■要約
芙蓉総合リース<8424>は、みずほフィナンシャルグループ<8411>(旧(株)富士銀行)系の総合リース会社である。1969年に富士銀行や丸紅<8002>など芙蓉グループ6社にて設立された。情報関連や事務機器、不動産リースなどに強みがあり、年間の契約実行高1兆1,050億円、営業資産残高2兆1,726億円(2018年3月期実績)は業界6位に位置する。資産管理やコストコントロール、専門性を生かしたノウハウなど、顧客の課題に対する高度なソリューション力を発揮することで営業資産を積み上げ、業績は順調に拡大している。
同社は2022年3月期を最終年度とする中期経営計画「Frontier Expansion 2021」(5年間)を推進している。「前例のない場所へ。」をスローガンに掲げ、新しいビジネス領域やビジネスモデルへ挑戦することにより、事業ポートフォリオの「フロンティア」を拡大し、国内リース事業を取り巻く環境が大きく変化するなかでも持続的に成長する企業グループを目指す。また、最終年度の目標として、営業資産残高を2兆5,000億円(年平均伸び率4.1%)、ROA(営業資産経常利益率)を2.0%(0.4ptの改善)、経常利益を500億円(年平均伸び率9.8%)を掲げている。特に、経常利益目標のハードルが高いが、営業資産残高の積み上げとROA向上の両方の達成(掛け合わせ)により実現するシナリオとなっている。
中期経営計画の2年目となる2019年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比2.3%減の2,957億円、営業利益が同3.9%増の182億円、経常利益が同4.2%増の196億円と減収増益となり、過去最高益(上期ベース)を連続更新した。売上高は、海外の大口案件の剥落により減収となったが、事業本来の業績を示す「差引利益」については、前年同期比3.8%増の362億円(同13億円増)と順調に拡大。大口の不動産リースの満了・売却により「営業資産残高」が一時的に減少し、「資産粗利率」も横ばいで推移したものの、「ノンアセット収益」の拡大が「差引利益」の伸びに大きく寄与した。また、「契約実行高」についても、大口ブリッジ案件の減少や航空機のデリバリー遅延等により前期同期比で減少したが、下期には複数の航空機実行等により積み上げを見込んでいる。また、戦略面においても、一括請求サービスを提供する(株)インボイスの連結化を通じてBPO事業(新領域)の本格強化に取り組むなど、今後の事業拡大に向けても成果を残すことができた。
2019年3月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比1.6%増の6,000億円、営業利益を同3.9%増の340億円、経常利益を同6.5%増の375億円と増収増益を見込んでいる。アクリーティブ<8423>連結効果の一巡により、業績の伸び率は前期よりも緩やかになるが、「営業資産残高」の積み上げや「ノンアセット収益」の拡大が業績の伸びをけん引する想定である。また、配当についても、利益成長の実現により前期比10円増配の1株当たり年間156円を予定している。弊社でも、1)下期での「営業資産残高」の積み上げが期待できること、2)「ノンアセット収益」の拡大によりROAの改善がみられること、3)各戦略分野も順調に進展していることから、同社の業績予想の達成は十分に可能であるとみている。引き続き、各戦略分野の進捗やROA改善に向けた道筋に注目していきたい。
■Key Points
・2019年3月期上期の業績は減収増益となり、過去最高益を連続更新
・「営業資産残高」は一時的に減少したものの、「ノンアセット収益」の拡大が業績の伸びをけん引
・2019年3月期の通期業績予想を据え置き、増収増益(増配)を見込む
・戦略面でも、インボイスの連結化によりBPO事業(新領域)の本格強化に取り組む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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芙蓉総合リース<8424>は、みずほフィナンシャルグループ<8411>(旧(株)富士銀行)系の総合リース会社である。1969年に富士銀行や丸紅<8002>など芙蓉グループ6社にて設立された。情報関連や事務機器、不動産リースなどに強みがあり、年間の契約実行高1兆1,050億円、営業資産残高2兆1,726億円(2018年3月期実績)は業界6位に位置する。資産管理やコストコントロール、専門性を生かしたノウハウなど、顧客の課題に対する高度なソリューション力を発揮することで営業資産を積み上げ、業績は順調に拡大している。
同社は2022年3月期を最終年度とする中期経営計画「Frontier Expansion 2021」(5年間)を推進している。「前例のない場所へ。」をスローガンに掲げ、新しいビジネス領域やビジネスモデルへ挑戦することにより、事業ポートフォリオの「フロンティア」を拡大し、国内リース事業を取り巻く環境が大きく変化するなかでも持続的に成長する企業グループを目指す。また、最終年度の目標として、営業資産残高を2兆5,000億円(年平均伸び率4.1%)、ROA(営業資産経常利益率)を2.0%(0.4ptの改善)、経常利益を500億円(年平均伸び率9.8%)を掲げている。特に、経常利益目標のハードルが高いが、営業資産残高の積み上げとROA向上の両方の達成(掛け合わせ)により実現するシナリオとなっている。
中期経営計画の2年目となる2019年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比2.3%減の2,957億円、営業利益が同3.9%増の182億円、経常利益が同4.2%増の196億円と減収増益となり、過去最高益(上期ベース)を連続更新した。売上高は、海外の大口案件の剥落により減収となったが、事業本来の業績を示す「差引利益」については、前年同期比3.8%増の362億円(同13億円増)と順調に拡大。大口の不動産リースの満了・売却により「営業資産残高」が一時的に減少し、「資産粗利率」も横ばいで推移したものの、「ノンアセット収益」の拡大が「差引利益」の伸びに大きく寄与した。また、「契約実行高」についても、大口ブリッジ案件の減少や航空機のデリバリー遅延等により前期同期比で減少したが、下期には複数の航空機実行等により積み上げを見込んでいる。また、戦略面においても、一括請求サービスを提供する(株)インボイスの連結化を通じてBPO事業(新領域)の本格強化に取り組むなど、今後の事業拡大に向けても成果を残すことができた。
2019年3月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比1.6%増の6,000億円、営業利益を同3.9%増の340億円、経常利益を同6.5%増の375億円と増収増益を見込んでいる。アクリーティブ<8423>連結効果の一巡により、業績の伸び率は前期よりも緩やかになるが、「営業資産残高」の積み上げや「ノンアセット収益」の拡大が業績の伸びをけん引する想定である。また、配当についても、利益成長の実現により前期比10円増配の1株当たり年間156円を予定している。弊社でも、1)下期での「営業資産残高」の積み上げが期待できること、2)「ノンアセット収益」の拡大によりROAの改善がみられること、3)各戦略分野も順調に進展していることから、同社の業績予想の達成は十分に可能であるとみている。引き続き、各戦略分野の進捗やROA改善に向けた道筋に注目していきたい。
■Key Points
・2019年3月期上期の業績は減収増益となり、過去最高益を連続更新
・「営業資産残高」は一時的に減少したものの、「ノンアセット収益」の拡大が業績の伸びをけん引
・2019年3月期の通期業績予想を据え置き、増収増益(増配)を見込む
・戦略面でも、インボイスの連結化によりBPO事業(新領域)の本格強化に取り組む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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