「レンジ上限」を巡る攻防戦・Part2…!?

著者:武市佳史
投稿:2019/09/09 11:00

◆レンジ突破ならず - ただし崩れもせず

※ご注意:予想期間は9月10日と表示されていますが、本日(9月9日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


注目の米雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)が“予想を下回り(+13.0万人)”ました。
しかし平均時給(+3.2%)/労働参加率(63.2%)は“予想を上回り”、失業率も“横ばい(3.7%)”となるなど、そう悪い数値ではありませんでした。
ファーストアクションこそ“ドル売り”となったものの、下値は限定されています。

一方でパウエルFRB議長講演(パネルディスカッション)では、『米経済は非常に良好』『米景気後退は予想せず』が示されました。
それでいて『FOMCは適切に行動する』と示されたことで、“米金利先安観”が剥落することもありませんでした。
しかし「大幅利下げ/連続利下げ」が示唆されることはなく、“インパクト”に欠けた印象があるのは否めないところです。
一応“ドル買い”では反応しているものの、上値も限定され続けているのが実状といえます。

◆“決め手を欠く”を踏まえれば、本日も“膠着”だが…?

こうして先週末には「8/1以降のレンジ(105-107円)」を明確に“越え切る”ことはできず、しかし“崩れる”こともありませんでした。
このため「同レンジ突破を巡る攻防戦」が引き続きポイントとなる可能性は高く、この成り行きが注目されるところです。

テクニカル的に見ると、先週末は“50日移動平均線(本日は107.143円)”に届かず、しかし“9/3~9/5の38.2%押し(106.657円)”では下げ止まった格好となっています。
それでいてその外側には、それらを守るかように“同50%押し(106.483円)/9/5高値(107.224円)”が控えています。

「レンジ突破の明確な突破」に失敗し、それでいて“(上下双方に)決め手を欠く”という状況を踏まえれば、本日は「神経質な揺れ動き(膠着)」と見るのが基本ということになります。
しかし深化こそしなかったものの、“米金利先安観”は継続しています。
それでいて“リスク回避姿勢”は、緩やかに後退を続けているように見えます。
少なくとも「レンジ突破を巡る攻防戦」は続いているという状況に関しては、頭の片隅に残しておきたいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:107.454(8/1~8/26の61.8%戻し)
上値4:107.348(ピボット2ndレジスタンス)
上値3:107.224(9/5高値、+2σ)
上値2:107.100(9/6高値、50日移動平均線、ピボット1stレジスタンス)
上値1:107.000(大台)
前営業日終値:106.887(週足・一目均衡表転換線)
下値1:106.732(+1σ)
下値2:106.622(9/6安値、9/3~9/5の38.2%押し水準、ピボット1stサポート)
下値3:106.483(9/3~9/5の50%押し、日足・一目均衡表転換線)
下値4:106.324(9/5安値、20日移動平均線、9/3~9/5の61.8%押し、ピボット2ndサポート)
下値5:106.162(8/26~9/5の38.2%押し、ピボットローブレイクアウト)
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想