為替市場は大きな調整局面に突入? 注目のFOMCはどうなるのか?

著者:平野朋之
投稿:2018/12/17 11:53

目先のテクニカルは?


■今週は、イベントと株価の動向の狭間で右往左往するものの、結果的に大きな調整局面に突入する可能性が濃厚とみています。

■その1つの理由は、先週末の株価の動向です。

中国やユーロ圏での経済指標が悪化したことを発端に、NY市場でも世界的景気減速懸念が台頭し、一時NYダウも500ドル以上の下落がありました。
また、S&Pも今年4月以来の安値に突入したことで、株価においては大きな調整局面との見方もでてきました。

■振り返ればやはり政治絡み、特にトランプ大統領が標榜する「米国ファースト」が世界経済を狂わせたことは株価からみても明らかになったと言えます。

2000年以降の世界はグローバル経済の中で成長してきました。

しかし、今はローカル経済化し始めたことで、自国優先、個人優先といった考え方のもとで、「EXIT(離脱)」が生まれました。時代の流れと言えば一言で終わる話なのですが、ローカル化した代償はそれなりに大きくなるのではないかとみています。


■先週は、米中通商問題を抱える中で中国が米国産大豆を大量購入したことや自動車関税に関しても大幅引き下げるといった譲歩を見せる場面がありました。

そのことで米中通商問題は一気に進展する可能性が報じられたことで、リスク選好になる場面があったものの、現実はまだ先の話、「噂で買って事実で売る」といった展開もあるので、押し目買いだけでの戦略は要注意したいです。


■そして、今週はいよいよ注目のFOMCになります。

追加利上げは既に織り込み済みです。問題は、「ドットプロット」になります。先日のパウエル議長のハト派と受け止めることの出来る発言があっただけに注目したいです。

また、議長のコメントにも注目です。特に米国債利回りがフラット化、逆イールドになる中での株価の動向を見据えて、来年の利上げ慎重論的なコメントがでるかに注目したいです。

最後に気になる材料が、米国の予算案期限が21日であることです。先日のトランプ大統領のコメントにもあるように、「もし建設しないならば政府機関閉鎖も辞さない」との過激なことをいっているだけに警戒したいです。

来年以降は利上げペースは落ちるまたは休止との見方が優勢的で今後、中期的にも押したとことは買われるというシナリオは崩れる可能性もあります。


■最後に、ドル円のテクニカルです。

日足チャートは相変わらずのレンジ取引になっています。
112円~114円といったところです。

10月の高値(114.56円)からみれば高値は切り下がっているものの、安値も切り上げている感じです。
つまり、典型的な三角持合といったところです。

しかし、長くみれば上昇トレンドの渦中にありますが、このトレンドを形成している時間が長すぎることもあるので、時間的な観点からみてもブレイクダウンしてもおかしくないとみています。

その際に気をつけたいのが、サポートラインといて使いたいのが移動平均線120日線とみています。ちなみに先週末現在で112.23円となっています。

平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想