弱い鉱工業生産きっかけにドルは利益確定売り ドル円は底堅さは堅持=NY為替前半
きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となっている。朝方発表になった鉱工業生産指数が弱い内容となったことで、ドルは利益確定売りが優勢となっている模様。ドル円は110.50円付近で推移。前日は小売売上高を受けての調整の動きが強まったが、その流れがきょうも続き東京時間には110円台前半まで下落していた。しかし、NY時間にかけて買い戻しも入り110円台半ばまで戻している。
北京で開催されていた米中貿易協議は結局、合意には至らず、来週、ワシントンで再び協議を続けるとしている。しかし、主要な点について原則コンセンサスに達したと中国側から伝わっており、市場は進展への期待を高めているようだ。
米株式市場でダウ平均は大幅高となっているが、ドル円は上値追いの動きまでは見られていない。買い戻しが入っている程度。前日の小売売上高を受けての急速な調整が上値を慎重にさせている模様。週末で米国は3連休を控える中、きょうは様子見の雰囲気も強い。
200日線が111.30円付近に来ており、目先の上値目標として意識される。過熱感を示すテクニカル指標のRSIは50台で推移しており過熱感はない。調整が一巡すれば、再び試しそうな気配はなお残っている。
なお、トランプ大統領が非常事態宣言の発令に署名すると述べた。大統領は234マイル(約376キロ)の壁を求めているという。きょうのところは市場の反応は限定的。民主党からは法的措置が出る可能性は高いが、市場は様子見といったところのようだ。
ユーロドルは買い戻しが強まっており、1.1290ドル近辺まで戻している。ただ、一時1.1235ドル近辺まで下落するなどユーロの上値は依然として重い印象。前日は弱い米小売売上高で買い戻しが強まり1.13ドルを回復していたものの上値を抑えられた格好。
ユーロ圏経済への先行き不透明感が強まっており、ECBの利上げ期待が後退している。そのような中、きょうはクーレECB専務理事の発言が伝わり、新たな条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)について、ECB内で議論されていることを明らかにした。クーレ理事は「新たなTLTRO導入の議論が市場で広がっていることは認識しており、それはあり得る」と述べていた。来週はドイツの企業景況感指標が発表されるが、弱い内容であれば、ECBの刺激策への期待はさらに高まりそうだ。
11月の安値が1.1215ドル付近にあるが、来週以降、試しそうな気配は残る。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。
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