■今後の見通し
1. 2020年3月期の業績見通し
ビジネス・ブレークスルー<2464>の2020年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.8%増の5,616百万円、営業利益が同37.9%減の284百万円、経常利益が同37.2%減の289百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同40.5%減の142百万円と増収減益の期初計画を据え置いた。売上高についてはプラットフォームサービス事業を中心に増収となるものの、「LAIS」の損失負担が続くほか、「AJB中野キャンパス」の開業準備費用も掛かるなど、先行投資の継続により減益となる見込みだ。ただ、第2四半期までの進捗率は経常利益で64.8%と過去3年間の平均進捗率とほぼ同様のペースとなっていること、第3四半期からはITPJの業績が寄与することなどから、会社計画の達成は可能と弊社では見ている。
(1)リカレント教育事業
リカレント教育事業については前期比で若干の増収、セグメント利益は減益を見込んでいる。売上高のうち、法人向け教育サービスは前期比1.5%増の1,589百万円となる見通し。新規顧客の開拓数で60社(上期27社)、年間10百万円を超える大型案件の受注で前期比5社増加の22社を目指している。なお、2019年7月にM&Aで取得したITPJの業績が2020年3月期第3四半期から反映される。会社業績計画には織り込まれていないが、下期だけで150百万円前後の売上寄与が見込まれる。利益についてはのれん償却期間が決まっていないため流動的だが、若干の増益に寄与する可能性がある。ただ、個人向け教育サービスが第2四半期まで計画を下回っており、事業全体ではおおむね期初会社計画通りに推移する見通しだ。
低迷しているBBT大学院の回復施策としては、法人顧客経由での獲得を強化していくほか、Webマーケティングの取組みを強化することで海外在住の学生獲得に注力していく方針となっている。2019年秋の入学生のうち、3割弱は海外在住の学生であった。なお、第3四半期以降に開始予定の新規教育プログラムは、実践ビジネス英語講座「ビジネス即戦力トレーニングコースB」(2019年11月)、資産運用関連の教育プログラム「年代別で考える「2,000万円問題」対策講座」(同年12月)が新たに加わり、売上貢献が期待される。
2019年7月に子会社化したITPJは、ITマネジメント領域に特化した教育サービスを展開している会社で、取得額は427百万円、のれんは403百万円(のれん償却期間は算定中)となっている。ITPJはオランダのITpreneurs社の子会社として2006年に設立され、ITサービスマネジメントのベストプラクティスである「ITIL®」※1の教材販売や研修サービスが売上高の約7割を占める主力事業となっている。また、今後はDevOps※2やアジャイル※3など組織全体をデジタルトランスフォーメーションするための研修コンテンツの拡充に注力していく方針となっている。同社との協業では、「ITIL®」の同社顧客への販売や、両社のノウハウや蓄積したコンテンツを組み合わせた新たな教育ソリューションサービスの開発、提供などを進めていく予定にしている。
※1 ITシステムを安定稼働させるために必要な、運用管理業務全般をまとめてITサービスマネジメントと言い、ITIL (Information Technology Infrastructure Library)はITサービスマネジメントを考える上での、指標(枠組み)となるもの。世界共通のITIL認定資格としてITILファンデーションがある。
※2 DevOps(デブオプス)は、ソフトウェア開発手法の一つで開発担当者(Development)と運用担当者(Operations)が連携して協力する開発手法をさす。クラウドサービスの開発で用いられることが多い。
※3 アジャイル開発は、システムやソフトウェア開発におけるプロジェクト開発手法のひとつで、大きな単位でシステムを区切ることなく、小単位で実装とテストを繰り返して開発を進めていく手法。従来の開発手法に比べて開発期間の短縮が可能となる。
(2)プラットフォームサービス事業
