表面化していない材料があるうちは、戻り待ちの売りスタンス

著者:平野朋之
投稿:2019/04/08 11:34

112円レベルの上値が重い・・・

■先週は週末の雇用統計が予想を上回ったことでドルの底堅さがみられました。

しかし、景気減速懸念を完全に払拭するには更なる材料が必要というとう展開です。


注目されていた平均時給も小幅な伸びにとどまったことで、全体的なイメージとしてはスクエアといったところです。

しかし111円台はキープできたことは買い方にとっては追い風の印象でした。



■ドル円の日足を見れば重要視されていた移動平均200日線を引値ベースで越えたことで買い方にとっては安心感で今週を迎えることになります。


目先の抵抗になるであろう3月5日の高値112.13円がターゲットになりやすいとみています。


そんなドル円のテクニカルは良好になってきているのでテクニカルトレーダーは押し目を探る展開が考えられます。



しかし、完全に買い傾くとは想定していません。

それはやはり「日米通商交渉」次第ではこのドル円も一気に奈落のそこに叩き落される可能性があるからです。


もともとトランプ政権の軸は「米国ファースト」であり、これまでの動きを見れば米国が有利にならなければ取引を行わないといったことを何度も見てきました。



再開された米中通商協議もこれだけ長い時間をかけているのもやはり妥協点が見出せないからで、

最終的には合意に至るとみていますが、その内容を本当に中国が履行できるのか・・?

という不安も現実的にはあります。


■そんな中で再開される日米通商協議は、それなりな覚悟が必要だとみています。

少なくてもこのドル円の状況や日銀のスタンスをみれば必ず米国は日本の金融スタンスは「作為的」と
いってくるに違いないとみています。

つまりは円安誘導で利益を出していることを批判し、結果的には昔のプラザ合意のようなことを突きつけてくる可能性も否定できません。


また、米国の巨大な貿易赤字は「為替」と日銀スタンスの仕業と難癖をつけ、更には自動車に関して大きな関税をかけ
日米摩擦まで匂わせてくる可能性もゼロではありません。


トランプ大統領と安倍総理を見れば友好関係は良好のように見えますが、

今回の日米通商協議だけはそれなりな条件を突きつけてくる可能性は残っています。




■それが故にドル円のテクニカルでは見えないファンダメンタルが潜在的にあるので、

一気に買い進められない理由なのではないかとみています。



■最後にドル円のテクニカルです。

スタンスとしてはここから112円レベルでの売り待ちを想定しています。


更に200日移動平均線が下値抵抗になりそうなので、下回れば追撃の売りも想定しています。


引き続きよろしくお願いいたします。

平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想