ブラード発言でドル円は107円台に戻す 7月の0.5%利下げ期待は後退=NY為替概況

著者:MINKABU PRESS
投稿:2019/06/26 06:00
 きょうのNY為替市場、ドル円は107円台に戻した。序盤はこの日発表の米新築住宅販売や米消費者信頼感指数が予想を大きく下回る弱い内容となったことからドル売りが強まり、ドル円は再び106円台に下落していた。米早期利下げ期待が極度に強まる中、米10年債は再び心理的節目の2%を下回って来ていることもドル円を圧迫。

 しかし、先日のFOMCで利下げ主張するなどハト派の急先鋒となっているブラード・セントルイス連銀総裁が「7月の0.5%の利下げ期待は行き過ぎ」と述べたことをきっかけにドルが急速に買い戻されている。ドル円も106円台から107.40円付近まで買い戻される場面も見られた。

 ただ、その後のパウエルFRB議長の講演が、先日のFOMCの内容を再表明していたことや、インフレ基調の低下が緩和への議論になっていると述べたこともあり、ドルは再び売りが優勢となっており、ドル円の上値は依然として重い。

 なお、大阪G20サミットでの米中首脳会談では、さほど進展がないのではとの見方も出ている。一部報道で米政府は米中首脳会談への期待のトーンを少し落としたがっていると伝わっていた。更に当局者の話として、「米国は中国からのいかなる関税条件も受け入れない。米国のG20での目標は中国との貿易協議再開」とも伝わっていた。

 大阪G20サミットでの米中首脳会談では大きな進展は期待しにくいのかもしれない。ただ、その点は市場もある程度織り込んでいる節もある。

 なかなか底が見えづらい中でドル円は下値模索を続けている状況。200日線からの下方乖離は3%を超えて来ており、ショートカバーが入りやすい水準には来ているものの、依然として下値志向を強めている。週内に105円を視野に入れる動きも警戒される展開となってきた。

 ユーロドルは1.14ドル台を回復する動きが出ていたものの、1.13ドル台に押し戻されている。FRBのほかにECBの追加緩和期待も同時に高まっており、ユーロ自体を積極的に買う動きまではまだ出ていない。ECBの追加緩和に関しては現在マイナス金利を実施している預金金利の引き下げや国債の追加購入などが考えられている。ただ、一部からは利下げは実施する可能性はあるものの、国債購入までは着手して来ないとの見方もある。今回は償還国債の再投資に留まるという。

 ポンドドルはNY時間に入って戻り売りに押され、1.26ドル台に下落。ロンドン時間には1.27ドル台後半まで上昇していたものの上値は重い。ポンドは対ドルでは買い戻しの流れが見られているものの、対ユーロや円では下落が続いており、決して力強い動きは見られていない。保守党・党首選でジョンソン氏とハント氏の一騎打ちが繰り広げられる中、離脱強硬派のジョンション氏が有力とも見られており、市場は合意無き離脱のリスクを高めている。それがポンドを圧迫し続けているようだ。

 きょうはジョンソン氏のラジオでのインタビューが伝わっており、「現在のEUとの合意は基本的には死んでいる。もし、EUが英国に対する関税導入を決定したならば、突拍子もないことになるだろう」と述べていた。このインタビューで市場は合意無き離脱のリスクを更に高めていたようだ。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。

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