■業績動向
1. 2019年10月期の連結業績
(1) 損益状況
泉州電業<9824>の2019年10月期の連結業績は、売上高83,676百万円(前期比2.0%増)、営業利益3,979百万円(同2.9%増)、経常利益4,206百万円(同2.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,714百万円(同14.5%増)となった。
平均の銅価格は前期比で9.1%下落し売上高を押し下げる要因となったが、電力用ケーブル、非電線などが堅調に推移したことから全体では増収を確保した。増収に加えて売上総利益率が前期の15.6%から15.8%へ改善したことから、売上総利益額は13,222百万円(同3.1%増)となった。一方で販管費は、減価償却費や人件費、租税公課などの増加により同3.1%増の9,243百万円に止まったことから営業増益を達成した。売上総利益率が改善したのは、後述するように相対的に利益率の高い商品の売上高が増加したことによる。
期間中の設備投資額は約1,363百万円、減価償却費は543百万円であった。投資の主な内訳は、大阪物流センター関連800百万円、東京西(八王子)の営業所・倉庫関連400百万円などであった。
(2) 財務状況
2019年10月期末の資産合計は前期末比1,278百万円増の68,589百万円となった。流動資産は同768百万円増の44512百万円となったが、主に現金及び預金の増加540百万円、受取手形及び売掛金の減少1,054百万円、商品の増加63百万円などによる。固定資産は同510百万円増の24,077百万円となったが、主に設備投資による有形固定資産の増加699百万円などによる。
負債については、負債合計が前期末比103百万円減の28,840百万円となった。流動負債は同131百万円減の26,049百万円となったが、主に支払手形及び買掛金の減少151百万円による。固定負債は前期末28百万円増の2,790百万円となったが、主に退職給付に係る負債の増加99百万円などによる。なお役員退職慰労金制度の廃止に伴い、「役員退職慰労引当金」の全額を取り崩し、打ち切り支給に伴う未払額528百万円を固定負債の「その他」に含めている。純資産合計は、主に利益剰余金の増加2,072百万円などにより、同1,381百万円増の39,749百万円となった。
(3) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは3,349百万円の収入であったが、主な収入は税金等調整前当期純利益4,019百万円、減価償却費543百万円等で、主な支出は仕入債務の減少158百万円、売上債権の増加144百万円等による。
投資活動によるキャッシュ・フローは1,199百万円の支出であったが、主に有形固定資産の取得による支出1,651百万円が主要因。財務活動によるキャッシュ・フローは1,525百万円の支出であったが、主に自己株式の取得821百万円、配当金の支払額642百万円が主要因となった。
この結果、2019年10月期中に現金及び現金同等物は631百万円増加し、期末残高は15,430百万円となった。
2. 2019年10月期の商品別概況(単体ベース)
商品別の状況(単体ベース)は以下のとおりであった。
(1) 機器用・通信用電線
取扱商品の中では比較的付加価値が高く、銅価格の変動の影響が少ない商品である。売上高は27,922百万円(前期比4.5%減)となった。主な向け先である半導体製造装置関連が失速、一部の工作機械関連も低調な動きであったことから前期比で減収となった。比較的銅価格の影響は少ないが、数量ベースでも前期比で減少となった。
(2) 電力用ケーブル
主に建設用(ビル、工場、病院及び学校等の大型施設など)に使われる電線であるが、競争も激しく利益率は低い。銅価格の影響を受けるが、需要が堅調に推移したことから売上高は26,671百万円(同9.0%増)となった。
(3) 汎用被覆線
主に電力用より細い電線で、住宅などに用いられる。売上高は7,606百万円(同3.5%減)となったが、電力用ケーブルと同様に銅価格の影響を受けやすいので、銅価格の影響を除けば、微増だったと言える。
(4) その他電線
主に中小メーカー向けの銅裸線の販売であるため、販売価格はほぼ銅価格にスライドする。そのため、売上高は3,729百万円(同8.6%減)となった。
(5) 非電線
電線以外の商品が含まれる。各種の加工品、付属品、周辺機器などで、主要製品はソーラー関連の部品及び加工品※とワイヤーハーネス関連だが、銅価格の影響は小さく相対的に利益率の高い部門である。売上高は12,821百万円(同12.1%増)となり、粗利額も増加し、全体の粗利率改善に寄与した。コネクター類やソーラー関連が特に好調であった。
※ソーラー関連は、ケーブルだけの場合は「電力用ケーブル」に、コネクター及び加工品が付いた場合は「非電線」に区分けされている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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1. 2019年10月期の連結業績
