雇用統計後のISM製造業に要注意=外為どっとコム総研 神田卓也

著者:神田卓也
投稿:2019/11/01 16:45

雇用統計後のISM製造業に要注意

【基調】
 波乱含み

【注目イベント】
 ・11/1 米10月雇用統計、米10月ISM製造業景況指数
 ・米長期金利、主要国株価
 
【本文】
本日は、米10月雇用統計が発表される。主な項目の市場予想は、非農業部門雇用者数が8.5万人増(前回:13.6万人増)、失業率は3.6%(前回:3.5%)、平均時給は前月比+0.3%、前年比+3.0%(前回:±0.0%、+2.9%)などとなっている。非農業部門雇用者数の予想値が8.5万人増に留まる背景は、米大手自動車メーカーGMの大規模ストライキだ。ストライキには46000~49000人が参加したとされ、大半が一時帰休者となり雇用者にカウントされない模様。こうした特殊要因がある事を踏まえると、ドル/円は米10月雇用統計に強い反応を示さない可能性もあるだろう。

ただし、雇用統計の後に発表される米10月ISM製造業景況指数には注目しておきたい。昨日のドル/円の下落要因のひとつは米9月個人消費支出(PCE)や米10月シカゴPMIの冴えない結果を受けて米債利回りが低下した事であった。中でもシカゴPMIは約4年ぶりの水準に落ち込んでおり、米中通商協議を巡る楽観的な見方が広がったにもかかわらずシカゴ地区製造業の景況感は悪化した格好だ。10月ISM製造業景況指数は約10年ぶりの低水準を記録した前回から持ち直すと予想されているが(前回:47.8、予想:48.9)、予想外に悪化するようだとドル売りが活発化する公算が大きい。もっとも、シカゴPMIの悪化でISM製造業景況指数に対する市場の期待値も低下していると見られるだけに、上ブレとなった場合のポジティブサプライズもそれなりに大きいものになりそうだ。決め打ちは難しい状況につき、想定レンジをやや大きめに取って今夜のイベントに臨みたい。
神田卓也
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長
配信元: 達人の予想