■業績動向と今後の見通し
1. 2019年3月期第2四半期決算
ムサシ<7521>の2019年3月期第2四半期決算は、売上高17,611百万円(前年同期比9.2%増)、営業損失69百万円(前年同期は92百万円の損失)で着地した。期初予想との比較では、売上高は1,533百万円、営業利益は370百万円、それぞれ未達となった。
同社は第2四半期決算の発表に先立つ2018年10月30日、第2四半期及び通期の業績予想の下方修正を発表した。
連結及び単独ベースのセグメント別・事業部門別の詳細内訳を見ると、連結売上高は期初予想に対して1,533百万円の未達となった。セグメント別内訳としては、情報・印刷・産業システム機材セグメントの売上高は10,001百万円で期初予想に対して11.8%(1,332百万円)の未達となった。単独売上高の事業部門別内訳を見ると、印刷システム機材事業の不振が特に大きく影響したことが読み取れる。
印刷システム機材事業では、従来から続く印刷不況の影響で2019年3月期第2四半期も印刷機器及び印刷材料(消耗品)が前年同期比減収となった。レーザー加工機など後工程分野の機器の販売は堅調とみられるが売上構成比はまだ小さく、印刷機器及び印刷材料の減収を補うには至らなかった。
情報・印刷・産業システム機材セグメントの中には同社が選挙システム機材に次ぐ収益の柱と期待するメディアコンバート(文書デジタル化)事業が含まれている。2019年3月期第2四半期のメディアコンバート事業の売上高は1,384百万円で前年同期比8.0%(120百万円)の減収となった。期初予想は開示されていないが、社内計画に対してはやはり未達だったとみられる。売上が伸び悩んだ要因は採算重視の受注姿勢を徹底した結果で、利益面では着実に黒字を維持しているもようだ。
金融汎用・選挙システム機材セグメントの売上高は2,630百万円で期初予想比6.5%(161百万円)の上振れとなった。単独売上高の内訳を見ると、選挙システム機材事業の売上高が期初予想を25.8%(292百万円)上回ったことが寄与したことがわかる。前年同期は2017年10月実施の衆院選関連の売上が一部入っていたこともあり、2019年3月期第2四半期はその反動減による大幅減収を予想していた。しかしながら、地方選挙で着実に販売を伸長させ、予想を大きく上回って着地した。
紙・紙加工品セグメントの売上高は4,863百万円と期初予想を7.0%(365百万円)下回った。2017年9月に子会社化したエム・ビー・エス(株)のフル寄与により前年同期比では増収を確保したものの、印刷用紙の需要減少の影響を受けた。
利益面では、営業利益が期初予想に対して370百万円下回った。前述したように、選挙システム機材を除く各商品の売上高が低調に推移したことで、収益性が低下し、営業損失となった。なかでも影響が大きかった印刷システム機材事業では、印刷材料が数量、単価ともに低下し、また高額商材である印刷機器の販売台数が減少したことで固定費負担が重くなり、収益性が大きく悪化したとみられる。
第2四半期までの進捗を踏まえて通期予想も下方修正した。下期だけを取り出せば、利益面ではほぼ期初予想が維持されている。
2. 2019年3月期通期見通し
2019年3月期通期について同社は、売上高37,423百万円(前期比0.3%増)、営業利益388百万円(同59.6%減)と微増収ながら大幅減益を予想している。
前述のように、同社は2019年3月期第2四半期決算に際して、第2四半期までの進捗状況を踏まえて通期予想も下方修正を行った。通期ベースの売上高は期初予想から1,903百万円引き下げられたがそのうち1,533百万円は上期(第2四半期)の修正分であり、下期の修正額は370百万円となっている。同様に営業利益の下期の下方修正幅は13百万円で、利益については期初予想からほぼ変化はない状況にある。
2019年3月期通期の売上高予想のセグメント別内訳を見ると、金融汎用・選挙システム機材セグメントでの1,654百万円の減収を、紙・紙加工品と情報・印刷・産業システム機材セグメントの増収で補う構図となっている。金融汎用・選挙システム機材セグメントの減収は、選挙システム機材事業が1,917百万円の大幅減収になることが要因だ。その理由は、2017年10月に実施された衆院選からの需要の反動減による。
一方、紙・紙加工品セグメントの増収は、前述のようにエム・ビー・エスの通期寄与による増収がその理由だ。また、情報・印刷・産業システム機材セグメントは、通期ベースではメディアコンバート事業を含む情報・産業システム機材がけん引役となって前期比増収を確保する計画となっている。
利益面では、前述のように、2019年3月期下期については期初予想からほとんど変更はない、今下期の営業利益は457百万円(前年同期比56.6%減)の予想となっているが、この減益要因のほとんどは選挙システム機材事業の減収によるものだ。
選挙システム機材事業については、今下期も上期同様、社内計画を上回ることは十分可能性がある。しかし一方で、印刷システム機材事業が下期も期初計画に対して弱含みで推移する可能性があり、この点については慎重に業績に織り込んだとみられる。その結果、下期の営業利益予想を期初予想から13百万円引き下げたと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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1. 2019年3月期第2四半期決算
