【IRアナリストレポート】EMシステムズ(4820)

著者:鈴木 行生
投稿:2019/09/10 15:48

~薬局・クリニック(診療所)・介護施設を繋ぎ、EHR(医療情報連携)を推進~

【ポイント】
・完全ストック型課金モデルに、ビジネスモデルの転換を開始した。昨年11月にAIを取り込んだクラウド型の新共通情報システム基盤(MAPsシリーズ)を発表した。これは画期的である。ソフト中心で使い易く、これまでのような多くのサポートがいらない。医科向けに続き、薬局向けのシステムMAPs for PHARMACYも5月に発表した。しかし、まだ開発や手直しに取り組んでおり、本格販売は秋からになろう。

・MAPs for PHARMACYを導入すると、例えば、今まで5年間で400万円かかっていたハード・ソフトの費用が、ソフトの初期費用がなくなるので、既設のハードを使う場合は240万円で済む。現状のままとすれば、月々4万円の課金となる。初期売上160万円に含まれていた利益を失うが、そのためのサービス提供コストも削減される。一方、価格競争力は大幅に高まるので、業界シェアを32%から5年内に50%へ高める計画である。

・初期収入がなくなる分、2020年3月期の業績は大幅に落ち込む予定である。しかし、3年目からは完全ストック型の課金モデルが寄与してこよう。5年目には過去最高の業績が達成できよう。業績の大幅ダウンは、2008年にかつてのフロー型モデルから、一部ストック型モデルに転換した時に経験している。今回も成功する公算は高い。

・新中期5ヵ年計画では、調剤システムと医科システムの拡大に加えて、介護事業者向けシステム事業を第3の柱として推進していく。介護サービスでは、直近2件の事業・企業買収によって、システムを提供する施設数は業界6位の1.35万件へ、一気に10倍へ増やした。今後、クラウド型の課金型モデルで差異化は大きく進展しよう。

・今年10月より、グローリーと協業して開発した処方箋自動読み取り入力支援システムを販売する。MAPsなど自社システムに搭載するのはもちろんだが、他社システムでも使えるように外販する。業界初の画期的製品で、これも競争優位に大きく貢献しよう。

・5年後の2023年3月期で経常利益51億円を目指しているが、これは十分クリアすることができよう。株式市場での評価は、ネットワーク化の進展とストック効果による3部門の収益力向上とともに大幅に高まってこよう。

目 次
1.特色 薬局向け処方箋処理システム(レセコン)で業界トップ
2.強み 他社に真似のできない課金システムを確立
3.中期経営計画 完全ストック型ビジネスモデルへの転換を開始
4.当面の業績 戦略遂行で当面の減益は想定内
5.企業評価 業績浮上後は会社計画を上回るストック効果を期待

EMシステムズ <4820>
企業レーティング
株価
(2019年9月10日)
1907円
時価総額 701億円
(36.75百万株)
PBR 4.05倍
ROE 7.8%
PER 51.5倍
配当利回り 1.0%
総資産 21968百万円
純資産 16673百万円
自己資本比率 75.4%
BPS 470.6円
(百万円、円)
決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 EPS 配当
2009.3 8776 -1316 -1355 -1241 -39.1 3.25
2010.3 9818 -720 -493 -516 -16.3 3.25
2011.3 8202 86 318 1149 36.4 4.50
2012.3 9013 835 977 447 14.5 5.25
2013.3 10257 1209 1766 1076 35.1 7.50
2014.3 11369 1672 2284 1420 45.6 9.25
2015.3 11257 1232 1702 965 30.0 11.25
2016.3 13199 1861 2446 1621 46.7 11.75
2017.3 13676 2597 3163 2116 60.3 15.50
2018.3 13953 3063 3618 2369 66.7 18.50
2019.3 13133 2622 3248 1971 55.7 19.00
2020.3(予) 13200 1370 1980 1300 37.0 19.00
2021.3(予) 14800 2000 2600 1700 48.4 19.00

(2019.6ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2016年4月1日に1:2、2018年3月1日に1:2の株式分割を実施。それ以前のEPS、配当は修正ベース。
 
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。

レポート全文はこちらから
http://www.belletk.com/emsisutemuzu201909.pdf
 

日本ベル投資研究所の過去レポートはこちらから

配信元: みんかぶ株式コラム

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