13日の英ポンド、ギャップ・アップのスタート!米ドル/円の動向は?

著者:津田隆光
投稿:2019/12/13 10:39

英ポンド/米ドル、英ポンド/円および米ドル/円の留意点は?

英ポンド/米ドル・1時間足チャート
【英ポンド/米ドル、英ポンド/円】英国総選挙出口調査結果を受け、“ギャップ・アップ”の動き
【留意点】「セル・ザ・ファクト」(事実売り)の有無
【米ドル/円】上下圧力が拮抗するレンジ相場の様相
【留意点】「109.560円」上抜けブレーク成否

英ポンド、“セル・ザ・ファクト”に要注意!米ドル/円は依然レンジ志向?

米ドル/円・日足・複合チャート
12日に投票が行われた英国総選挙の出口調査において、ジョンソン首相率いる与党・保守党が過半数議席を獲得する見込みであるとの見通しを受け、英ポンドは対米ドル・対円相場ともに、ギャップ・アップ(=上方向への窓開け)となっています。(※英ポンド/米ドル:2.26%高、英ポンド/円:2.49%高)

英国総選挙の公式開票結果については、日本時間14時頃(予定)となっているため、「決め打ち」はご法度と言えますが、出口調査の結果を以て判断すると、ジョンソン首相の“賭け”が成功し、ブレグジット(英国のEU離脱)がいよいよ実現に向かうと捉えて良さそうです。(=英政局の安定化→英ポンド買い材料)

その一方で、ブレグジットに伴う英国経済の不安定化懸念は免れないこともあり、依然として英国経済の“五里霧中”状態は継続しそうです。(=英国経済の先行き不透明化→英ポンド売り材料)

また、マーケットでは往々にして「セル・ザ・ファクト(事実売り)」の動きが現れやすいという経験則もあるため、当面の英ポンドの動向には注意が必要と言えるでしょう。足もとでは、投機筋の動きや、アルゴリズム取引の刹那的な売買行動に伴うランダム・ウォーク的な動きに留意すべきでしょう。


もう一つの注目材料である、米中貿易協議については、「米中両国が第1段階で原則合意」とのニュースを受け、足もとではトランプ大統領の署名待ちの段階となっています。本稿執筆(13日8時)時点においては、「15日の対中関税発動回避」とともに「既に課している約3600億ドル分の中国製品に対する関税を最大50%引き下げる」との観測を受け、マーケットのセンチメントは「総楽観ムード」となっています。

そんな中、米ドル/円については、依然として方向性の乏しいチャート形状となっています。

米ドル/円チャートでは、1) 21日MA(移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足を上放れしつつあること(別図黄色丸印)、3) 各BB(ボリンジャーバンド)が21日MAに対してパラレルに推移していること、4) ローソク足の下方に青色の雲(=サポート帯、先行スパン)およびパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、そして、5) DMI(方向性指数)で+DIと-Diが接近し、ADXが定位置にあること(別図赤色点線丸印)から、13日時点の米ドル/円は、上下圧力が拮抗するレンジ相場を示唆していることが見て取れます。

喫緊のポイントは、ローソク足が上値抵抗ラインとして機能しているBB・+2σライン(≒109.560円、別図黄色矢印)を上抜けブレークするか否か。

これからの時間にかけて、ローソク足が同ラインを上抜けブレークした場合は、遅行スパンの上放れ(=好転)も伴いつつ、米ドル/円の上昇モメンタムが強まる可能性も。

一方で、ローソク足が同ライン付近で上値抵抗圧力を受けるような展開となった場合は、遅行スパンのフェイク(=ダマし)も伴いつつ、「上値固め」→「一旦下押しフロー」となりそうです。

筆者個人の見立てとしては、チャートのパターン分析をすると、後者、つまり「109.560円付近での上値固め」→「一旦下押しフロー」となるのでは?との想定をしています。

引き続き、これからの時間にかけてのファンダメンタルズ材料(英国総選挙公式開票結果および対中関税に関するトランプ大統領の署名等)には十分留意しながら、「相場は相場に聞け」※の投資スタンスを取るのも一案でしょう。(※相場見通しが不透明な時は、相場の流れをよく見て、その流れに従った方が良いということ。)
津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想