ムサシ<7521>の2019年3月期第2四半期決算は、売上高17,611百万円(前年同期比9.2%増)、営業損失69百万円(前年同期は92百万円の損失)で着地した。期初予想との比較では、売上高は1,533百万円、営業利益は370百万円、それぞれ未達となった。
同社は第2四半期決算の発表に先立つ2018年10月30日、第2四半期及び通期の業績予想の下方修正を発表した。
連結及び単独ベースのセグメント別・事業部門別の詳細内訳を見ると、連結売上高は期初予想に対して1,533百万円の未達となった。セグメント別内訳としては、情報・印刷・産業システム機材セグメントの売上高は10,001百万円で期初予想に対して11.8%(1,332百万円)の未達となった。単独売上高の事業部門別内訳を見ると、印刷システム機材事業の不振が特に大きく影響したことが読み取れる。
印刷システム機材事業では、従来から続く印刷不況の影響で2019年3月期第2四半期も印刷機器及び印刷材料(消耗品)が前年同期比減収となった。レーザー加工機など後工程分野の機器の販売は堅調とみられるが売上構成比はまだ小さく、印刷機器及び印刷材料の減収を補うには至らなかった。
情報・印刷・産業システム機材セグメントの中には同社が選挙システム機材に次ぐ収益の柱と期待するメディアコンバート(文書デジタル化)事業が含まれている。2019年3月期第2四半期のメディアコンバート事業の売上高は1,384百万円で前年同期比8.0%(120百万円)の減収となった。期初予想は開示されていないが、社内計画に対してはやはり未達だったとみられる。売上が伸び悩んだ要因は採算重視の受注姿勢を徹底した結果で、利益面では着実に黒字を維持しているもようだ。
金融汎用・選挙システム機材セグメントの売上高は2,630百万円で期初予想比6.5%(161百万円)の上振れとなった。単独売上高の内訳を見ると、選挙システム機材事業の売上高が期初予想を25.8%(292百万円)上回ったことが寄与したことがわかる。前年同期は2017年10月実施の衆院選関連の売上が一部入っていたこともあり、2019年3月期第2四半期はその反動減による大幅減収を予想していた。しかしながら、地方選挙で着実に販売を伸長させ、予想を大きく上回って着地した。
紙・紙加工品セグメントの売上高は4,863百万円と期初予想を7.0%(365百万円)下回った。2017年9月に子会社化したエム・ビー・エス(株)のフル寄与により前年同期比では増収を確保したものの、印刷用紙の需要減少の影響を受けた。
利益面では、営業利益が期初予想に対して370百万円下回った。前述したように、選挙システム機材を除く各商品の売上高が低調に推移したことで、収益性が低下し、営業損失となった。なかでも影響が大きかった印刷システム機材事業では、印刷材料が数量、単価ともに低下し、また高額商材である印刷機器の販売台数が減少したことで固定費負担が重くなり、収益性が大きく悪化したとみられる。
第2四半期までの進捗を踏まえて通期予想も下方修正した。下期だけを取り出せば、利益面ではほぼ期初予想が維持されている。
2. 2019年3月期通期見通し
2019年3月期通期について同社は、売上高37,423百万円(前期比0.3%増)、営業利益388百万円(同59.6%減)と微増収ながら大幅減益を予想している。
前述のように、同社は2019年3月期第2四半期決算に際して、第2四半期までの進捗状況を踏まえて通期予想も下方修正を行った。通期ベースの売上高は期初予想から1,903百万円引き下げられたがそのうち1,533百万円は上期(第2四半期)の修正分であり、下期の修正額は370百万円となっている。同様に営業利益の下期の下方修正幅は13百万円で、利益については期初予想からほぼ変化はない状況にある。
2019年3月期通期の売上高予想のセグメント別内訳を見ると、金融汎用・選挙システム機材セグメントでの1,654百万円の減収を、紙・紙加工品と情報・印刷・産業システム機材セグメントの増収で補う構図となっている。金融汎用・選挙システム機材セグメントの減収は、選挙システム機材事業が1,917百万円の大幅減収になることが要因だ。その理由は、2017年10月に実施された衆院選からの需要の反動減による。
一方、紙・紙加工品セグメントの増収は、前述のようにエム・ビー・エスの通期寄与による増収がその理由だ。また、情報・印刷・産業システム機材セグメントは、通期ベースではメディアコンバート事業を含む情報・産業システム機材がけん引役となって前期比増収を確保する計画となっている。
利益面では、前述のように、2019年3月期下期については期初予想からほとんど変更はない、今下期の営業利益は457百万円(前年同期比56.6%減)の予想となっているが、この減益要因のほとんどは選挙システム機材事業の減収によるものだ。
選挙システム機材事業については、今下期も上期同様、社内計画を上回ることは十分可能性がある。しかし一方で、印刷システム機材事業が下期も期初計画に対して弱含みで推移する可能性があり、この点については慎重に業績に織り込んだとみられる。その結果、下期の営業利益予想を期初予想から13百万円引き下げたと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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