CACHD Research Memo(1):グローバル化を推進するIT&ヘルスケア・グループ

配信元:フィスコ
投稿:2019/11/22 16:05
■要約

1. 会社概要と事業内容
CAC Holdings<4725>は、1966年8月設立の日本国内ではパイオニア的な独立系ソフトウェア専門会社として事業をスタートし、積極的なM&A戦略をテコに事業領域を拡大。現在は海外での飛躍を目指すIT&ヘルスケア・グループ(持株会社傘下の連結子会社20社、持分法適用関連会社1社が事業展開)を形成している。

報告セグメントは、国内IT事業(国内子会社におけるシステム構築サービス、システム運用管理サービス、人事BPOなど)、海外IT事業(海外子会社におけるシステム構築サービス、システム運用管理サービス、保守サービスなど)、CRO事業(製薬企業が医薬品開発時に行う治験業務や製造販売後の業務の受託・代行サービス)の3つで構成されている。また、2019年には意思決定を迅速化し機動的な事業遂行を実現するため、既存事業を4つに区分し、新規事業1つを加えた合計5つの事業ドメインを設置している。

2. 財務安全性は一段と向上、2019年12月期通期業績はCRO事業及び海外IT事業の進捗遅れから業績予想を修正
現中期経営計画の初年度となった2018年12月期では、売上高が前年同期比6.3%減の49,906百万円、営業利益が同104.3%増の1,426百万円となった。売上高54,000百万円(前期比1.4%増)、営業利益1,600百万円(同129.1%増)を見込んだ期初業績予想には届かなかったものの、不採算案件の解消とコストの適正化に取り組み減収のもとで大幅増益を実現した。また、財務体質の安全性を計る代表的な指標の推移を見ると、自己資本比率が2017年12月期末58.6%→2018年12月期末59.7%、流動比率が2017年12月期末 216.6%→2018年12月期末222.7%、ネットキャッシュ(現預金-有利子負債、プラスはキャッシュ超過)が2017年12月期末3,611百万円→2018年12月期末 5,337百万円など、いずれも一段と向上している。

2019年12月期第2四半期連結決算は売上高が前年同期比3.2%増の26,251百万円、営業利益が同56.6%増の837百万円となった。また、11月8日に発表した第3四半期連結決算では、売上高が同1.2%増の37,827百万円、営業利益が同17.9%増の1,039百万円で着地した。前年同期比では順調な伸びとなっているが、期初業績予想(売上高52,000百万円、営業利益2,000百万円)に対しては、CRO事業及び海外IT事業の売上計画の進捗が遅れていることから、2019年12月通期の業績予想を売上高で前回予想比1.0%減の51,500百万円、営業利益で同25.0%減の1,500百万円に修正している。

3. 最大の強みは「トランスフォーメーション力」
同社の最大の強みは、時代によって変化する社会のニーズ・課題に応じて、自らを変革してきた「トランスフォーメーション(企業変革)力」だと考える。

同社は、独立系ソフトウェア専門会社としての成長に安住することなく、「M&Aによる事業拡大」に「選択と集中による事業構造改革」を織り交ぜながら、現在のIT&ヘルスケアサービス企業へと進化してきた。その「トランスフォーメーション力」を支えているのが、「挑戦を是とする企業文化(経営の意思)」、「事業拡大の核となる優良な顧客基盤」、「機動的な財務戦略を可能とする盤石な財務体質」である。

4. ブラッシュアップされた中期経営戦略、ガバナンス強化を第一に据えた基本方針に注目
同社は、2018年12月期を初年度とする中期経営戦略「Determination 21」を取締役会での徹底的な議論のもとブラッシュアップし、2019年2月に再公表した。

経営環境変化に伴う見直しと戦略の明確化が図られた結果、更改版中期経営戦略では、1)経営と執行の分離によるガバナンス強化、2)意思決定の迅速化による機動的な事業遂行、3)資本効率改善と株主還元の強化、4)株主との価値共有促進、という4つの基本方針が策定された。また、最終年度(2021年12月期)の数値目標は売上高700億円、営業利益40億円が据え置かれ、資本効率を図る指標として新たにROE8%が追加されている。

5. 非財務価値向上に対する思いが読み取れる「ボッチャ支援」
ITとヘルスケアを事業の柱とする同社は、本業を通じて社会が抱える課題を解決する典型的なCSV(Creating Shared Value、事業を通じた社会貢献)型企業グループである。その同社が、障害者スポーツ「ボッチャ」の普及・支援活動を2016年から継続している姿からは、非財務価値向上に真剣に取り組む同社の思いが読み取れる。

創業50周年を機に始まった同活動だが、グループ社員のほぼ全員がボッチャ経験者となり、障害者の方々との交流で得た何かを含めて「ボッチャ」の魅力を臨場感豊かに社内外で発信し続けることは、今はまだまだ小さくとも案外と大きな果実に育つ可能性がある。それこそが、創業50年記念の取り組みに「ボッチャ」を選んだ理由であり、同社が「見えない資産」と呼ぶ非財務価値の向上に対する思いだと考える。

■Key Points
・創業来50年超の歴史を持つ独立系SIerのパイオニア。現在は国内IT事業、海外IT事業、CRO事業を展開するIT&ヘルスケアサービス企業に進化している。2019年からは既存事業を4つに区分、新規事業1つを加えた、合計5つの事業ドメインを設置している。
・最大の強みは「トランスフォーメーション力」。それを支えるのが、「挑戦を是とする企業文化」、「優良な顧客基盤」、「盤石な財務体質」である。
・更改版中期経営戦略では、カバナンス強化を第一に据えた4つの基本方針が策定された。また、最終年度(2021年12月期)の収益目標(売上高700億円、営業利益40億円)は据え置かれ、資本効率を図る指標としてとして、新たにROE(8%)が追加されている。
・CSV型企業グループである同社が、「ボッチャ支援」を継続する姿から、非財務価値向上に真剣に取り組む同社の思いが読み取れる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)

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配信元: フィスコ

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