んでいるという声をおうかがいしていました。
そこで、オンラインで「きょうの時間割」としてあたかも学校の授業があるように時間割を組み、時間割に沿ってオンライン教室を提供してきました。こちらは35万人の方にご活用いただいたということになっています。
「中学講座」では会員に向けて「進研ゼミ」の教材を使ったオンライン授業を展開しました。「中学講座」の会員20万人の方が、全国で聞いてくださったということになっています。
また、一番下に「こどもちゃれんじ」のことを書いています。幼稚園の休園により、保護者さまが家でお子さんにどのような生活を過ごさせるか非常に困っているという声が入ってきました。
そのような中で、非会員の方を含めて「オンライン幼稚園」を展開させていただきました。オンラインで提供したため世界中で聞けるということで、1ヶ月で世界中の90ヶ国超で20万人の方に聞いていただけました。
新型コロナウイルス感染拡大のなかでお子さま・保護者の困りごとが、今までにない形で出てきました。困りごとの変化に沿い、継続的にみなさまに対して支援活動を行なってきたということを18ページ目に書いています。
これから学校が始まり、教育格差・学力格差を感じるようになっていかれると思いますので、その都度の困りごとに対してしっかりと継続した支援を考えていきたいと思っています。
学習塾・英語教室事業
19ページ目をご覧ください。こちらは学習塾・英語教室についてです。事業環境の変化として、現在は教室が休校し、新規入会に向けた営業活動も中止という状態になっています。
緊急事態宣言解除後に想定される対面授業についても、密集を避けた生徒の配置、授業の展開が必要だと考えています。
対応策として「場」と「映像/オンライン」を組み合わせたハイブリッドなサービス強化を学習塾や英語教室のなかで提供していきたい、あるいはすでに提供しているということです。
東京個別指導学院では6月1日より1対2のオンライン個別指導をリリースします。
アップ・お茶の水ゼミナールでは、集団授業においては授業映像の配信、個別指導についてはオンラインの授業をすでに始めています。
また、お子さま向けの英語教室BE studioも、5月からオンライン及び映像レッスンのリリースを行なっています。
中長期戦略:校外学習事業の進化
20ページ目をご覧ください。ベネッセでは学校の学びと学校外の学びをしっかりと分けて考えていくため、今まで別れていたゼミカンパニー、塾を運営しているエリア・教室カンパニーを4月から校外学習カンパニーとして統合しました。
20ページ目の図にあるとおり、左側にある在宅での学びと右側にある教室での学びをお子さまの学びの状況に合わせながらブレンディッドに提供することを積極的に行なうことで、よりお子さん一人ひとりに対応していくために、組織も大きく変えていました。
在宅学習、オンライン、教室での授業を積極的に展開していきたいと考えています。
学校向け教育事業
21ページ目をご覧ください。こちらは学校向けの教育事業です。
事業環境の変化についてです。休校による学校運営の停止も、エリアによって徐々に始まっているところ、まだまったく始まっていないところなど、エリア別・学校別にいろいろな格差が起こっています。
今後の学校運営において見込まれる変化としては、教育・学力格差について本当に再開した時の生徒のみなさまの状態をまず先生がいかに把握するか、そのなかでどのような授業を展開していくかということが、学校のなかで非常に大きなテーマになってきます。
また、分散登校、三密を避けた教室配置など、履修の遅れがあるなかで、今まで同様の授業展開ができないという課題も持っています。
学校運営スケジュールの変化と書いてあります。すでに発表されているエリアもありますが、今年度は夏休みも非常に短縮されて運営されるだろうということで、学校の年度末に向けて授業や学校運営そのものに大きな変化が出てくるということがすでに見込まれています。
そのようななかで、ベネッセが学校向け授業としてなにを提供していくかです。エリア別・学校別にかなりの格差があるため、状況をしっかりとキャッチアップさせていただこうと考えています。
そして、エリア別、学校別にデジタルやさまざまな弊社の商品をとおして個別にご支援させていただく状態になっていくかと思います。
一方で、Udemyも強化していますので、大学社会人向けの領域についてはリカレント教育を中心にしっかりと事業を強化していこうと考えています。