プラットフォームサービス事業については、売上高で前期比10%前後の増収となる一方、セグメント利益は減益で計画している。前述したように新規開設のための投資費用等を計画に織り込んでいることが要因だ。売上高については、「AJIS」の新年度スクールイヤー生徒数が前年と同じく518名でスタートしたほか、「AJB晴海キャンパス」「AJB芝浦キャンパス」「AJB早稲田キャンパス」についても定員充足率が8~9割と高水準で推移しており、「AJB三鷹キャンパス」や「LAIS」の生徒数増加が主な増収要因となる。「LAIS」については売上高で約1億円、営業利益は設備投資の実施により数千万程度の損失となる見込みだが、2021年3月期以降は生徒数増加による収益貢献が期待される。
「AJIS光が丘キャンパス」については2020年以降もAJBバイリンガルプリスクールの各拠点からの進学希望生徒数の増加が見込まれ、外部からの受入れが困難な状況となってきていることから、2020年夏に校舎の改装・改修工事を行い、収容定員数を約15%増強(約75名増)する計画となっている。現在、プリスクールは6拠点だが、2020年4月には「AJB中野キャンパス」(定員数150名程度)を開校し、その後も拠点数を増やしていく計画となっており、キャンパスの拡大を段階的に進めていく。2021年夏も改装・改修を行う予定で、総投資額は350百万円(うち、半分は2020年夏)を予定している。
なお、2018年10月に子会社のアオバが文部科学省より「国際バカロレアに関する国内推進体制の整備」事業を受託し(最大5年度)、IB認定校や大学、企業等で構成する「文部科学省IB教育推進コンソーシアム」を創設、IBの普及に向けた様々な取り組みを行っている。具体的には、IBの認知度向上を目的に、IBに関する有識者(IB認定校の校長、大学教授、自治体教育長、企業経営者等)を集めたシンポジウムや研究会など各種イベントを開催しているほか、IB導入を検討する学校等に対する支援やIB教育の効果に関する調査研究を行っている。また、同社の「AirCampus®」にコミュニティサイトを開設し、IBに関心を持つ先生等のディスカッションの場として提供している。文部科学省では国内における国際バカロレア認定校200校を目標として掲げており(2019年11月現在で105校、認定候補校を含めると150校)、同社がその普及促進役の機能を果している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2020年3月期の業績見通し
ビジネス・ブレークスルー<2464>の2020年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.8%増の5,616百万円、営業利益が同37.9%減の284百万円、経常利益が同37.2%減の289百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同40.5%減の142百万円と増収減益の期初計画を据え置いた。売上高についてはプラットフォームサービス事業を中心に増収となるものの、「LAIS」の損失負担が続くほか、「AJB中野キャンパス」の開業準備費用も掛かるなど、先行投資の継続により減益となる見込みだ。ただ、第2四半期までの進捗率は経常利益で64.8%と過去3年間の平均進捗率とほぼ同様のペースとなっていること、第3四半期からはITPJの業績が寄与することなどから、会社計画の達成は可能と弊社では見ている。
(1)リカレント教育事業
リカレント教育事業については前期比で若干の増収、セグメント利益は減益を見込んでいる。売上高のうち、法人向け教育サービスは前期比1.5%増の1,589百万円となる見通し。新規顧客の開拓数で60社(上期27社)、年間10百万円を超える大型案件の受注で前期比5社増加の22社を目指している。なお、2019年7月にM&Aで取得したITPJの業績が2020年3月期第3四半期から反映される。会社業績計画には織り込まれていないが、下期だけで150百万円前後の売上寄与が見込まれる。利益についてはのれん償却期間が決まっていないため流動的だが、若干の増益に寄与する可能性がある。ただ、個人向け教育サービスが第2四半期まで計画を下回っており、事業全体ではおおむね期初会社計画通りに推移する見通しだ。
低迷しているBBT大学院の回復施策としては、法人顧客経由での獲得を強化していくほか、Webマーケティングの取組みを強化することで海外在住の学生獲得に注力していく方針となっている。2019年秋の入学生のうち、3割弱は海外在住の学生であった。なお、第3四半期以降に開始予定の新規教育プログラムは、実践ビジネス英語講座「ビジネス即戦力トレーニングコースB」(2019年11月)、資産運用関連の教育プログラム「年代別で考える「2,000万円問題」対策講座」(同年12月)が新たに加わり、売上貢献が期待される。
