ドル円今週の見通しと需給面

著者:平野朋之
投稿:2018/10/15 14:23

ドル円今週の見通しと需給面

お世話になります。
トレードタイムの平野です。


■先週は米株式市場の急落を発端とした世界的株式市場の大幅調整局面に突入しました。その影響を受けてリスク回避選好の円買いが優勢の展開となりました。
ドル円は一時、111.83円まで下落する場面があったものの週末に何とか112円台をキープして終了しています。

■さて、これまで天井知らずの株式市場や強気を継続していたドル円もさすがに調整が入った印象です。
これが「終わりの始まり」なのかそれとも・・と言ったところはありますが、直ぐに「押し目買い」のスタンスを継続するすることは注意が必要です。

確かにここまでの下落となると、自律反発も考えられまが、まずは大きな流れを「再確認」して、その方向にポジションを傾けるという余裕をもったポジションメイクが必要な時期です。



■最近はトランプ大統領によるFRBの利上げ政策にけん制をしているのが印象的です。

これまでも低金利を好んでいるのは皆さんご存知だと思いますが、今年に入り議長がパウエル氏に交代して、追加利上げのペースを弱めるどころか強気を貫いている印象で、トランプ大統領とは全くの真逆の展開には大統領も呆れてしまっているのではないでしょうか?
今後もトランプ大統領からのけん制発言は出続けるので相場的にも要注意です。


■また、注目していた米消費者物価指数がついに予想値よりも下回りだしたことも気がかりです。
これはハイペースな追加利上げの影響が出始めているのではないかと思っています。

つまり、一般消費者がこの金利上昇についてこれていない、更にいえば細菌の原油高の影響で家計は火の車になりつつあるのではないかとみています。
ローンもさることながら生活自体これ以上の金利高は恐らく、米景気自体をリセッションの落とし入れる可能性は大だとみています。


■結局のところ今回の急落をうけて、FRBのスタンスも慎重にならざるを得ない可能性がでてきました。
これまでも来年も年三回は追加利上げの必要性など論じる展開もありましたが、トランプ大統領の目指す保護貿易の代償がそろそろ見え隠れし始めているのも実態です。
その意味でも先週の急落を見て、投資家のスタンスもワンパターンの押し目買いではなく、小休止する場面に来たのではないかとみています。


■需給面では・・・、

IMM日本円の投機家のポジションで10万枚を大幅に超え、年初来で最大になりました。
そのことも調整がいつあってもおかしくは無いという裏づけにもなっています。

今週は、最大のポイントにするのは以下の2点です。
・15日の米国の為替政策報告書
・18日の日本の9月貿易収支

まず、週初めに米財務省が議会に提出する資料、それが為替政策報告書です。
特にこれまでも米中貿易戦争でもみるとおり、中国は米国の関税に関してすかさず報復関税を行い、更に作為的に中国元を誘導する動きを横目にしているので、その意味でも「中国を為替操作国」に認定する可能性があるのではないかとみています。

もし、そうなれば貿易戦争だけでなく通貨戦争になる可能性もあるので、安易な押し目買いには注意が必要です。

次に上段と同じような話になりますが、日本も米国の貿易に関しては黒字国です・・・、となると中国の次の標的は日本ではないかと思ってしまうのは当然の話です。
特にこれまでもドル円相場はドル高円安兆候が強く、このことが日米貿易不均衡の根源だとトランプ大統領はけん制してくる可能性もあります。


■テクニカル面では・・・、

日足ベースでは、やはり移動平均50日線(12日引値:111.85円)を下値抵抗にしていることがわかります。
今週はこれを下回れば、移動平均120日線(12日引値:111.05円)はあるとみています。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想