NYコラム(21日)ダウ平均は連日の高値更新から上昇一服かー弾劾裁判は実質審理を開始

著者:加藤裕一
投稿:2020/01/21 21:33

▶NY株式市場(21日)アメリカ株式株式市場でダウ平均は上昇一服へ

3連休明けとなる21日のアメリカ株式市場でダウ平均は売り先行で取引スタートへ。先週末まで5日続伸して史上最高値を更新したダウ平均。21日は急ピッチな上昇に対する警戒感から一旦、手仕舞い売り圧力が高まりやすい相場環境だ。中国で発生した新型ウイルスの感染拡大でアジア株が下落したほか、ヨーロッパ株の軟調さも意識されやすい。特に中国での売上高比率の高い銘柄には重しとなる。先週末までのリスクオン・ムードは後退ぎみで、パンデミック・リスクの高まりに備えることになりそうだ。ダウ平均は、週末に終値ベースで維持した2万9300ドルの節目を試しながらの寄り付きとなるだろう。2年ぶりのダボス会議出席となったトランプ米大統領による演説は、新味に乏しい内容となった。

▶トランプ米大統領のウクライナ疑惑をめぐる弾劾裁判が21日から上院で実質審理開始へ

トランプ米大統領のウクライナ疑惑をめぐる弾劾裁判は、21日から上院で実質審理が始まる。アメリカ史上3人目となる大統領の弾劾裁判だ。開始時間は、日本時間22日午前3時頃からでアメリカ株式市場は取引時間中に裁判の行方を見守るかたちとなりそう。トランプ米大統領は、与党・共和党がアメリカ議会上院で過半数を占めることから、早期に「無罪」判決に持ち込み、大統領選挙に向け「ほぼ無傷」で終えたいところだ。野党・民主党はボルトン前大統領補佐官らの証人尋問などを実現させトランプ陣営に何らかの「爪痕」を残そうとするだろう。前回99年のクリントン元大統領の弾劾裁判の審理プロセスを踏襲した場合、証人尋問の可否は早いタイミングで確定するという。メイン・シナリオは、証人尋問なしでスピード採決、トランプ大統領の無罪が確定という流れだ。リスク要因としては、与党・共和党陣営の徹底抗戦にもかかわらず野党・民主党が求める証人尋問が実施された場合、マーケットは反応せざるを得ないと認識しておきたい。いずれにしてもトランプ陣営のダメージ・コントロールが問われる局面だ。
加藤裕一
米国株ストラテジスト
配信元: 達人の予想