KADOKAWA Research Memo(2):出版、映像・ゲーム、Webサービスが主軸の総合メディア企業(1)

配信元:フィスコ
投稿:2019/07/05 15:32
■事業概要

KADOKAWA<9468>は出版事業を展開するKADOKAWAと日本最大級の動画サービス「niconico」を運営するドワンゴが2014年10月に経営統合して設立した持株会社となる。事業セグメントは、出版事業、映像・ゲーム事業、Webサービス事業の3つの事業セグメントと、グッズ販売や教育関連事業、インバウンド事業などが含まれるその他事業に区分されている。

2019年3月期のセグメント別売上構成比を見ると、出版事業が54.6%と過半を占めており、次いで映像・ゲーム事業が22.8%、Webサービス事業が12.2%、その他事業が10.4%となっている。また、営業利益についてはWebサービス事業とその他事業の赤字分を出版事業と映像・ゲーム事業でカバーする格好となっている。現在は出版事業が主力事業となっているが、今後は自社IPによるメディアミックス戦略により映像・ゲーム事業のトップラインを伸長させ、収益性向上を図っていくほか、Webサービス事業についても主力サービスとなる「niconico」の収益回復施策に取り組み2020年3月期には黒字化を見込んでいる。

1. 出版事業
KADOKAWAの主力事業で、紙媒体の単行本、文庫、ライトノベル、コミックスなどの書籍や、電子書籍・雑誌の出版・販売等を行う。加えて、「ザテレビジョン」、「Walkerシリーズ」、「ファミ通」、「レタスクラブ」などの雑誌やムック誌のほか、カスタムメディア及びWeb広告の販売などを手掛けている。

紙媒体の書籍販売はメディアミックスによる作品展開を強みとしており、ライトノベルでは業界トップの地位を確立している。ヒット作品創出のため、年間5千点規模の新刊を継続的に発行している。長年にわたるマーケティング実績とデジタル技術の活用により製作・出荷の適正化に取り組んでおり、2019年3月期の書籍返品率は30%台前半と業界平均(30%台後半)を下回る水準となっている。

一方、電子書籍では直営の電子書籍配信プラットフォーム「BOOK☆WALKER」にて自社、他社の作品を販売しているほか、Amazonや楽天など他社の電子書籍ストアでの外販を行っている。また、電子雑誌ではNTTドコモ<9437>と協業し、雑誌読み放題サービス「dマガジン」を展開している。ドワンゴが運営していた「ニコニコ漫画」「ニコニコ書籍」「読書メーター」は、「BOOK☆WALKER」を運営する(株)ブックウォーカーの下に一体化され、グループ全体による電子書籍・電子雑誌事業の強化が図られている。

なお、雑誌・ムック誌に関しては、デジタル化の進展に伴って収益源となる紙媒体の広告収入が減少傾向にあり、厳しい収益状況となっている。このため、合理化を行うと同時に紙媒体からデジタルメディアへの移行に積極的に取り組んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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配信元: フィスコ

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