米小売売上高が予想上回りドル円は108円台前半に買い戻し=NY為替前半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2019/07/17 02:52
 きょうのNY為替市場でドル円は108円台前半に買い戻されている。朝方発表された6月の米小売売上高が予想を上回る強い内容となったことからドル買いが優勢となりドル円を押し上げている。

 この日の米小売売上高や先日の米雇用統計、消費者物価指数(CPI)など相次いで強い指標の発表が続いている。先週のパウエルFRB議長の議会証言では、「貿易問題が見通しに不透明感を与えており、強い米雇用統計でもFRBの見通しに変化を与えなかった」と述べていた。指標に伴った利下げというよりも、予防的な利下げの意味合いを強調していた感もあり、今回の強い米小売売上高をもってしても、今月末のFOMCでの利下げ期待に変化はない。ただ、一部で出ていた0.5%の大幅利下げ期待は少なくとも後退させているものと思われる。

 ドル円は21日線を再び回復しており、リバウンド相場の流れにかろうじて踏み留まっている。午後に入ってパウエルFRB議長の講演が伝わっていたが、「不確実性高まりFRBは適切に行動」と述べていた。この発言を受けて、ドル売りの反応が見られたが、基本的には先日の議会証言と同様の内容。

 ユーロドルはロンドン時間から軟調な動きが続き、1.12ドル台前半に下落。前日は一時1.12ドル台後半まで上昇したものの上値を抑えられていた。再度試す動きも見られないことからショート勢が再び勢いづいているようだ。この日発表になったドイツのZEW景況感指標が弱い内容となったこともきっかけとなった模様。

 ECBの新たな追加緩和策への期待が高まる中、次期ECB総裁に内定しているラガルドIMF専務理事も緩和を好むと見られており、ユーロは再び上値を重くしているようだ。

 目先は1.12ドルちょうどと1.1180ドルが下値サポートとして意識される。

 きょうもポンドの売りが目立っており、ポンドドルは1.24ドルを割り込む場面が見られた。2017年4月以来の安値を更新しており、ポンド円もロンドン時間に133円台まで下落する場面が見られた。きょうは英雇用統計が発表になっていたが、ILO失業率は5月までの3ヵ月平均で3.8%と前回と変わらずの低水準となっているものの、雇用者数は予想ほどは伸びなかった。平均賃金は賞与を除いたベースで予想以上に上昇していたものの、ポジティブな反応は見せていない。

 英経済のファンダメンタルズに関しては先日のカーニー英中銀総裁の講演以来、雰囲気が一変しており、市場には利下げ期待も出始めている。加えて、前日は英サン紙が英保守党党首選候補のジョンソン氏とハント氏の英EU離脱に関する議論を伝えていたが、両候補とも合意無き離脱の可能性は残している。EU離脱に関する懸念の根強さが引き続きポンドを売り易くしているようだ。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

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