ハト派発言がドル円を重くしている・・・、今週の注目ポイント

著者:平野朋之
投稿:2018/12/03 14:20

雇用統計は平均時給に注目

■いつもお世話になり有難うございます。
トレードタイムです。


■注目されていた米中首脳会談は中国に対する追加関税に関しては見送りにしたことで、過度なリスク回避は一旦、回避されました。

今週は以下の材料について注目をしています。

・パウエルFRB議長の証言(5日)
・クラリダFRB副議長がブルームバーグでインタビュー(3日)
・米10月貿易収支(6日)
・米雇用統計(7日)

■ここ最近になってハト派と受け取れる発言がFRB高官から相次ぎ出始めました。

まずは、クラリダFRB副議長が「2015年当時と比較して金利水準は中立に近づいた」との発言を皮切りに、パウエルFRB議長も足並みを揃えるように金利に対して「中立をやや下回る水準」とあれほどタカ派だった姿勢を一気にトーンダウンさせてきました。

来年の利上げサイクルも一気に黄色信号が点灯したと捉えることのできる内容でした。

そのことで、今週も双方の発言やインタビューがあるので、内容次第ではポジション整理も進む可能性もあるので警戒したいです。


■次に、保護貿易主義の発端となっている貿易収支です。

一向に減少の道筋が立たない米国の貿易赤字は、来年のメインテーマになることは間違いなく、その矛先は中国だけでなく日本にも目を向けられると思います。

特に自動車に関してはその額は巨大であり、トランプ大統領も来年、25%の関税をかける意思をみせています。日本もそれを警戒してF35を購入しているもののその効果はどれほどなのかは今一つ不明瞭です。

少なくてもバランスをとるには為替問題、特に日銀のスタンスまでトランプ大統領は今後、言及してくる可能性もあるので警戒が必要です。


■そして、週末の雇用統計の非農業部門雇用者数も気になりますが、やはり平均時給に注目したいです。

いつも以上にFRB高官によるハト派的なスタンスを伺う意味でも現状を確認する意味では重要です。

一旦、米中通商交渉に関しては冷戦状態になったものの、両国の妥協点を含め、世界経済に与える影響は常識では測れません。

故に、今後の両国のけん制を含め商談には注視したいです。

最も一時的に両国が歩み寄ったとしても、それは茶番劇にしか過ぎず、世界経済は刻一刻と不景気の闇に葬られようとしています。
米国が目指す保護主義の根幹は何なのか・・「覇権」と言えばそのとおりですが、相場的にもこう着状態になるのもわかる気がします。


■最後に、テクニカル面からみたドル円です。

チャート上では、先週114円に一旦タッチしたものの、それ以上にはいたっていない現状です。
先日の上昇トレンドに対してそれ以上にハイブリッシュな展開になるにはまだ早いとみています。
少なくても来年の1月くらいまではレンジ相場とみています。

もし114円ミドルの水準では売り優勢になる可能性もあり、逆に112円を割れるようであれば押し目買いを想定しています。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想