2019年7月に子会社化したITPJは、ITマネジメント領域に特化した教育サービスを展開している会社で、取得額は427百万円、のれんは403百万円(のれん償却期間は算定中)となっている。ITPJはオランダのITpreneurs社の子会社として2006年に設立され、ITサービスマネジメントのベストプラクティスである「ITIL®」※1の教材販売や研修サービスが売上高の約7割を占める主力事業となっている。また、今後はDevOps※2やアジャイル※3など組織全体をデジタルトランスフォーメーションするための研修コンテンツの拡充に注力していく方針となっている。同社との協業では、「ITIL®」の同社顧客への販売や、両社のノウハウや蓄積したコンテンツを組み合わせた新たな教育ソリューションサービスの開発、提供などを進めていく予定にしている。
※1 ITシステムを安定稼働させるために必要な、運用管理業務全般をまとめてITサービスマネジメントと言い、ITIL (Information Technology Infrastructure Library)はITサービスマネジメントを考える上での、指標(枠組み)となるもの。世界共通のITIL認定資格としてITILファンデーションがある。
※2 DevOps(デブオプス)は、ソフトウェア開発手法の一つで開発担当者(Development)と運用担当者(Operations)が連携して協力する開発手法をさす。クラウドサービスの開発で用いられることが多い。
※3 アジャイル開発は、システムやソフトウェア開発におけるプロジェクト開発手法のひとつで、大きな単位でシステムを区切ることなく、小単位で実装とテストを繰り返して開発を進めていく手法。従来の開発手法に比べて開発期間の短縮が可能となる。
(2)プラットフォームサービス事業
プラットフォームサービス事業については、売上高で前期比10%前後の増収となる一方、セグメント利益は減益で計画している。前述したように新規開設のための投資費用等を計画に織り込んでいることが要因だ。売上高については、「AJIS」の新年度スクールイヤー生徒数が前年と同じく518名でスタートしたほか、「AJB晴海キャンパス」「AJB芝浦キャンパス」「AJB早稲田キャンパス」についても定員充足率が8~9割と高水準で推移しており、「AJB三鷹キャンパス」や「LAIS」の生徒数増加が主な増収要因となる。「LAIS」については売上高で約1億円、営業利益は設備投資の実施により数千万程度の損失となる見込みだが、2021年3月期以降は生徒数増加による収益貢献が期待される。
「AJIS光が丘キャンパス」については2020年以降もAJBバイリンガルプリスクールの各拠点からの進学希望生徒数の増加が見込まれ、外部からの受入れが困難な状況となってきていることから、2020年夏に校舎の改装・改修工事を行い、収容定員数を約15%増強(約75名増)する計画となっている。現在、プリスクールは6拠点だが、2020年4月には「AJB中野キャンパス」(定員数150名程度)を開校し、その後も拠点数を増やしていく計画となっており、キャンパスの拡大を段階的に進めていく。2021年夏も改装・改修を行う予定で、総投資額は350百万円(うち、半分は2020年夏)を予定している。
なお、2018年10月に子会社のアオバが文部科学省より「国際バカロレアに関する国内推進体制の整備」事業を受託し(最大5年度)、IB認定校や大学、企業等で構成する「文部科学省IB教育推進コンソーシアム」を創設、IBの普及に向けた様々な取り組みを行っている。具体的には、IBの認知度向上を目的に、IBに関する有識者(IB認定校の校長、大学教授、自治体教育長、企業経営者等)を集めたシンポジウムや研究会など各種イベントを開催しているほか、IB導入を検討する学校等に対する支援やIB教育の効果に関する調査研究を行っている。また、同社の「AirCampus®」にコミュニティサイトを開設し、IBに関心を持つ先生等のディスカッションの場として提供している。文部科学省では国内における国際バカロレア認定校200校を目標として掲げており(2019年11月現在で105校、認定候補校を含めると150校)、同社がその普及促進役の機能を果している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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