■中長期の成長戦略
1. リンクアップの株式譲渡
フォーバル<8275>は、2019年4月に連結子会社であるリンクアップの同社が保有する株式17,600株(議決権の68.5%相当)をリンクアップ及びリンクアップの代表取締役西元孝氏の設立したOBNに譲渡した。この譲渡によりリンクアップは同社の連結から除外され、報告セグメントである「モバイルショップビジネスグループ」がなくなる。
2007年7月にリンクアップの第三者割当増資を引き受けた当時の狙いは、店舗展開のノウハウの獲得やモバイル端末に関連する法人向け事業展開のスピードアップなどのシナジー効果だった。その後、リンクアップの業績は順調に改善し配当金を継続して出すまでに成長。一方で、リンクアップの事業がコンシューマー事業中心であること(同社は法人中心)、店舗が北海道に限定されること(同社は全国)など本来の目的であったシナジー効果は限定的となっていた。モバイル業界の激しい環境変化のなかで、代表取締役の西元氏が筆頭株主になることで経営の改善を求めたいというリンクアップの要請もあった模様だ。
業績へのインパクトは売上高では大きく(前期の売上高11,631百万円)、営業利益としては軽微(前期のセグメント利益67百万円)である。むしろ株式譲渡は、全体の営業利益率を上げる効果がある。
2. 事業承継の取り組み加速
全国300万社を超える中小企業においては、事業承継問題が大きな問題となっている。2018年「休廃業・解散企業動向調査」((株)東京商工リサーチ)によると、2018年の休廃業・解散件数は46,724件であり前年から14.2%増えた。休廃業・解散企業の経営者の83.7%は60代以上となっており、事業承継の遅れがその主な要因になっている。中小企業の休廃業が相次げば、2025年頃までに約650万人の雇用と約22兆円分のGDPが失われる可能性があると指摘されている(経済産業省、2017年10月公開)。後継者の不在率がより高く、事業承継問題がより深刻なのは、規模が小さい企業であり、同社のアイコンサービスの対象企業とも重なる。
同社は、1年半前から事業承継に取り組むチームを設立し、事業承継に関する専門性を磨いてきた。同社のスタンスは、あくまでアイコンサービスの一環としてのアドバイスを行うというものである。同族での後継者探しから始まり、従業員にその対象を広げ、最後に第三者承継(M&Aを含む)というステップである。1年半の取り組みの中でノウハウや実績が蓄積しており、現在では月に30件程度の相談が寄せられるようになった。同社HPでも「M&A譲渡(売り)案件情報」および「M&A譲受(買い)案件情報」がノンネームで開示されており、そのニーズの大きさを知ることができる。事業承継支援は、今期から5大コンサルティング分野の1つに昇格し、本格的に展開される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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1. リンクアップの株式譲渡
フォーバル<8275>は、2019年4月に連結子会社であるリンクアップの同社が保有する株式17,600株(議決権の68.5%相当)をリンクアップ及びリンクアップの代表取締役西元孝氏の設立したOBNに譲渡した。この譲渡によりリンクアップは同社の連結から除外され、報告セグメントである「モバイルショップビジネスグループ」がなくなる。
2007年7月にリンクアップの第三者割当増資を引き受けた当時の狙いは、店舗展開のノウハウの獲得やモバイル端末に関連する法人向け事業展開のスピードアップなどのシナジー効果だった。その後、リンクアップの業績は順調に改善し配当金を継続して出すまでに成長。一方で、リンクアップの事業がコンシューマー事業中心であること(同社は法人中心)、店舗が北海道に限定されること(同社は全国)など本来の目的であったシナジー効果は限定的となっていた。モバイル業界の激しい環境変化のなかで、代表取締役の西元氏が筆頭株主になることで経営の改善を求めたいというリンクアップの要請もあった模様だ。
業績へのインパクトは売上高では大きく(前期の売上高11,631百万円)、営業利益としては軽微(前期のセグメント利益67百万円)である。むしろ株式譲渡は、全体の営業利益率を上げる効果がある。
2. 事業承継の取り組み加速
全国300万社を超える中小企業においては、事業承継問題が大きな問題となっている。2018年「休廃業・解散企業動向調査」((株)東京商工リサーチ)によると、2018年の休廃業・解散件数は46,724件であり前年から14.2%増えた。休廃業・解散企業の経営者の83.7%は60代以上となっており、事業承継の遅れがその主な要因になっている。中小企業の休廃業が相次げば、2025年頃までに約650万人の雇用と約22兆円分のGDPが失われる可能性があると指摘されている(経済産業省、2017年10月公開)。後継者の不在率がより高く、事業承継問題がより深刻なのは、規模が小さい企業であり、同社のアイコンサービスの対象企業とも重なる。
同社は、1年半前から事業承継に取り組むチームを設立し、事業承継に関する専門性を磨いてきた。同社のスタンスは、あくまでアイコンサービスの一環としてのアドバイスを行うというものである。同族での後継者探しから始まり、従業員にその対象を広げ、最後に第三者承継(M&Aを含む)というステップである。1年半の取り組みの中でノウハウや実績が蓄積しており、現在では月に30件程度の相談が寄せられるようになった。同社HPでも「M&A譲渡(売り)案件情報」および「M&A譲受(買い)案件情報」がノンネームで開示されており、そのニーズの大きさを知ることができる。事業承継支援は、今期から5大コンサルティング分野の1つに昇格し、本格的に展開される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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