「上値が重い」ばかりが囃されるならば…!?

著者:武市佳史
投稿:2019/07/16 10:45

◆「方向感が定まらない」は継続中

※ご注意:予想期間は7月17日と表示されていますが、本日(7月16日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


「方向感が定まらない」が続いています。

昨日発表された中国GDPは、“1992年の統計開始来最低(+6.2%)”を記録しました。
しかし“事前予想通り”かつ“鉱工業生産(+6.3%)/小売売上高(+9.8%)が上回った”ことから、“ネガティブ(リスク回避姿勢)”な反応は限定されました。

一方“株高(リスク選好姿勢)”は維持されているものの、“米利下げ観測”が重石となり続けています。
このため米10年国債利回りの上昇は“2.14%台”で止められ、再び“2.08%台”に押し戻されています。
こうして“108円ライン”を挟んで膠着しているドル円は、「動くに動けない」といった様相を見せています。

◆「上昇圧力の抑制」ばかりに目が往きがちだが…?

“米利下げ観測”がありますので、ドル円&米10年国債利回り共に「上昇圧力の抑制(上値が重い)」ばかりに目が往きがちです。
しかし特に米10年国債利回りに関しては、“2016年11月来の水準(1.93%台)”に低下した3日を境に「低下圧力も一服(底堅い)」というのが顕著です。
それでいて「上昇圧力の抑制(上値が重い)」ばかりが囃されているのは、これはもう「イメージは下方向に向いているだけ」以外の何物でもありません。

◆ここからさらに織り込むかは“微妙”…? - 米7月利下げの“幅”

「米7月利下げの幅」を占う上で、本日は米小売売上高/鉱工業生産そしてパウエルFRB議長講演辺りが注目されると見ますが、金利先物ではすでに“25bp利下げ:70.3%、50bp利下げ:29.7%(本稿執筆時)”を織り込んでいます。
ここから「さらに織り込みにかかるか?」に関しては“微妙”といわざるを得ず、それでいて「イメージは下方向」を背景に“上値は重い”と来ています。
こういう時に警戒しておかなければならないのは、実は「思惑とは逆(上)方向」…?

「株価動向/米国債利回り動向を睨みながら…」は続き、「イメージは下方向」も変わっていませんが、引き続き「悲観する必要なし」と見たいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:108.533(7/10~7/15の61.8%戻し、+1σ)
上値4:108.392(7/10~7/15の50%戻し、日足・一目均衡表転換線、ピボットハイブレイクアウト)
上値3:108.252(7/10~7/15の38.2%戻し、ピボット2ndレジスタンス)
上値2:108.110(7/15高値、ピボット1stレジスタンス)
上値1:107.970(20日移動平均線、大台)
前営業日終値:107.895(日足・一目均衡表基準線)
下値1:107.778(7/5安値、7/15安値、ピボット1stサポート)
下値2:107.708(7/4安値)
下値3:107.620(6/25~7/10の61.8%押し、ピボット2ndサポート)
下値4:107.531(7/3安値、-1σ)
下値5:107.445(ピボットローブレイクアウト)

11:02 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想