少なくとも“下値追い”は緩んだ…!?

著者:武市佳史
投稿:2019/07/12 10:27

◆107円台突入も、「仕切り直し」…

※ご注意:予想期間は7月13日と表示されていますが、本日(7月12日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


前日の流れそのままに“107.857円”へと下落したドル円でしたが、やはり「仕切り直し」でした。
欧州タイムには“108円台”を回復し、そしてNYタイム中盤には“108.531円”へと値を戻す「往って来い」を演じています。
この背景にあるのは、前日に復活した“大幅利下げ観測”が後退したことと、そして株高に伴う“リスク選好姿勢”があります。

◆“大幅利下げ観測後退/リスク選好姿勢”がサポート

昨日発表された米CPIは、食品・エネルギーを除くコアが事前予想を上回り(+0.3%)ました。
これは“2018年1月以来”の数値であり、「50bp利下げの正当性」を謳うには“少々微妙”といわざるを得ません。
こうして米10年国債利回りは“心理的節目(2.10%)”を突破、米30年債入札の不調に引っ張られる格好で“2.14%台”へと水準を切り上げました。

一方、後退したのは“大幅利下げ観測”であり、パウエル議会証言で台頭した“米利下げ観測”そのものではありません。
このため“株高”は健在であり、史上最高値を更新したNYダウに引っ張られる格好で“リスク選好姿勢”も鮮明となっています。
“大幅利下げ観測”の後退、“リスク選好姿勢”…、ドル円をサポートするには十分な要因といえます。

◆まだ材料は足りないが…?

もちろん“上値が重い”を払拭するには、「まだ材料が足りない」と考えるのが自然です。
「50bp利下げ」は後退しましたが、まだ「年内利下げの回数」は定まっていないと考えるのが自然だからです。
しかし少なくとも“下値追い”は緩んだ…?

「株価動向/米国債利回り動向を睨みながら…」は続き、「イメージは下方向」も変わっていませんが、「悲観する必要なし」と見たいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:109.097(+2σ)
上値4:108.988(7/10高値、大台、ピボット2ndレジスタンス)
上値3:108.802(50日移動平均線し)
上値2:108.722(週足・一目均衡表転換線、7/10~7/11の76.4%戻し、ピボット1stレジスタンス)
上値1:108.556(7/10~7/11の61.8%戻し、7/11高値、+1σ)
前営業日終値:108.488
下値1:108.319(7/11安値後の38.2%押し)
下値2:108.259(日足・一目均衡表転換線、7/11安値後の50%押し)
下値3:108.143(7/11安値後の61.8%押し)
下値4:108.050(20日移動平均線、大台、ピボット1stサポート)
下値5:107.857(7/11安値、6/25~7/10の50%押し水準、日足・一目均衡表基準線)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔一週間の為替市場を分析!マーケット・チェックWebセミナー〕にて公開中。

11:16 ドル円 抵抗・支持ライン追加
15:22 誤字修正
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想