ドル円は一時108.25円付近まで下落=NY為替後半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2019/11/15 05:40
 NY時間の終盤に入ってドル円は108.40円近辺に下げ渋っている。一時108.25円付近まで下落する場面が見られた。英FTが「米中は第1段階の合意取りまとめで難航」と伝えたことに敏感に反応し、急速に下げたものの直ぐに戻している。

 きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となり、ドル円は一時108.25円付近まで下落している。ドル円を下押しする直接的な材料は見当たらないが、米中貿易協議の行方に不透明感も出る中、米国債利回りの下げが止まらず、ドル円も上値の重い展開となっている模様。ただ、米株式市場は下げてはいるものの、小幅安に留まっており、リスク回避の雰囲気までは強まっていない。米国債中心に何らかの調整の動きが出ており、ドル円を圧迫しているものと見られる。

 ドル円は本日の下げで200日線を下放れ、21日線も割り込んだ。更に108.50円を割り込んだことで短期のロング勢が見切り売りを出した模様。 

 引き続き市場は米中貿易協議の行方に関心が集中しており、様々な報道に神経を尖らせている。最新の報道では、米国が中国に対して年間500億ドル相当の米農産物購入について、具体的な数値目標を示すよう求めているようだ。ただ、中国側は抵抗を示している。一方、中国側は段階的な関税撤廃の確約が必要としている。トランプ大統領はそれについては何も言及していない状況。

 部分的合意への市場の期待感は依然として強いものの、協議の動向を見極めたい雰囲気も強まっている模様。

 ユーロドルは買い戻しが膨らんでおり1.1020ドル近辺まで戻している。1.09ドル台に下落する場面も見られたが、ショートカバーも活発に入るようだ。

 きょうはドイツの第3四半期のGDPが発表され、前期比0.1%のプラス成長となった。警戒されていたテクニカル的リセッションは回避された格好となっている。ただ、ユーロは発表直後こそ買いが見られたものの、直ぐに上値を抑えられていた。市場の関心がファンダメンタルズに向いていないことを印象付ける値動きでもあった。

 警戒されていただけに予想外のプラス成長はポジティブ・サプライズとも思われるが、この好結果が逆にドイツの景気刺激策への期待を後退させている。現にドイツのショルツ財務相は、「ドイツ経済は危機にはなく、いまのところ景気対策は必要ない」と述べていた。

 ポンドドルも1.28ドル台後半まで上昇しており、再び21日線を試す動きが見られている。英総選挙の結果待ちの雰囲気が強い中、世論調査では与党・保守党のリードが続いており、最大野党の労働党に10ポイント程度の差をつけている。保守党が勝利すれば、ジョンソン首相の離脱合意案が選挙によって有権者に承認されたとも言え、EUと結んだ協定に従ってスムーズな離脱が実現される可能性が高まる。

 ポンドドルは1.29ドル台をうかがう展開を見せているが、1.29ドルより上にはストップも観測され、1.30ドルに向かって弾みが出るとの指摘も聞かれる。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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