米中摩擦に悲観と楽観が交錯=外為どっとコム総研 神田卓也

著者:神田卓也
投稿:2019/05/13 08:49

米中摩擦に悲観と楽観が交錯

10日のドル/円は、米中貿易摩擦問題を巡り悲観と楽観が交錯する中、一進一退の展開。トランプ米大統領が「残り3250億ドル(の中国製品)に対する追加関税の準備を始めた」などとツイートした事でリスク回避の円買いが優勢となり109.40円台まで下落した。しかし、米中閣僚級通商協議が終了すると米国株に買い戻しが入り、ドル/円も東京タイムの高値に迫る110.00円台へと反発。米中協議は事実上「進展なし」に終わったが、両国が協議継続の方針では一致した事もあって、市場はひとまず「材料出尽くし」と判断した模様。もっとも、劉中国副首相は協議後のインタビューで、米国が2000億ドル相当の中国製品に対する関税を25%に引き上げた事に対して「必ず報復する」と述べており、貿易戦争がさらにエスカレートするリスクもくすぶっている。本日のドル/円相場は、中国による報復への警戒感から上値の重い展開が見込まれる。109.40円台のサポートを維持できるかが目先の相場展開のカギとなりそうだ。
神田卓也
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長
配信元: 達人の予想