ダイナムジャパンHD Research Memo(9):航空機リース事業は2020年3月期から本格的にスタート

配信元:フィスコ
投稿:2019/06/25 15:39
■中長期成長戦略と進捗動向

6. 新規事業の動向
(1) 航空機リース事業
ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>は2018年秋に新規事業として航空機リース事業に参入することを公表した。その詳細は2018年12月25日付レポートに詳しい。以下では事業計画の概要とその後の進捗について述べる。

航空機リース事業には同社が全額出資子会社を設立して参入する。組合を設立して他の投資家を募ることはせず、リース子会社が単独事業として行う。リースを行う航空機は“ナローモデル”と呼ばれる市場流通性の高い中型機で、ボーイングの737型シリーズ、エアバスのA319・A320・321型が該当する。同社はこれらの型式の中古機を、今後3年間で20機ほど購入し、世界の航空会社にリースをしていく計画だ。

これまでの進捗としては、2018年12月に同社の全額出資でDynam Aviation Ireland Limited(DAIL)をアイルランドに設立した(資本金1億円相当、3月決算)。2020年3月期からの3年間で20機の航空機の購入を計画しており、それにかかる投資額を総額900億円(年平均300億円)と見込んでいる。2020年3月期は300億円を投じて6~7機の航空機を購入する計画だ。初年度投資資金300億円の内訳は手元資金100億円、外部調達200億円という構成となるが、手元資金の100億円については既に拠出を完了している。今後は初号機の購入、リース契約の締結へと進むことになる。リース事業の損益は最終的にリース契約が終了するまで確定しない(リース期間については7年を想定)。その間、リース料が入ることになるが、2020年3月期については航空機の機体が少ないこともあり、業績に与える影響は限定的と考えられる。

(2)カジノ用ビデオスロット機の開発
同社はマカオのカジノ市場において、マスマーケット向けのビデオスロット機を投入することを目的に、企画・開発を進めてきた。これは時間消費型ゲームで、パチンコの要素を取り入れたわかりやすいゲームというのが開発コンセプトとなっている。同社はこのビデオスロット機について、マカオにおけるカジノ機の製造販売のライセンスを有するシンガポールのWEIKE GAMING TECHNOLOGY(S)PTE. LTD.(以下、「WEIKE」)と共同で開発を進めてきた。※2

※2 同社とWEIKEは2019年5月3日付で最終的にマカオ政府機関から認可を取得した。


今後はこのビデオスロット機の製造・販売へと移行することになるが、両社の役割分担については、ゲーミングソフトウェアの企画及び開発を同社が担当し、ハードウェアの開発や当該ゲーミングソフトウェアの実装、機器の販売をWEIKEが担当することになる。

カジノ用ビデオスロット機からの収益貢献も現時点では不明であるが、当面、収益インパクトは限定的とみられる。マカオは2006年に米国ネバダ州(ラスベガス)抜いて以来、世界最大のカジノ市場としての地位にある。その内訳として、ゲーミングによる売上高が90%超を占めており、世界2位の米国ネバダ州(ラスベガス)では売上高の60%近くをノンゲーミングの売上高が占めていることと、好対照を成している。名実ともに世界最大のカジノ市場での事業展開ではあるが、“時間消費型”や“パチンコの要素”といったコンセプトがどのように受け入れられるか、現時点での予測は難しい。今後の進展を見守りたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

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