中国事業
グローバルこどもちゃれんじの中国事業です。こちらは、コロナウイルスの影響が世界中で一番早く出たところです。2月には生産・営業活動が停止していましたし、倉庫も止まっていましたが、現在は随分落ち着いてきており、コンサートや教室事業以外の事業活動はほぼ正常化してきています。
残念ながら2月3月の状況によりどうしても4月の会員数が昨年度を下回っていますが、弊社が思っていたほどは減少せず、EC販売等でしっかりと耐えたという状況です。
今後は中国の販売チャネル、ECチャネルをさらに強化していきますし、小学校に入る前のお子さんたちを中心に商品改革へのドライブをしっかりかけていくことで回復を図っていきたいと考えています。
私の発表は以上です。ありがとうございました。
介護事業
安達:残りを安達からご説明します。介護事業です。介護事業では、もし感染が起こると大変なことになるため、まずは新型コロナウイルスに関するリスク対応を最優先しています。
したがって、現在はどこのホームでも面会が制限され、見学できないということで、実質的な営業活動が相当縮小されています。実際に、新規入居者の受け入れも大幅に少なくなっています。
入居相談数や見学も、3月および4月は前年比70パーセントから80パーセント減少して、結果的にご入居者さまが非常に少なくなり、入居率が減少している状況です。
対応策としては、まずは入居されている方のケアを最優先して感染防止策を徹底し、面会・来館を制限しています。
さらに、緊急事態宣言が解除された場合のご家族対応と、ご入居者のQOLの改善にフォーカスしていこうと考えています。
来館制限の解除と緊急事態宣言の解除はイコールではありません。厚労省が別途方針を出すと思いますが、解除された後に新規の営業活動を再開していくことを考えています。
中長期の戦略は、以前から申し上げていることと変わりありません。ハイエンドホームの強化やドミナント戦略をさらに広げていき、今まで弊社が開設していないエリアに進出していこうと考えています。
また、人財育成も強化していこうと考えています。
ベルリッツ
24ページは「ベルリッツ」についてです。「ベルリッツ」は昨年に構造改革を大幅に進め、赤字幅を着実に縮小してきました。ところが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、足元で再び非常に厳しい状況になったということで、残念な状況でございます。
今年度は恐らく1桁億円の赤字になるであろうと予測していましたが、実際には中国を皮切りに4月には全世界で教室を閉鎖していたという状況です。
留学支援事業であるELSについても、教室の全授業がストップしている状況です。これらへの対応策として、オンライン授業への全面シフトを行なっています。
4月の段階では、だいたい全体で55パーセント程度がオンラインに変更できたということですが、足元は非常に厳しいということで、大幅なコスト削減を行なっています。
ELSを中心に、スタッフのレイオフ、リストラ等、賃料を削減できるところにはすべて賃料交渉しています。また、日本・ヨーロッパを中心に、雇用助成等の政府支援プログラムを活用しています。
中長期戦略については、衛生面に対する意識が非常に高まるということを予想し、物理的な制約は当然あると思っています。「Berlitz2.0」をずっと推進しているため、オンライン・ハイブリッド化をさらに加速させていこうと考えています。
一方で、リアルの教室等は削減していく方向になっていくだろうと思っています。
新規領域への拡大
25ページは新規領域への拡大についてです。4月1日から海外事業開発本部を新設しています。ベネッセのすべての事業の海外事業展開をもっと積極的にできないか、横断的に考える本部を新しく作りました。この本部を中心に、海外事業拡大にドライブをかけていきたいと思っています。
また従来どおり、M&Aを活用した新しい成長戦略として、既存事業の競争力強化と、教育・介護以外の「第3の柱」の創出を進めていきたいと思っています。
資本政策
26ページは資本政策についてです。安定配当の観点から、2020年度は1株当たり50円の配当を維持する予定です。
以上で説明を終わります。
関連銘柄
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