アドバネクス Research Memo(5):2019年3月期第2四半期は、新工場の立ち上がりコストなどで大幅減益

配信元:フィスコ
投稿:2019/01/09 15:35
■業績動向

1. 2019年3月期第2四半期の業績概要
アドバネクス<5998>の2019年3月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比4.2%増の10,488百万円、営業利益が同97.9%減の2百万円、経常利益が同41.6%減の93百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失が43百万円(前年同期は60百万円の利益)であった。想定以上に収益が悪化した要因は、短期的には米中貿易摩擦、材料費の高騰、インドネシア子会社のスクラップ売却の遅れであった。中国は国内向けがほとんどであり、貿易摩擦の直接的な影響はないが、景気の悪化など間接的な影響を受けた。米国工場は、輸入鋼材に高関税がかかり原材料高となった。中長期的な要因としては、工場新設やM&Aを計画通り実施した一方、それぞれ本格稼働が遅れ、立ち上がりコスト負担増が挙げられる。

(1) 所在地別動向
日本の所在地別売上高は、自動車向けが好調で前年同期比5.3%増加したが、同セグメント損失が前年同期の63百万円から107百万円に拡大した。千葉工場と埼玉工場の立ち上がりコストと稼働率向上に手間取った。米州は、同6.4%の増収を達成したものの、損失は前年同期の128百万円から205百万円へ増加した。医療向けの売上高が増えた一方、インフラ・住設向けが減少した。メキシコ工場のスタートアップコストと原材料費高騰が収益悪化要因であった。欧州は、売上高が同16.5%伸びた。自動車及び航空機向けが好調であった。チェコ工場の開設準備負担と原材料費高騰により、利益は同19.8%落ち込んだ。アジアは、売上高が横ばい、利益は4.2%増となった。米中貿易摩擦の間接的な影響やインドネシアルピア安があったものの、医療向けが好調に推移した。

(2) 市場別動向
自動車向け売上高は、前年同期比4.4%増加した。売上高構成比は46.7%で変わらない。2番目に大きいOA機器は、2017年3月期まで同社部品を不要とする設計の変更などを受け急減したが、その影響もなくなり、前期は横ばいとなり、下げ止まったとみていた。2019年3月期第2四半期は、前年同期比5.1%減と予想を下回る展開となった。医療機器は、同26.5%増の高い伸びとなった。インフラ・住設機器は、同20.7%減の大幅な落ち込みとなった。商社など流通網が規格品の初期手当を終了したことが一因となった。航空機器が同35.9%増の高伸長を見せた。AV・家電と情報通信機器は、それぞれ同7.0%、同8.5%落ち込んだ。

2. 財務状況とキャッシュ・フロー計算書
2019年3月期第2四半期末の総資産は、21,476百万円と前期末比1,161百万円増加した。流動資産の増加は102百万円にとどまったが、固定資産が積極的な設備投資により1,058百万円増えた。負債の部では、有利子負債が798百万円増加した。設備投資額は、減価償却費の492百万円を上回る1,572百万円であった。財務の安全性比率である流動比率は132.1%、自己資本比率が29.1%へと低下した。

2019年3月期第2四半期末の現金及び現金同等物の残高は2,963百万円と前期末比569百万円減少した。営業活動によるキャッシュ・フローの収入が363百万円あったが、投資活動によるキャッシュ・フローの1,619百万円の支出をまかなえず、財務活動によるキャッシュ・フローの借入金増加でカバーした。

3. 取締役の交代
2018年6月の株主総会で動議が提出され、前会長を含む4名の取締役が再任されなかった。現在の役員会は、代表取締役会長兼社長に柴野恒雄(しばのつねお)氏(CEO、COO、生産統括担当)、代表取締役常務に大野俊也(おおのとしや)氏(CFO、管理統括担当、新事業統括担当、コンプライアンス担当、欧米戦略担当、内部統制室管掌)、常務取締役に加藤精也(かとうせいや)氏(営業統括担当、日本戦略担当、アジア戦略担当)と社外取締役3名で構成されている。社内取締役3名は続投であり、事業執行体制に大きな変更はない。新任の社外役員は、小谷健(こたにけん)氏(元トピー実業(株)社長)、中野隆平(なかのりゅうへい)氏(中野スプリング(株)社長)、福島正(ふくしままさし)氏(元ソニー千厩株式会社社長)になる。毎月の取締役会で、活発な発言がされている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

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配信元: フィスコ

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