■要約
シノケングループ<8909>は、アパートメントやマンション等の不動産販売を主力とし、付随する賃貸管理やマンション管理、家賃等の債務保証、LPガス及び電力の小売販売などのストック収益を積み重ねながら事業基盤を拡大してきた。2019年12月期以降は「アパートメント経営のシノケン」から、「ライフサポートのシノケン」へ生まれ変わることを表明し、ビジネストランスフォーメーション(事業体の進化)の推進により更なる成長を目指している。
1. 2019年12月期第2四半期累計業績の概要
2019年12月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比13.2%減の50,775百万円、営業利益で同10.5%減の6,092百万円と減収減益となったものの、期初会社計画(売上高42,500百万円、営業利益3,600百万円)に対しては大きく上回って推移した。主力事業であるアパートメント販売の落ち込みが響いて減収減益となっているが、会社計画に対してはゼネコン事業がほぼ計画どおりの増収増益だったのを除いて、すべての事業セグメントで会社計画を上回った。また、営業利益に占めるアパートメント販売以外の比率も前年同期の60.7%から81.3%に上昇しており、アパートメント販売依存型の収益構造から脱却していることがうかがえる。
2. 2019年12月期業績見通し
2019年12月期の連結業績は、売上高で前期比19.2%減の90,000百万円、営業利益で同27.4%減の8,600百万円と期初計画を据え置いている。アパートメント販売については下期も上期並みの水準が続く見込みだが、ストックビジネスである不動産サービス事業やエネルギー事業が右肩上がりで成長するほか、ゼネコン事業も好調を持続する見込みであることから、会社計画を上回る可能性は高いと弊社では見ている。また、同社は2018年下期以降からアパートメント用地の仕入を抑制し在庫圧縮に取り組んできたが、2019年7月より用地仕入を再強化している。2020年12月期に販売件数を拡大していくためだが、仕入環境は2018年前半よりも大きく改善しているようで、アパートメント販売も2020年12月期には増収増益に転じる見通しだ。また、2019年7月にインドネシアで外資企業として初となる不動産ファンド運営ライセンスを取得したことを受け、今後、インドネシアで不動産ファンド事業を拡大していく方針を明らかにしている。既に、現地の不動産デベロッパー等からの多くの引き合いがきており、3年を目途に400~500億円規模のREITを組成し、インドネシア証券取引所への上場を目指している。一方、国内で計画しているREITに関しては、現在、認可に向けた準備を進めている段階にある。
3. ビジネストランスフォーメーションによる成長戦略
同社はアパートメント販売を主軸とした事業展開から、ストックビジネス(不動産サービス、エネルギー事業)やライフケア事業(旧介護事業)、国内外での不動産ファンド・REITビジネスなどを新たな成長エンジンとする戦略を打ち出している。アパートメント販売の利益構成比は20%程度とし、残り80%をストックビジネス等のその他の事業で安定的に稼いでいく収益構造に進化させていく方針だ。新たな取り組みとして不動産ファンド運用事業以外にも、不動産テック分野にも積極的に進出し、更なるグループシナジーを創出していく考えだ。不動産テックの取り組みとして、2019年7月の受注分よりすべてのアパートメントを「インテリジェントアパート」※仕様とし、他社との差別化を図っている。
※建物全体・全部屋にIoTセンサーを標準装備し、スマートロックや外出先からの家電・住設機器の遠隔操作等を入居者が「無料」で利用できるアパートメント。
■Key Points
・2019年12月期業績は期初計画を据え置くも、上振れする可能性は高い
・インドネシアで不動産ファンド運営ライセンスを取得、積極的に事業拡大を推進していく
・ビジネストランスフォーメーションの推進により、安定的に利益を創出する体質へ進化する
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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シノケングループ<8909>は、アパートメントやマンション等の不動産販売を主力とし、付随する賃貸管理やマンション管理、家賃等の債務保証、LPガス及び電力の小売販売などのストック収益を積み重ねながら事業基盤を拡大してきた。2019年12月期以降は「アパートメント経営のシノケン」から、「ライフサポートのシノケン」へ生まれ変わることを表明し、ビジネストランスフォーメーション(事業体の進化)の推進により更なる成長を目指している。
1. 2019年12月期第2四半期累計業績の概要
2019年12月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比13.2%減の50,775百万円、営業利益で同10.5%減の6,092百万円と減収減益となったものの、期初会社計画(売上高42,500百万円、営業利益3,600百万円)に対しては大きく上回って推移した。主力事業であるアパートメント販売の落ち込みが響いて減収減益となっているが、会社計画に対してはゼネコン事業がほぼ計画どおりの増収増益だったのを除いて、すべての事業セグメントで会社計画を上回った。また、営業利益に占めるアパートメント販売以外の比率も前年同期の60.7%から81.3%に上昇しており、アパートメント販売依存型の収益構造から脱却していることがうかがえる。
2. 2019年12月期業績見通し
2019年12月期の連結業績は、売上高で前期比19.2%減の90,000百万円、営業利益で同27.4%減の8,600百万円と期初計画を据え置いている。アパートメント販売については下期も上期並みの水準が続く見込みだが、ストックビジネスである不動産サービス事業やエネルギー事業が右肩上がりで成長するほか、ゼネコン事業も好調を持続する見込みであることから、会社計画を上回る可能性は高いと弊社では見ている。また、同社は2018年下期以降からアパートメント用地の仕入を抑制し在庫圧縮に取り組んできたが、2019年7月より用地仕入を再強化している。2020年12月期に販売件数を拡大していくためだが、仕入環境は2018年前半よりも大きく改善しているようで、アパートメント販売も2020年12月期には増収増益に転じる見通しだ。また、2019年7月にインドネシアで外資企業として初となる不動産ファンド運営ライセンスを取得したことを受け、今後、インドネシアで不動産ファンド事業を拡大していく方針を明らかにしている。既に、現地の不動産デベロッパー等からの多くの引き合いがきており、3年を目途に400~500億円規模のREITを組成し、インドネシア証券取引所への上場を目指している。一方、国内で計画しているREITに関しては、現在、認可に向けた準備を進めている段階にある。
3. ビジネストランスフォーメーションによる成長戦略
同社はアパートメント販売を主軸とした事業展開から、ストックビジネス(不動産サービス、エネルギー事業)やライフケア事業(旧介護事業)、国内外での不動産ファンド・REITビジネスなどを新たな成長エンジンとする戦略を打ち出している。アパートメント販売の利益構成比は20%程度とし、残り80%をストックビジネス等のその他の事業で安定的に稼いでいく収益構造に進化させていく方針だ。新たな取り組みとして不動産ファンド運用事業以外にも、不動産テック分野にも積極的に進出し、更なるグループシナジーを創出していく考えだ。不動産テックの取り組みとして、2019年7月の受注分よりすべてのアパートメントを「インテリジェントアパート」※仕様とし、他社との差別化を図っている。
※建物全体・全部屋にIoTセンサーを標準装備し、スマートロックや外出先からの家電・住設機器の遠隔操作等を入居者が「無料」で利用できるアパートメント。
■Key Points
・2019年12月期業績は期初計画を据え置くも、上振れする可能性は高い
・インドネシアで不動産ファンド運営ライセンスを取得、積極的に事業拡大を推進していく
・ビジネストランスフォーメーションの推進により、安定的に利益を創出する体質へ進化する
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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