(1) 損益状況
泉州電業<9824>の2019年10月期の連結業績は、売上高83,676百万円(前期比2.0%増)、営業利益3,979百万円(同2.9%増)、経常利益4,206百万円(同2.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,714百万円(同14.5%増)となった。
平均の銅価格は前期比で9.1%下落し売上高を押し下げる要因となったが、電力用ケーブル、非電線などが堅調に推移したことから全体では増収を確保した。増収に加えて売上総利益率が前期の15.6%から15.8%へ改善したことから、売上総利益額は13,222百万円(同3.1%増)となった。一方で販管費は、減価償却費や人件費、租税公課などの増加により同3.1%増の9,243百万円に止まったことから営業増益を達成した。売上総利益率が改善したのは、後述するように相対的に利益率の高い商品の売上高が増加したことによる。
期間中の設備投資額は約1,363百万円、減価償却費は543百万円であった。投資の主な内訳は、大阪物流センター関連800百万円、東京西(八王子)の営業所・倉庫関連400百万円などであった。
(2) 財務状況
2019年10月期末の資産合計は前期末比1,278百万円増の68,589百万円となった。流動資産は同768百万円増の44512百万円となったが、主に現金及び預金の増加540百万円、受取手形及び売掛金の減少1,054百万円、商品の増加63百万円などによる。固定資産は同510百万円増の24,077百万円となったが、主に設備投資による有形固定資産の増加699百万円などによる。
負債については、負債合計が前期末比103百万円減の28,840百万円となった。流動負債は同131百万円減の26,049百万円となったが、主に支払手形及び買掛金の減少151百万円による。固定負債は前期末28百万円増の2,790百万円となったが、主に退職給付に係る負債の増加99百万円などによる。なお役員退職慰労金制度の廃止に伴い、「役員退職慰労引当金」の全額を取り崩し、打ち切り支給に伴う未払額528百万円を固定負債の「その他」に含めている。純資産合計は、主に利益剰余金の増加2,072百万円などにより、同1,381百万円増の39,749百万円となった。
(3) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは3,349百万円の収入であったが、主な収入は税金等調整前当期純利益4,019百万円、減価償却費543百万円等で、主な支出は仕入債務の減少158百万円、売上債権の増加144百万円等による。
投資活動によるキャッシュ・フローは1,199百万円の支出であったが、主に有形固定資産の取得による支出1,651百万円が主要因。財務活動によるキャッシュ・フローは1,525百万円の支出であったが、主に自己株式の取得821百万円、配当金の支払額642百万円が主要因となった。
この結果、2019年10月期中に現金及び現金同等物は631百万円増加し、期末残高は15,430百万円となった。
2. 2019年10月期の商品別概況(単体ベース)
商品別の状況(単体ベース)は以下のとおりであった。
(1) 機器用・通信用電線
取扱商品の中では比較的付加価値が高く、銅価格の変動の影響が少ない商品である。売上高は27,922百万円(前期比4.5%減)となった。主な向け先である半導体製造装置関連が失速、一部の工作機械関連も低調な動きであったことから前期比で減収となった。比較的銅価格の影響は少ないが、数量ベースでも前期比で減少となった。
(2) 電力用ケーブル
主に建設用(ビル、工場、病院及び学校等の大型施設など)に使われる電線であるが、競争も激しく利益率は低い。銅価格の影響を受けるが、需要が堅調に推移したことから売上高は26,671百万円(同9.0%増)となった。
(3) 汎用被覆線
主に電力用より細い電線で、住宅などに用いられる。売上高は7,606百万円(同3.5%減)となったが、電力用ケーブルと同様に銅価格の影響を受けやすいので、銅価格の影響を除けば、微増だったと言える。
(4) その他電線
主に中小メーカー向けの銅裸線の販売であるため、販売価格はほぼ銅価格にスライドする。そのため、売上高は3,729百万円(同8.6%減)となった。
(5) 非電線
電線以外の商品が含まれる。各種の加工品、付属品、周辺機器などで、主要製品はソーラー関連の部品及び加工品※とワイヤーハーネス関連だが、銅価格の影響は小さく相対的に利益率の高い部門である。売上高は12,821百万円(同12.1%増)となり、粗利額も増加し、全体の粗利率改善に寄与した。コネクター類やソーラー関連が特に好調であった。
※ソーラー関連は、ケーブルだけの場合は「電力用ケーブル」に、コネクター及び加工品が付いた場合は「非電線」に区分けされている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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