今週の米ドル/円予想 12月一番注目される週(12/03週)

著者:山口哲也
投稿:2018/12/03 13:31

【先週のドル/円の動向と今週の主要イベント】

【今週の主要イベント】
先週の米ドル/円は続伸。週初112.950で寄り付いた米ドル/円は、米国株の上昇やクラリダFRB副議長のタカ派的な発言になどを受けて買われ、一時114円台まで上昇いたしましたが、28日に行なわれたパウエルFRBのスピーチで「政策金利が中立金利の推計レンジの下限の少し下にある」と表現したことで、利上げ打ち止めが意識され米ドルは売られる展開となり、その後は、週末のイベントを控えてほぼ113.20から113.50を中心としたレンジで推移いたしました。

週末に開催されたG20首脳会合で採択された首脳宣言では、保護主義リスクへの言及はなく各国代表は地政学的な要因が成長のリスクだとの認識で一致。また、多国間の貿易制度については、利益を認識するが「目標に至っておらず、改善の余地がある」と指摘されました。

また、米中首脳会談では貿易戦争90日間停戦で合意され、米国が1月から予定の25%関税引き上げを3月まで先送りするかわりに、中国は米国から農産品や工業製品の購入拡大に同意し、進展無ければ90日後に25%の関税引き上げが実施されることになります。

今週の主な経済指標は図のとおりで、それ以外には12月5日に予定されるパウエルFRB議長の議会証言(今後の金融政策について先週同様ハト派な内容となるのかどうか)と、12月6日のOPEC総会(ロシアなどが提案している減産が合意に至るかどうか)にも注目です。

12月は今週とFOMCや日銀、イギリスのEU離脱議会承認などがある17日週に注目していますが、特に今週はイベント目白押しで引き続きボラティリティが高まる可能性があります。

【米ドル/円(TFX)週足 チャート】

【米ドル/円(TFX)週足 チャート】
米ドル/円の週足チャートです。
価格は移動平均線の上側に位置しており、各移動平均線も上から順に13週、26週、52と並んでいることに加え、ストキャスティクスも50%の上側で上昇傾向となっていることから、引き続き、中長期的な上昇トレンドと見ています。そのため、基本的には、13週移動平均線の位置する112.742をバックに押し目買いを考えたいところです。上値の目処は114.00で、これを上回る場合は、114.50が次の目標になります。

一方で、週足の高値の推移を見ると、10月はじめの114.565、11月半ばの114.210、先週の114.050と徐々に高値が切り下がってきており、26週移動平均線の位置する111.796を割り込む場合は、買いは一時撤退。更に10月末の安値111.365を下回る場合は52週移動平均線が位置する110.446までの下げを見込んで売りとなります。

【米ドル/円(TFX)日足 チャート】

【米ドル/円(TFX)日足 チャート】
日足チャートは、日々線が転換線・基準線、一目の雲の上側に位置していることに加え、遅行スパンが日々線に下支えされて推移しているため、底堅いイメージです。
したがって、短期的には転換線の位置する113.340をバックとした押し目買いを考えたいところです。


このコメントはテクニカルアナリスト山口の個人的な見解で、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご理解のほどよろしくお願いいたします。

追記 (12/4 8:59)

※ジョージ・H・W・ブッシュ元米国大統領の死去に伴う国民追悼の休日となります。
これに伴い、米国市場が臨時休業となります。
また、米国で5日に発表される予定の経済指標の一部(ADP全米雇用報告、ISM非製造業景況指数など)が1日後ずれします。
山口哲也
フジトミ証券株式会社 チーフ・テクニカルアナリスト
配信元: 達人の予想