【Alox分析】アラーム分析ランキング -2018年2月~2019年1月-

著者:塙 大輔
投稿:2019/10/09 19:04

【アラーム分析ランキング】
例年通り、有価証券報告書に記載された財務諸表をアラーム管理システムにて分析した結果を公表致します。

【『格付速報』を知っていますか?】
12年前、『会社四季報』『日経会社情報』とは違うジャンルの“上場企業の分析情報”を提供するという意気込みで、日本証券新聞社のご協力頂き、『格付速報』が出版されていました。

2004年から2006年12月までの販売ではあったが、一部の投資家や企業審査の方には評判となり、今でも再開を期待する根強いファンがいます。

とにかく辛口な分析が評判でした。
当時は、「何でこんなに点数が低いんだ!」、「競合のA社より点数が低いのは何でなんだ!」
「あと1点で100点となるが、どうすれば点数が上がるのか?」などの多数のお問い合わせやご意見を頂き、『格付速報』の担当者が苦労していたのをよく目にしました。

今回の分析結果は、『格付速報(2018年度版)-下位48社と100点企業特集-』と言っても差し支えない代物です。ご参照ください。

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<アラーム管理システムとは>
2期分以上の財務諸表(BS、PL、脚注)から、企業を100点満点で評価。
40点以下を「資金繰りの破綻リスクが高い」と評価する。
詳細については、下記URLをご参照ください。
 

 
http://alox.jp/sevices/alarm/

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【下位48社と100点企業】

 

 
下位48社と100点企業の全データは、下記の認証サイトからダウンロードができます。
ユーザー名とパスワードを入力してご参照ください。

<認証サイト>
http://alox.jp/contact/mail_authentication.html
【ユーザー名】alox
【パスワード】2016
 

 
【評点分布の推移】
2019年配信 40点以下:180社 100点:12社
2018年配信 40点以下:184社 100点:10社
2017年配信 40点以下:177社 100点:11社
2016年配信 40点以下:169社 100点:8社

100点が微増、40点以下が微減のため、上場企業の財務余力は、やや向上していると言えなくはないが、誤差の範囲とも捉えられる。

【下位48社の傾向】
48社中、27社は赤字が常態化※している。
48社中、昨年も40点以下の企業数は38社。
48社中、10社が創薬企業。

フィンテック、IPS細胞、創薬など企業は、顧客のニーズ(つまり売上)よりも、「10年後に花開くという期待値」によって、上場している。

そのため、貸借対照表における純資産の部の資本金や借入金などの外部マネーに依存するため、アラーム管理システムの評価は低くならざるを得ない。

また、点数が低い企業(つまり業績が悪化した企業)や株主が交代する企業の特徴として、不動産売買業に業態変更することが多い。

容易というと語弊はあるが、不動産売買業は一定規模の売上を計上することが比較的容易だ。

なぜなら、登場人物(「売る企業」と「買う人・買う法人」)が少なく、1件あたりの金額が高額だからである。

外部向けに「弊社は売上のある正常な企業です。ご安心ください。」とアピールしやすい業種として、不動産売買業が選ばれやすいのは間違いない。

※3期連続赤字の会社を「赤字の常態化」と定義。

【急落ベスト3】
前年の評点から急落した企業は、下記である。
 

 
【評点が急落した理由は?】
シェアリングテクノロジー(株)
→ 直近期は、M&Aの頻度が高く、ソフトバンクやライザップを思わせる倍々ゲームの決算書。売上と資産のバランスが歪。

リネットジャパングループ(株)
→ 海外企業の子会社化に伴い、2018年9月期から13億円(自社の現預金は14億円)の営業貸付金が登場。

(株)小田原機器 
→ 長期借入金が1.2億円から16億円に(財務制限条項あり)。棚卸資産が6億円から23億円へ急増。
売上は微増(31億から33億円)のため、売上に貢献しない借入金と在庫が増加。

【総括】
今年は、1件(シベール)の倒産が発生した。
また、倒産には該当しないが、文教堂グループホールディングスが事業再生ADR※を申請した。

昨今は、アマゾンに代表されるネット小売業によって、店を構えるリアル小売業の苦境は著しい。

文教堂グループホールディングスも、その例外ではなかったのだろう。

そして、10月1日から消費税の増税である。
消費税の増税は、消費者を相手にする小売業にとって、傷口に塩を塗られるようなものだ。

粉飾倒産が増えている昨今、年末にかけて粉飾に手を染める小売業があったとしても、何ら不思議ではなく、想定内として捉えるべきである。


事業再生ADRとは
経営危機に至った企業が、民事再生法や会社更生法の申し立てによる
法的手続きに替え、中立な第三者機関であるADR事業者の手によって、
債権者・債務者間の話し合いをもとに自主的な整理手続きによって問題解決を図ること。
(参照資料:コトバンク『事業再生ADR』)


【データについて】
<データ件数>    3617社

<データ作成方法>
EDINETから入手した財務情報をアラーム管理システムにて分析して作成

<データ抽出条件>
(1)最新決算年月が2018年2月から2019年1月までのデータ
(2)連続した決算書は3期分以上
(3)連結と単独の決算が両方ある場合は、連結を優先
(4)アラームの分析対象外業種(銀行、生損保、証券)は除く

※ 毎年の掲載企業数が違うのは、同率ランクの企業数等の影響で、
キリの良い数字の抽出が難しいためです。
今年は、キリの良い数字ではありませんが、48社とさせて頂きました。

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配信元: みんかぶ株式コラム