C&GSYS Research Memo(6):中長期事業方針を軌道修正し、2025年に向けて再チャレンジ

配信元:フィスコ
投稿:2020/03/25 15:26
■中長期の成長戦略

C&Gシステムズ<6633>は、2015年から2020年までの中長期事業方針を発表し、その数値目標として、「2015年12月期から2020年12月期の売上高年平均成長率5%」、「2020年12月期の経常利益率20%以上」、「2020年12月期のROE15%以上」を掲げていた。しかしこの間に同社を取り巻く業界環境は大きく変化したことから、今回2025年12月期を最終年度とする新しい中長期事業方針を発表した。

その新中長期事業方針として以下の6つの基本成長戦略を掲げている。
1) 既存事業の維持拡張(製品リニューアル・OEM含む)
2) 金型隣接市場向け製品開発(部品加工)
3) 内製化(+海外)対応製品開発(マルチプラットフォーム化)
4) ASEAN強化&海外向け製品開発
5) 積層&切削ハイブリッドCAM開発
6) 金型・部品製造用生産管理システム開発強化(「AIQ」の拡充)

また数値目標としては、新たに「2018年12月期から2025年12月期の売上高年平均成長率5%」、「2025年12月期の経常利益率20%以上」、「2025年12月期のROE15%以上」を掲げており、以前の目標に再チャレンジすることになる。

(1) 既存事業の維持拡張:営業体制と開発体制の強化
営業体制の強化においては、日本及び海外の日系企業を中心に展開を図る。基本的には現在の推進体制を継続し、シェアの更なる拡大、保守契約率の維持・向上を目指す。開発体制の強化においては、既に2019年に着手した案件を引き続き継続する。主力製品のリニューアルが中心となるが、内部構造の刷新、操作性の改良による製品競争力の向上、カスタマイズしやすさの向上などを進める。

(2) 金型隣接市場向け製品開発(部品加工)
現有資産の有効活用のため、現在得意としている金型分野に近い隣接市場に展開する。具体的には部品加工や量産品向けなどの新規市場を開拓する。これらの市場向け製品は、既存の同社製品(金型市場向けCAD/CAM)ほどの精度は求められないが、市場規模は大きい。(金型向け市場の2~3倍と言われている。)同社にとってはまったく新しい市場であるが、既にこれらの市場をターゲットとした新製品「Parts CAM」を2019年11月から先行販売し、2020年2月から正式販売している。

(3) 内製化(+海外)対応製品開発(マルチプラットフォーム化)
同社の「CAM-TOOL」が米国シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア「NX」に搭載されている。「NX」は既に世界の主要自動車メーカー・サプライヤーの基幹CADとして採用されており、TIER1部品メーカーも追随し利用が拡大する見込みだ。今般、この「NX」にと同社の「CAM-TOOL」を搭載し「CAM-TOOL for NX」として2020年1月より販売を開始することとなった。既存の「NX CAM」の機能を同社製の「CAM-TOOL」が補完することになり、ユーザーは製品設計から金型加工まで統合された最適なシステム環境を構築することが可能となる。NXを利用する大手ユーザーの間では、金型や主要部品を内製化する動きが進んでおり、同社でもこの機会を狙って積極的に販売していく計画だ。国内市場においては、(株)電通国際情報サービスが販売代理店となり2020年1月から本格的に販売を推進している。海外向けは、2020年下期から販売網を整備する計画だ。

(4) ASEAN強化&海外向け製品開発
海外展開では、タイ子会社をASEAN圏の販売サポート中核拠点と位置付け、新規ローカル代理店の開拓を進めているが、当面はASEAN(主にベトナム、インド)で新規代理店を開拓する。また海外向け製品としては、熟練工不在でも運用が可能で、さらに現地代理店が容易に販売できる「CAM-TOOL ES」を投入し、2020年から販売を本格化する。「ES」とは「イージー アンド スマート」の略で、自動化ニーズに対応した「簡単オペレーション&加工スキルの平準化」を目的としたシステムとなっている。これにより人件費高騰で技術者の確保が難しいアジア圏での販売増を目指す。さらに将来的には、既述の「CAM-TOOL for NX」を、アジア市場においても販売開始する予定だ。

(5) 積層&切削ハイブリッドCAM開発
同社は、既に金属または樹脂によるAM(Additive Manufacturing=積層造形)機能を搭載した同時5軸制御対応のハイブリッドCAMシステム「CAM-TOOL AM」をリリースしている。同製品は、「積層と切削の組み合わせ×同時5軸の自由度の高い加工工程設計」により様々な複雑な加工を可能にしたが、現在までに国内工作機械メーカー4社のAM複合加工機に対応している。積層造形市場はハード、ソフトともに普及期の前段階であるため本格的な拡販はまだ先になるだろうが、今後もAM複合加工機メーカーとの協力体制を図り、市場へのAM啓蒙活動を推進していく方針だ。

(6) 金型・部品製造用生産管理システム開発強化(「AIQ」の拡充)
以前よりIoT関連事業として紹介してきた金型・部品製造向け工程管理システム「AIQ(アイク)」を、新たな収益の柱として製品強化していく。紙ベースで行っていた製造工程管理をデジタル化するニーズは強く、同社の「AIQ(アイク)」は、そういった要望に応えるべくIoTを活用して各種データや工程状況をデジタルデータ化してシステム上で活用するものだ。製造業におけるIoT活用が注目されるなか、「AIQ(アイク)」は金型・部品製造の工程管理をスマート化する同社独自のソリューションとして注目されている。同社では更なる顧客満足のために、今後は工程管理から生産管理システムへと発展させ、金型製造業以外にも市場を拡大していく計画だ。

「AIQ」については2019年度は販売体制の確立が不十分だったことから、現在までの販売は低調であったが、今後は機能強化に加えて専任営業人材の増員及び育成、販売網の拡大、PR活動等に注力して早期の販売体制確立を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)


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配信元: フィスコ

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